最強メンター美容師になろう!!最終回⑥ 〜徳を積む

最強メンター美容師になろう!!最終回⑥ 〜徳を積む

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●手が空いてそうなアシスタントが、ヘルプに入ってくれると思ったら入ってくれずイラっとした。

●お店の中にモチベーションの高いスタッフ、あまり高くないスタッフがいて、どちらに合わせて教育したらいいのかわからない。

●「スタイリストデビューのために明日から朝練頑張ります!」と元気よく話をしていたのに、翌日遅刻してきた。

など…

挙げだすとキリがないくらい、美容室という環境では「人にまつわるモヤモヤ」が日々起きていますよね。

さらに、労働集約型産業である美容室では人が辞めてしまうことでのマイナスは非常に大きい。それがAIに負けない武器でありつつも、多様な価値観を持つスタッフたちの教育はとても難しいものです。

そんな悩みを持つ現場のリーダー、店長、未来のリーダーたちに知って欲しいのが『メンター美容師』という概念。

過去の連載はこちら。美容業界No.1エンタメコーチの中野友介さん・Lond代表取締役 甲斐紀行さんのお2人が、「メンターってなに?」「なぜ今必要?」という問いに答えています。


最終回の今回は、メンター美容師に必要な5つの心得の5つめについて学んでいきましょう。

その前に、心得5つのおさらいです。

メンター美容師5つの心得

1)ありのままを受け入れる

2)自分の世界と相手の世界がある

3)自分の正義(価値観)だけが正しいわけではない 

4)相手の興味に興味を向ける

5)徳を積む ←今日はこの議題を学びます!



Contents

誰も見ていなくてもバックルームを「片付ける人」「片付けない人」

引き続き、「メンター美容師になりたい人」として徳永恵里さん(December/東京・原宿)に参加いただいています。

店舗の中ではディレクターとして、また「メンター美容師」をめざすリーダーとしてスキルアップしている徳永さん。

今日は何やら、バックルームを片付けています!

徳永さん

バックルームがキレイな方がみんな気持ち良いですよね?

続きは動画をご覧ください!↓↓↓



メンター美容師心得その5 徳を積む

「徳を積む」とは、“誰も見ていないところでも人のためになる行いを積み重ねる”ということ。

たとえば、
・散らかっている場所を掃除する
・自分からあいさつをする
・備品がなくなっていたら交換する
……など日常的なシーンにたくさん見られますね。

しかし、忙しいときほど忘れてしまいがちな周囲への気遣い。
気になったことがあったとしても、“自ら行動する”まで到達することはハードルが高いと感じる方も多いのでは……。

考える前にまず、行動。「側坐核」のスイッチを入れる

サロンの現場でよくあるのが、流しに使ったままのカラーカップの放置。忙しいときほど、後まわしになってしまいがちですよね。

手が空いたタイミングで自分が使ったカラーカップでなくても「洗う人」がいる一方、「気づかない人」「気づいているけど洗わない人」も……。

自分が使っていないカラーカップは、「自分には関係ない」と思うか、自分は使っていないけれど、「サロンの備品だから自分にも関係ある」と思うのか。

忙しくて心に余裕がないときほど周りが見えなくなりがちですが、カラーカップが溜まっていたら、誰が使ったカップかなど、損得勘定を考える前に先に行動してしまうこと。

行動することで脳の「側坐核(そくざかく)」にスイッチが入り、さらに人のために動く考え方に脳がシフトしていきます。

中野さん

損得勘定で動くのではなく、人のためになる行いを積み重ねることで、運を引き寄せられる人になろう!

