9/1発売のNEXT LEADER10月号の特集テーマは「独立支援制度」。個人集客できる環境の広がりとフリーランスサロンの増加により、以前よりも敷居が低くなった独立の選択肢。オーナーとしては、今後のつながりを維持するためにも、独立支援制度でサポートしたいところでしょう。「既存店譲渡なのか、新規出店なのか?」「ロイヤリティの設定は?」「初期投資の負担比率は?」など、独立するスタッフと共存共栄の関係性を築くためのノウハウを伝授します。
【編集部の取材ウラ話】
FC制度など、美容室における独立支援制度は以前からありましたが、近年そのニーズが大型サロンだけでなく、小~中規模サロンにおいても高まっています。店舗展開のためのFC制度というよりは、ベテランスタッフ(特に男性)のキャリアパスとしてのニーズがほとんどではないでしょうか。
編集部にもよく「FC制度の作り方を解説した特集号がないか?」と問い合わせがあり、それが今回の特集のきっかけとなりました。以前にキャリアパス特集の一環として、FC制度を詳しく解説した号もあったのですが、小~中規模サロンの事例はありませんでした。そこで今回の特集では小~中規模サロンに絞って、独立支援制度を整備しているサロンに取材しました。

創業14年目を迎える福岡県のアストレアでは、昨年6月に初のFCオーナーが誕生しました。創業当初からキャリアパスの1つとして独立支援制度は考えていたという百田直亮代表。月額55,000円という定額ロイヤリティだけでなく、月額11,000円(報酬は別途)でスタッフの出向が受けられるというのも、独立するスタッフにとっては安心材料になっています。新店舗は本部で用意してFCオーナーにリース。それを決められた期間内で低金利で支払っていくというのが制度の大枠になります。
現在FCオーナーは、ロイヤリティとリース料を合わせて、月額15万円弱を支払っており、売り上げもオープンから1年経って順調に推移。現在は社内にもう1名、独立希望者がいるとのことです。

埼玉県を中心に多店舗展開するトゥルークリエーションでは、以前はのれん分けFC制度で独立支援をしていましたが、近年は「共同経営型FC」という独自のシステムで独立支援しています。いわゆる新法人を立ち上げる分社型の独立支援で、物件、内装、屋号などはFCオーナーが決めますが、開業資金は本部がすべて出資する形を採っています。
1年目は営業利益の40%、2年目以降は30%を共同経営フィーとして支払い、本部は採用、教育、集客までサポートするというもの。出店1年目は赤字でも本部が補填してくれるので、オーナーは安心して経営スキルを学べるというのも大きな特徴でしょう。初期費用の完済後は共同経営フィーが定額制へ移行。同サロンではこの独立支援制度によって、若いオーナーが続々と生まれています。

新潟市内に8店舗展開するミルクティーは4店舗がFCとグループ内独立に力を入れているサロンです。1~2人で独立スタートするケースが多いため、ロイヤリティは月額66,000円の定額制。初期費用に関しても内装工事費、設備費は本部で負担し、FCオーナーは5年間無利子で返済していく形を採っています。定額制にした理由は、FCオーナーのモチベーションを上げるためもありますが、税理士が別なので売上報告などに疑いを持ちたくないという理由もあるとのこと。店舗数を増やしたいわけではなく、自立した若手オーナーのアイデアを勢いを取り入れることでが、会社が時代に合わせてアップデートしやすくなるという堀井淳太代表の言葉が印象的でした。
独立支援制度にこれといった答えはありませんが、出店形態やFC権付与の条件、ロイヤリティの設定、本部出資額や範囲など、事前に決めておくべきことはいくつかあり、今回の特集の解説ページにまとめています。さらに契約書の雛形をNEXT CLUB会員のダウンロード特典としてつけています(9月中旬以降、ダウンロード可能)。
独立したい、させたいスタッフはいるけど、どこから手をつけていいのかわからない。そんな経営者の方はぜひ本特集をお役立てください。
以上、現場からでした。
<今月のコンテンツ>
・共存共栄できる独立支援制度とは
・人が辞めないサロンの“勝たせる”独立支援(ASTRAEA/福岡県糟屋郡)
・共同経営型FCで夢を追う仲間を増やす(True Creation/埼玉県春日部市)
・定額ロイヤリティで自走を加速する(Milk tea/新潟県新潟市)
・第2特集 年末は店販を習慣化するチャンス
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- 執筆者
- 渡辺 淳司
「NEXT LEADER」編集長