【経営編/第2回】美容室は多店舗展開が強いとは限らない

【経営編/第2回】美容室は多店舗展開が強いとは限らない

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質問もできて「ボブロガーズ」とつながれるコラム連載。前田秀雄さんの第2回目コラムは「多店舗展開が強いとは限らない」のテーマでお届け。今回も前田節がさく裂します!

写真:ゴリママ




こんにちは。今月から「ボブログ」で辛口コラムを執筆しているのりこ美容室 前田秀雄です。

連載の【経営編】では、目まぐるしく変化する時代を生き抜くための思考をお伝えしたいと思います。

前田秀雄

最近、《風の時代》の話を引用しがちな美容業界ですが、すべては後出しジャンケンですねぇ〜。

それまで《地の時代》ってのも言ってなかったし(1、2年前の直前になってから)、《風を読まなければいけない》って言ったって、コロナ禍になるなんて誰も言ってなかったやん。風、読めてへんし(笑)。風の便りなんてもんもありません!

こんなん言ってる人って、ただの “こじつけ” です。

《風の時代》とは?

風の時代とは「目に見えないものに対する価値が高まる時代」。 自由や平等、精神性や知性、個性などの価値が高まることを指します。 風の時代は2020年から約200年続き、2023年はそのさきがけとなる大きな時代の転換期と言われている。



コロナに関して言えば、僕はパンデミックは25年前に勘が働いて動いて、換気しやすいお店の設計に変え、マスクの備蓄や感染対策をしてきました。

まっ、「衛生管理者としての美容師」という意識と専門家の方々との勉強を通して、一見無駄に思えるようなことを勉強したおかげでコロナ禍前に感染対策ができていたというわけです。


僕はやっぱり《無駄の美学》《今を読む》方がいい。

マスマーケティングより、《ワントゥワン》が良いよね。



今回はこの《ワントゥワン》に触発されて、以前Facebookに投稿した原稿を思い出して書き足しました。

必要なくなると言われている職業や職人、マニュアル、平準化、多店舗等のキーワードから考えが湧き出てきて、一気に書きました。読んでみてください。

Contents




美容“師”は、美容“士”になってはいけない

今、「〇〇専門店」などの打ち出しをしている美容室は、やはりAI化が進むと見ています。

その理由は、

・「作業」になりやすいから

・個々のお客さまの問題を個別に対応して解決できないから

・デザインはしないから

前田秀雄

Amazonから僕宛てに「あなたにオススメの本」として『ちっちゃい美容室のでっかい革命』が表示されます(笑)。その著者、僕やっちゅうねん!

まさに回転寿司の寿司職人さんが、AIに取って代わられるのと同じ。

「師業」でなくなって、「作業」になったらAI化。

美容室の現場がAI化されたらどうなる?!

たったひとつの勝ち組企業が業界を独占化することになります。

競争の激化 → 寡占化 → 独占化

この図式は見ています。

今の経営者は「多店舗経営」の道を進んでいる人が多いから、教育やサロンワークをマニュアル化し、AI化せざるを得ない状況になっていっていますね。

「職人」を育てる時間がなかったり、「職人」が居てもらっては多店舗展開できないという理由で。

中には、マニュアル美容師をつくらないと多店舗展開できないと考えている経営者もいます。

それでは「平準化への道」、真っしぐらです。

お客さまのニーズに応えられる美容師って、一見すると良さそうに思えるけど、やはり「作業美容“士”」。

そのニーズ自体に誤りがあることも多々あるから、それを見極め是正してあげることが「“師”業」です。

小さい美容室だけの“勝ち方”がある

メーカーもディーラーも寡占化時代に入って生き残りをかけているから、良い美容師・美容室とはどういうものかをわかってはいても、とりあえず今は多店舗展開しているサロンと付き合って、取り引き金額や納入数を上げないといけないというジレンマに陥いるのもわかる。

前田秀雄

寡占化は本当に恐ろしい時代なのである。

僕?

寡占化になるとサバイバルだから、たとえばタイタニックのような船が沈没したとして、海に投げ出されたとしたらどうするか……?

《 泳いだらアカン!チカラを抜いて、ひたすらに浮かんで生き延びることが秘訣 》

もがいて泳げば泳ぐほど、体力を使い果たして溺れてしまう。
助かる道はない。

そんなときは、チカラを抜いて浮かぶこと! 

浮かんでいる間は《 アタマだけは使う! 》こと。

だからタイタニックみたいな大きな船はいらないってことです。

小さくてもいいから、《 高性能な常にバージョンアップできる船 》が必要です。


Lの時代の自利即利他

コロナ禍になって、大都市圏は悲惨な状況になってきて人の流出が止まらない。

コロナが落ち着いても、もう以前のようにはならない。

地方の時代、『Lの時代』(=ローカルの時代)が来ています。


日本って本来そういう国民性だったから世界から注目を集めていました。

それが “ グローバル ” という名の競争に自ら飛び込んで、滅びの道へまっしぐら…。

だから独占企業が増えてしまった。


不祥事を起こしても有耶無耶で責任取らず、好き放題。

僕は思う。

我々地域サロンの美容師は、大きいことなんて考える必要なんてない!
自分と、自分のサロンと、自サロンのお客様と、スタッフが幸せになってくれたらそれでいいんです。

それを長ーく続けてると、自然と様々な分野にも貢献できるようになってくるんです。


それが【自利即利他】


最後に良寛の詩を贈ります。皆さま参考に。

花無心招蝶
蝶無心尋花
花開時蝶来
蝶来時花開
吾亦不知人
人亦不知吾
不知従帝則

【意訳】

花は無心にして蝶を招き
蝶は無心にして花を尋ね 
花開くとき 蝶きたり
蝶きたるとき 花開く
われまた人を知らず
人またわれを知らず
知らずして帝則に従う

良寛(りょうかん)1758―1831

江戸時代後期の歌人。名主の家に生まれながらも争いごとを好まず出家。人柄を感じられる温もりの書や詩歌を多く創作した。





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前田秀雄

次回は「楽な教育に流れすぎてない!?」のテーマ(仮)でお届けします!

前田秀雄
執筆者
前田秀雄

1965年9月6日、京都府生まれ。京都理容美容専修学校卒業後、1991年、京都府伏見市に母・紀子さんが創業したのりこ美容室に勤務。2007年に事業を継承し(株)NORIKOを設立。代表取締役社長となる。小さな美容室の「行きつけマーケティング」を追求し、独自の小規模美容室経営を確立。スタッフ5名、1店舗で増収増益を続けている。毛髪診断士および毛髪協会認定講師。学校法人京理学園評議員。著書に『ちっちゃい美容室のでっかい革命』『美容師のケミ会話』(ともに髪書房刊)がある。

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