「ほら!早くご飯たべて!」「早く着替えて!」「早くお風呂入って!」…
我が家に現れる「妖怪ハヤクハヤク」。
その正体は「ハヤクハヤク」と子供を急かす、眉を吊り上げ髪を振り乱した私の姿。38歳。パート美容師。
帰宅が遅い主人。限られた仕事の時間。美容師18年目。毎月の振込額が新卒の子より少ないなんて。仕方ないよね。
だけど…時間もない。お金もない。私、美容師の価値あるの?
おしゃれするのが好きだった。
お母さんに結ってもらった三つ編み。
りかちゃん人形で練習した。
綺麗にしてあげるのが好きだった。
高校の体育祭。クラスみんなのコーンロウしたっけ。
人の笑顔が好きだった。
自分がやった髪型でみんなに感謝されるのが何より嬉しかった。
だから美容師は天職だった。
厳しくても心の支えはスタッフやお客さまに必要とされていること。
生きがいだった。
それがいつしか
母になり「生活のため」美容師をしている。
この環境を選んだのは自分。
それはわかってる。
けれども。
上がらない給料。
帰りが遅い旦那。
散らかった部屋。
やり場のない思いをつい、我が子にぶつけてしまう毎日…
今月のママ美容師のお悩み
(埼玉県・38歳・パートスタイリスト)
産後パートになりました。
限られた時間の中で、仕事をして家事に育児。
どれも中途半端で常に焦りを感じています。家庭の事情でこれ以上長く働くことはできません。
子供が小さい今だからこその悩みとわかっていながら、モヤモヤしてしまいます。
せめてうまく時間が使えるようになるにはどうしたら良いでしょうか?
ママで美容師でライターをやっています
美容師ライターの盛(サカリ)と申します。
美容師歴12年、2人の子供がいるママ美容師です。
現役でサロンワークをしながら、美容師専門のWEBライターとして活動しています。
また、ママ美容師オンラインコミュニティ「MAMABI PARK」にて、ウェビナーメインパーソナリティを務め、さまざまな美容師さんたちの経験や仕事に対する想いをお伺いし、言葉として世に伝えています。
ライフステージによって、働き方の変化を強いられることが多い女性美容師。
美容師として、女性として。その狭間で起こる苦悩。
そんな女性美容師さんたちのリアルなお悩みを、美容師×ママ×ライターならではの視点とたくさんのママ美容師さんたちのご経験を元に解決の糸口を探る、このコーナー。
時は、令和。多様化する生き方や働き方。
誰かが歩いた道を辿るのが、正解とは限らないのです。
女性美容師のカテゴライズできない日々の中で。
パラダイムシフトは加速していく。
「私のようで私じゃない。同じ時代に生きる、どこかの美容師さんのお話。」として読んでいただけたらと思います。
「妖怪ハヤクハヤク」、どうしたら人間に戻れる?
さて今回のお悩みは、きっと小さなお子様をお持ちの働くママはみんな感じていることではないでしょうか。
実際、ママ美容師コミュニティ「MAMABI PARK」では、日夜こういったお悩みが多く寄せられています。
別に美容師を辞めたいわけでも、「コレ」と言って具体的な悩みや決定的な出来事があったわけでもない。
見えない「何か」に常に追われて焦る気持ち…
それは、我が子を守るための防衛本能として、漠然と感じる不安からくるものかもしれません。
「子供」とは、自分がいなくなってしまったら生きていくことすらままならない存在である…小さい時は、特に責任を感じてしまいますよね。
さらに、自分のコントロールができないことは「いつまで、どれくらい」頑張ればいいかがわからず、心が疲弊してしまう。
これは当たり前のことです。
心が疲弊し続けると、ネガティブな感情にのまれてしまい「自分なんか…」と、さらに自分を責めてしまいます。
サロンに遅刻しないか、お客さまの予約、固定の給料、旦那さんの予定、子供の感情…
これらは全て自分がコントロールできないことであり、何かを辞めるか子供が成長して環境が変わらない限り続きます。
「固着しない」という考え方
そんな時の先輩ママ美容師のアドバイス。
自分以外の「変えられないこと」に固着しないこと。
そして自分の中の「こうでなくてはいけない」という固定観念にとらわれないことが大事という意見が多々。
まずは、ご自身を責めないで。変えられないことではなく「できそうなこと」に目を向けてみてはいかがでしょうか?