「徳を積む」ことはチャンスを掴む近道

美容師は「お客さまを素敵にすることが仕事」と、お客さまを中心に考えてしまうこともあるかもしれません。

確かに「徳を積む」ことに強制力はありません。

しかし、多くの人から支持される人や成功する人は、“相手のことを想った行動ができる”人が大半。


自分を想った行動をしてもらうと誰だって嬉しくなりますよね。

人のことを想って「徳を積む」ことは、周囲からの尊敬や大きなチャンスを掴む近道でもあるのです。

中野さん

徳を積み続けることで、必ずどこかで誰かが見ていて、チャンスをくれたりします。

「徳を積む」ことを日常の当たり前の状態にすることで、チャンスが来たとき、ガシッと掴める自分になっているはずです。

 

・自分から先にみんなに挨拶しよう。

・誰よりも先に集合場所に到着していよう

など、些細なことからでも良いと思います。

「徳を積む」ことを意識していくうちに、やれる行動がどんどん増えているはずです。



徳を積むと心が豊かになる

甲斐さん

「徳を積む」ときに気をつけてほしいのが、頑張りすぎないでほしいということ。

頑張りすぎると続かなくなってしまうので、人のためになることだけど少し手間だなと思うことを、ちょっと頑張るくらいで丁度良いと思います。

たとえばカラーカップが10個溜まっていたとして、全部洗うのは時間的にも厳しかったりしますよね。

全部やろうとするから、行動できなくなったりするので「2〜3個洗っておこう」で十分。

 

また、「自分ばっかりがやっている」と感じてる人は、頑張りすぎの注意信号。

不満が出てくるというのはキャパを超えているので、「自分の心が豊かになるため」に取り組む意識を忘れずに!

「徳を積む」と実際、どうなる?

「徳を積む」と実際、どんな未来が待っているのでしょうか? 

・他人からの尊敬や信頼を得られる

→信頼を得て、チャンスをもらえる。たとえば、プロジェクトリーダーを任されたり、サロン代表として外部の仕事を任されたり……。

・自己の精神的成長や人格形成

→人として「また会いたい人」になる。生涯顧客と良い関係がつくれる


・心が豊かになる

→心が豊かだと感性が磨かれる

徳永さん

「徳を積んでいる人」の共通点には、どんなことがありそうですか?

中野さん

・仕事を任されやすい

・チャンスをもらいやすい

・運がいいと思っている

・道を聞かれる

甲斐さん

・笑顔の印象がある

・気づき力がある

徳を積んでいる人は「人の嬉しい」がわかる人だと思います。

中野さん

「徳を積む」ことを続けていると、幸せを感じやすくなります。

僕はもう、何からでも幸せを感じられる(笑)!


「徳を積む」ということは人と比べることではありません。

自分のペースで始めてみましょう!


誰かの“想い”を積む

あなたが相手のことを想ったよい行動をとったとしても、その相手から「徳返し」はないかもしれません。

それは、「あなたの世界」と「相手の世界」が全く違うものだからです!

これは、サロンワークだけではなく普段の生活にも当てはまります。

自分への見返りを求め過ぎてしまうと、逆になんの行動もできなくなってしまいます。

自分に返ってくる利益を意識せずに、相手の助けになったり嬉しくなったりするような「徳を積む」ことができてこそ、「最強のメンター美容師」になる第一歩なのではないでしょうか?

まさに「徳を積む」=人の“想い”を積むということですね!!

あなたが相手や周囲を想って徳を積むことであなた自身の成長につながります。

たとえば、

・周囲を意識しながらバックルームの掃除を率先して行っているので、お客さま対応をする際に小さな気遣いができ、固定客が増えた。

・自分のことと相手のこと、日々どちらも大切にしながら行動しているので、作業の効率が良くなった。

メンター美容師として様々なシーンで「自分を変える」ことが自然とできるようになります。

メンター連載を終えて……

今、美容室ではメンター(=メンタルケアをする人。)の必要性が改めて認知され始めています。

全6回のメンター連載を終えてどんな学びを得られたのか? 徳永さんに聞いてみました!

