【経営編/第1回】その常識、本当にあってる?

【経営編/第1回】その常識、本当にあってる?

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質問もできて「ボブロガーズ」とつながれるコラム連載。前田秀雄さんの第1回目コラムは経営に欠かせない視点「その常識、本当にあってる?」のテーマでお届けします。

写真:ゴリママ




こんにちは。2022年5月22日にFacebookを一旦休止させていましたが、ボブログ編集部からの要望によりボブログでコラムを書くことになった、のりこ美容室 前田秀雄です。

2015年に『ちっちゃい美容室のでっかい革命』を刊行して依頼、多くの美容室に僕の経営マインドをお伝えしてきました。

そこから数年、目まぐるしく変化する時代を生き抜くための思考をお伝えしたいと思います。時間を使って読んでくださる皆さんのために、思ったことはオブラートに包まず、辛口ありでいきますよ〜! 少しでも役立つヒントを見つけてもらえたら幸いです。

Contents
前田秀雄/まえだひでお / のりこ美容室/京都府京都市
Profile
前田秀雄/まえだひでお

のりこ美容室/京都府京都市

1965年9月6日、京都府生まれ。京都理容美容専修学校卒業後、1991年、京都府伏見市に母・紀子さんが創業したのりこ美容室に勤務。2007年に事業を継承し(株)NORIKOを設立。代表取締役社長となる。小さな美容室の「行きつけマーケティング」を追求し、独自の小規模美容室経営を確立。スタッフ5名、1店舗で増収増益を続けている。毛髪診断士および毛髪協会認定講師。学校法人京理学園評議員。著書に『ちっちゃい美容室のでっかい革命』『美容師のケミ会話』(ともに髪書房刊)がある。

VUCA時代の思考とは?

著書『ちっちゃい美容室のでっかい革命』(髪書房刊)では、年間平均来店回数9.2回の“行きつけマーケティング”を中心に、のりこ美容室のサロン革命をご紹介しました。

同書でも「美容室経営は疑ってなんぼ!」と書きましたが、連載の前半では、経営者や経営者を目指す幹部に向けて、今の時代の経営に必要な「クリティカルシンキング」について書きたいと思います。

3月のテーマは「その常識、本当にあってる?」 です。

コロナ禍になり、長期計画や中期計画……そんな計画が役に立たない時代が到来しました。

それが《VUCA時代の到来》です。


VUCA(ブーカ)とは、

  •  V:Volatility(変動性) 
  • U:Uncertainty(不確実性)
  •  C:Complexity(複雑性) 
  • A:Ambiguity(曖昧性) 

以上の頭文字を取った言葉で、将来の予測が難しい時代であることを表しています。 

そんな不安な時代になると出てくるのが《how-to》なのですが、僕は「明日からすぐできるhow-to」の蔓延こそが差別化できず、美容室が平準化してしまう元凶だと考えています。

何をするかより、何をしてきたか?

皆さんは、「how-toとは?」との問いに何と答えるでしょうか?

how-toとは?

how-toとは、一般に初心者を助けることを意図しており、専門家が必要とするような詳細な情報は含まない。また、対象とする事物に関する様々な議論も排除して結論だけを記述することが多い。



ちょっと思っていたのと、違いませんか?

 よくセミナーや教育コンテンツで言われる「明日からできる!」「すぐにできる!」は即効性があって役立ちそうではあります。

前田秀雄

でも、ちょっと待って!

明日からできる、すぐにできるって、誰もができてしまう平準化。 差なんてつきません! 

明日のこと、未来のこと、これからのことを語れる人って、いっぱいいるけれども、昨日までのこと、過去をきちんと語れる人って、あまりいない……。

歩んできた道を語れる人って、信用に値するんだよなぁ〜。聞いていて、信頼できるんだよね。 だって責任を果たしてきた人だから。 

「何ができるかだけじゃなく、何をしてきたか」が、実は見落としがちっていうことです。 

「気づき」より「学び」を

そして、よく色々なところで聞く言葉に「今日も気づきをいただきました」とか「気づきをありがとうございました」があります。

まー、多いこと。 

いったい、いつになったら“ 気づきを気づく ” のだろう… … 。

あなたは『気づき』と『学び』の違いを考えたことがありますか?