コミュニティ内のママ美容師に聞いた、家事の時短テクや育児方法をご紹介します。
MAMABI PARKのメンバーに聞いた!「家事の時短テク」
【ご飯編 】
・ジップロックにメイン料理、お漬物は前日につっこみ放置!
・夜ご飯は、生協(コープ)の焼くか温めれば食べられる調理品を使用。魚料理も美味しく食べれる。
・とにかく、何でも卵とじ(笑)。
・オーブンに入れるだけ料理。
【お掃除編】
・子供にはワゴン1台専用にして、おもちゃ類などコレに入るだけの量と決めて、自分で整理させる。
・『落ちてる物は捨てる』と子供達に片付けさせる。
・おもちゃつきのお子さまセットなどは買わない。
・洗濯はあまりたたまず、そもそも干すのがハンガーなので、そのままかけるだけ(笑)。
MAMABI PARKのメンバーに聞いた!「子育て術」
【子育て編 】
・自分がつけているネックレスを娘に渡して、『魔法の力をあげよう!』と言ってしれっと手伝わせる。
・子供達も家族だから巻き込んでやれるのが1番!
・失敗から学ばせる。失敗させていることを前提に自分でやらせる。
・時短家事の隙間に子供に歯磨きさせたりして、自分時間を活用している。
と、そのほかにもママ美容師のアイディアは無限大。
みなさんズボラな一面を、笑い話に変えながら教えてくれました。
「しっかりしなきゃ」「完璧にしなきゃ」と思わずに、子供や家族、近代文明機器にも頼るのが楽しくママ美容師を続けられるコツです。
子供と過ごす時間はお金と同じ価値がある
そしてママ美容師の中では、子供が小さい時は時間=お金の価値と割り切っているとのこと。
これは、決して終わりのない悩みではないのです。
お子さんが中学生にもなると「ねぇねぇ!聞いて聞いて!今日ね•••」と言われていたのが、
ママの方が子供に言っていたりして。
子供から「うるさい、後にして」とか、
棒読みで「あーそうなん?良かったねー」とか、
スマホみながら「こないだも聞いたよ」とか。
なんて立場が逆転したのは、あっという間だったと…
早く過ぎてほしいと願う、今この瞬間がいつか
戻りたくて仕方のない日々になるのかもしれません。
だとすれば、
笑顔の記憶を残したいと、思いませんか?
今月のお悩みへの“MAMABI的”解決提案
①固定観念にとらわれず、できることから。
②家族・子供に頼る。近代文明にも頼る!
③子供と一緒の時間を楽しみ、笑顔の記憶を残しましょう。
次回のお悩みは・・・?
「わたしだって」とにかくそう思うことが増えた。
勤続年数15年目。三度の出産と復帰。
受け入れてくれた会社には、もちろん感謝している。甘えた末っ子も小3ともなると母は煙たい存在に。
1人で考える時間も増えるとふと思いだす。産前の夢。
気づくと店を構える同期たち。
「わたしだって」と思うものの、心の中は煮え切らない。
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名前がつかない、この日々で、
パラダイムシフトの途中で。
そんなことを思いながら、今日もサロンに立つ私。
サカリさんへの質問やコラム連載で取り上げてほしいテーマなどは以下のボタンから! 悩みを抱えている女性美容師さん、女性美容師の輝き方を模索している経営者からの質問もお待ちしています。
※質問の際は「サカリさんに質問」と入力してからご質問ください。
- Profile
- 盛(サカリ)
美容師ライター(山形県山形市)
山形県出身、在住。現役美容師。歴12年。2児の母。「華やかに見えて、長時間労働や低収入、人間関係など課題のある美容業界。それでも愛を持って努力しつづけている美容師さんの想いを世に伝えてくこと」を使命に、美容師専門のwebライターとして2022年1月から活動中。美容師メディア「HAIRCAMP」他、美容商材、オンラインサロン等執筆多数。日本最大級ママ美容師コミュニティ「MAMABIPARK」ではメインパーソナリティを務める。当コミュニティメンバーで日々話題となっているさまざまな悩みやキャリアデザインのヒントから今回のコラム執筆に至る。
- Twitter : @waamama_room
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