内田聡一郎が「リーゼント」を“令和トレンド”に進化させたら

内田聡一郎が「リーゼント」を“令和トレンド”に進化させたら

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ヘア:内田聡一郎(LECO)
メイク:村上唯花(LECO)
写真:奥村浩穀

ヨシンモリにタッセルボブ、タンバルモリ・・・・続く韓国トレンドヘアブームに一手!

歴史に残るヘアスタイルを「令和トレンド」に昇華させるリバイバル連載がスタート。


連載初回は経営者の立場となっても、ヘアデザインへのあくなき探究心は衰えることのない“この人”。

LECO 内田聡一郎が「リーゼント」を“令和トレンド”に進化させたら・・・。

日本の美容師発、ヘアデザインの新潮流がここに!

リーゼントを令和トレンドへ

Cut/トップが短いハイレイヤーベース。フェイスラインも短く切り込み、サイドはタイトに。
内田聡一郎

力強さのあるリーゼントに、ガーリーなムードを足して、強さやわらかさのある融合デザインに仕上げました。

今回、スタイルを考案するにあたり、ロカビリー時代のYouTube映像をたくさん観たのですが、リーゼントは当時から男が憧れる「男の象徴」。

僕は普段、「ピンク」や「花モチーフ」「やわらかい素材」はあまり使わないのですが、この「男の主張」にファンシーな要素をプラスして、ウエービーなヘアに仕上げることで、ボーダレスな今の時代感を表現したいと思いました。


モデルセレクトは珍しく、甘めフェイスのモデルをセレクトした。

BEFORE
内田聡一郎

モデルはZ世代の美容師さんたちがよく起用しているKORAさんに。

ナチュラルな今っぽさを表現する彼らと、僕なりの表現の違いを自分自身が見てみたいという好奇心からでもありました。


Hair Color/衣装・メイク・バック紙で濃度違いのピンクをつくり、ヘアカラーは「レイヤードピンク」に対比する「ペールミント」でコントラストを出した。

Bangs/リーゼントの前髪は分量が命。ボテッとしすぎても洗練されないし、分量が少なすぎてもインパクトがない。ベストな分量を探りながら、S字に巻いて毛先をずらし「ほつれ感」をプラス。


【UCHIDA’s イメージボード】


【令和リーゼント3つの融合】

・インパクトのある造形美
・反対色でコントラストのあるヘアと衣装
・やわらかさのある衣装やピンク使い
 ↓
この3つの融合が「元祖リーゼント」を「令和リーゼント」へと昇華させている。


“不易流行”のUCHIDA’sクリエイション

街中で一目置かれる存在感を放つリーゼントから、クリエイションヘアへと造形美を極めたスタイルがこちら。

アングルをフロントに切り替え、ヘアスタイルを引き立てる「強さのある写真」にこだわった。


生え際につけたやわらかい素材のピンクの羽は、和紙をちぎったもの。ピンクのろうそくを削り、アクセントとした。

和紙を毛羽立たせるようにちぎってやわらかい羽に。
削ったろうそくは異素材を入れてメリハリを出すため。付けすぎないのがポイント。

カルチャーが生まれた時代背景や根源をとらえ、新しく変化を重ねているものを取り入れる内田さんのクリエイション。

時代とともに変化した意味を深掘りし、本質を追求することは忘れない。

この『不易流行』(伝統を大切にしつつ、時代に応じて新しいものを取り入れていくこと)の精神は、クリエイションスタイルに留まらず、本人の生き方にも現れている。

内田聡一郎

世の中には「以前の概念を捨てていこう」という風潮が増えているけれど、僕自身は一周まわってクラシックな考え方が今、大事だと思っています。

効率化やタイパが重要視されてすぎて、美容師がみんな同じ方向に向かいすぎてしまうと美容師の職業としてのおもしろさが薄れてしまう。

だから、LECOは個性を育て、差別化されたサロンでありたいと考えています。

 

何のために美容師をやるのか?

内田さんの場合は「人の記憶に残るヘアデザインを創る」こと。これに尽きるという。

独立して5年、クリエイションと技術で若手を牽引してきた内田聡一郎の一刀入魂は、脈々と受け継がれていく。

内田聡一郎 / LECO 代表
Profile
内田聡一郎

LECO 代表

1979年生まれ。神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校卒業。1店舗を経て、2023年VeLOオープニングに参加。同社姉妹店veticaをプロデュースし、トップディレクターとして活躍。2018年に独立。東京・渋谷にLECOをオープン。2020年、セカンドブランドQUQUオープン。2021年にoben、2022年にoddをオープン。2020年にはJHAオフィシャルアワードにおいて大賞受賞。サロンワークをはじめ、一般誌・美容専門誌・セミナー・ヘアショー・著名人のヘアメイク・商品開発などさまざまな分野で活躍。著書に『自分の見つけ方』(2013年)、『内田流+αカット』(2017年)、『ウチダテク一刀入魂』(2022年)がある(いずれも髪書房刊)。

YAHAGI
執筆者
YAHAGI

ほぼ毎日WEB記事、ときどき単行本。

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