『気づき』はその場だけのものであり、自分のものにはまだできていない、身についていない状態のことを言います。 

『学び』は試行錯誤を繰り返した結果、何かを自分のものにした状態。 

つまり、『気づき』は短期で浅く、『学び』は長期で深い。 

『気づき』というのは他人からもたらされる他力本願でつながりのない「点」。反対に『学び』というのは自分で手に入れないといけない自力本願で、さまざまな思考が複雑に結びついた線です。

気づいた「点」をつなげていくと、「線」となり「学び」になるのです。

3つの思考とは?

学びを考えるときに大切な3つの思考があります。 

それは《ロジカルシンキング》と《ラテラルシンキング》《クリティカルシンキング》です。

  • ロジカルシンキング → 原因や結果、前提やデータから、結論を導き出します。 
  • ラテラルシンキング → 物事を多角的に見て、違った角度から結論を導き出し、新しいアイデアや、革新的なことを生み出したいときに必要です。
  • クリティカルシンキング → ただ見聞きしたままに受け取るのではなく、客観的に分析してちょっと違うかも? と批判的な思考を働かすことを言います。

 僕が約30年前から、この美容業界にいち早く訴えてきたのが《クリティカルシンキング》で、このクリティカルシンキングを磨くため、常に前提を疑い、論理的に推論し、客観的に思考の多様性を追求してきました。

 もちろん、何もかも疑っていたらきりがないですが、

先ずはあなた自身の信念に基本的な「問い」を投げかけて欲しい。そしてもう1つの「別の可能性」をも考えてみることです。 

今の世の中、また我々美容業界も競争が激化し寡占化しています。 常に不安が付きまといます。 そうなると、人は自分と考えや行動が似ている人と集団をつくろうとします。

特に、バイアスが働きやすいのがインターネット。自分に都合のいい情報だけを探し出し、視野が狭まります。 これが、大きな問題です。 

付き合う範囲の人が皆同じ考え方だと、居心地は良いかもしれませんが、思考は停止し、仲間意識から外れたくない不安が生じて、自分自身を変えることが難しくなります。

すると、「やり方(how-to)」に走るのです。 

クリティカルシンキングでいこう!

「今、美容業界の流れは〇〇だから……」などという囚われた思考から抜け出して、《クリティカルシンキング》という重要な思考を持つことが必要です。

「あなたならどう考えるのか?」

「私だったら」

「なぜ、これをやっているのか?」

「ネットに書いてあることは本当だろうか?」

「その本質は何処にあるのだろうか?」

常に《クリティカルシンキング》を胸に「あり方」を問いかける。そんな思いを持って「コト」に当たってみてはいかがでしょうか。

今回は第1回目のコラムということで、「思考のあり方」について書いてみました。

経営マインドに関する質問は、以下のボタンをクリックして書き込めます。ボブロガーズコラムでテーマにしてほしいことなども是非送ってください!

※質問の際は「前田秀雄さんに質問」と入力してからご質問ください。

前田秀雄

次回からは具体的な経営の話について、「多店舗展開が強いとは限らない」のテーマでお届けします!

前田秀雄
執筆者
前田秀雄

1965年9月6日、京都府生まれ。京都理容美容専修学校卒業後、1991年、京都府伏見市に母・紀子さんが創業したのりこ美容室に勤務。2007年に事業を継承し(株)NORIKOを設立。代表取締役社長となる。小さな美容室の「行きつけマーケティング」を追求し、独自の小規模美容室経営を確立。スタッフ5名、1店舗で増収増益を続けている。毛髪診断士および毛髪協会認定講師。学校法人京理学園評議員。著書に『ちっちゃい美容室のでっかい革命』『美容師のケミ会話』(ともに髪書房刊)がある。

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