徳永さん

一番大きく変わったのは、サロンで自分と違うスタッフの意見を聞いたときの「受け取り方」が変わったという点です。

さまざまな環境で働いていたスタッフが集まり、立場も違うので、考え方が違って当たり前。考え方のすべてを一緒にしようというのが間違いだと気づき、視野が広がりました。

あとは、後輩がどうしたら前向きに頑張れるようになるかに目を向けられるようになったことも大きいですね。

メンターになるための知識は入ったので、あとはその術をトレーニングして、みんなが頑張れるサロンにしていくのが自分の役目かなと考えています!

そして次のフェーズとして、自分だけでなく後輩にもメンターの役割を担ってもらえる次世代のメンター育成も進めていきたいですね。

 

甲斐さん

メンターは誰でも身につけることができるスキルですが、メンターのスキルを高めることは、数字や目に見えてわかりやすい成果があるわけではありません。

けれども、メンターアカデミーセミナーに参加してくれているサロンからは、「自分に自信が持てるようになった」という声を多くもらっており、今年メンターアカデミーを立ち上げて、想像以上にメンター制度が求められていることを実感しています。

メンターの考え方をまずは身につけて体得する。この知識を業界全体で身につけられたら、美容師は世の中にとって、より重要度の高い存在になると思います。

どこの美容室にもメンターがいて、お客さまにとっても、日常の中に「心が整理される場所」がある。メンターがいる美容室が当たり前になる文化をつくっていきたいですね。

中野さん

美容室の経営者から聞こえてくる悩みは「離職を減らしたい」「離職しない環境をつくりたい」と言う声です。

みんな、スタッフが「このお店で働けて良かった」と思ってもらえるサロンをつくりたいと本気で思っています。

しかし、経営者は「若い子の気持ちがわからない」と皆さん口を揃えます。

本気でわかろうとしているより、「こうなってほしい」という願望がまずあり、その願望通りにならないからわからないというケースも多いですよね。

若手美容師を延ばす教育をつくったサロンしか生き残れないと頭ではわかってはいますが、それをどうつくったらよいかわからないのです。

今後、美容業界に入ってくる美容師さんは「新時代の人」たちです。

教育の枠組み自体をつくり直すときだと僕は感じて、甲斐くんと一緒にメンターアカデミーを立ち上げました。

まだメンターアカデミーがスタートして5カ月ですが、メンター美容師はものすごく大きな可能性を秘めた存在になることを感じています。

今こそ、メンターが必要!!

メンター美容師になろう!




中野友介(エンタメコーチ)・甲斐紀行(Lond/東京) / メンターアカデミー代表
Profile
中野友介(エンタメコーチ)・甲斐紀行(Lond/東京)

メンターアカデミー代表

なかのゆうすけ/1981年9月6日、京都府生まれ。中学時代にグレて道を踏み外すが、24歳の時にメンターとなる美容室オーナーに出会ったことで人生が激変。美容業界No.1の売上をつくる営業マンとなる。現在は美容室のアシスタントやスタイリストのやる気をアップさせるモチベーター・また売り上げアップをサポートする「成功コーチ」として全国のサロンの人材育成に関わる。

かいのりゆき/1986年3月21日、神奈川県生まれ。日本美容専門学校卒業後、都内有名店に入社。その後、美容専門学校の同期6名で「Lond」を起業。現在、グループ企業含めて450名を超える。創業から10年を通して、離職者は総数の1割にも満たず、現在も拡大中。主にスタッフの人材育成とアイラッシュ事業を担う。長年に及ぶメンター教育やコーチング習得を経て、心のあり方から組織の内部強化を担っており、離職率の低下に力を注ぐ。

セミナーに関するお問い合わせは下記InstagramのDMか、LINEから!

ボブログ編集部
執筆者
ボブログ編集部

成長し続ける美容師のための髪書房ウェブメディア『ボブログ』。これまでにないスピードで変革する時代に必要な情報【パラダイムシフトの芽】をいち早く見つけ、掘り下げ、新しい常識を提案します。

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