【ケミカル編/第7回】過度なUVケアは注意が必要!

【ケミカル編/第7回】過度なUVケアは注意が必要!

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こんにちは。「ボブログ」で辛口コラムを執筆しているのりこ美容室 前田秀雄です。

これまで、ケミカル編では「“酸性”に流されすぎるな!」「“アンチエイジング”という言葉に流されすぎるな!」「髪を洗うという常識を変えよ!」のテーマでお伝えしました。

【ケミカル編/第4回】“酸性”に流されすぎるな!

【ケミカル編/第5回】“アンチエイジング”という言葉に流されすぎるな!

【ケミカル編/第6回】“髪を洗う”という常識を変えよ!


Contents



僕が美容師になった頃から、世の中は紫外線の危険を煽り始め、UVケア政策をしきりに推奨し、UV関連商品を売りまくり、母子手帳にまでその政策は波及しました。



街には、相手の顔が見れないサンバイザーを被る人が溢れ、腕には肌が露出しないように長手袋…。

僕はクリティカルシンキングが身についているので、これについても“後出しジャンケン” にならないように早くから、過度なUVケアは注意が必要だと警告してきました。

それが今、現実になっている…。



“紫外線”を正しく知ろう!

紫外線はUVAとUVB、UVCの3つに分けることができます。UVCとUVBの一部は地上に届かないので、この3つのうち、日焼けの原因になるのは、UVAとUVBです。

紫外線とは?

波長の違いによって「UVA」=紫外線A波、「UVB」=紫外線B波、「UVC」=紫外線C波、の3種類に分類されます。「UVC」はオゾン層によって吸収されて、地上には到達しません(日本化粧品工業会HPより)。

https://www.jcia.org/user/public/uv/knowledge

画像:「日本化粧品工業会」


日焼け止め化粧品にはこの2つの紫外線を防ぐ工夫がされており、それぞれUVAを防ぐ効果の目安としてPAが、UVBを防ぐ効果の目安としてSPFが表示されています。

SPF(Sun Protection Factor)UV−Bに対する防止効果を示すもの。SPFの数値は、日焼け止め化粧品を塗った場合、塗らない場合に比べて何倍の紫外線を当てると、翌日に肌がかすかに赤くなるかを示しています。50以上の場合は「50+」と表示され、数値が大きいほどその防止力が高まる。

PA(Protection Grade of UVA)UV-Aに対する防止効果を示すもの。4段階で表示され、「+」が多いほど防止力が高まる。


日焼け止めの成分には、大きく分類すると、次の2種類があります。

紫外線吸収剤:紫外線を吸収し、化学反応によって熱などのエネルギーに変換することで、紫外線が皮膚まで到達するのを防ぐ働きを持つ化学物質のこと

紫外線散乱剤:物理的な仕組みで紫外線を散乱、反射させる働きを持つ化学物質のこと


それに、水や油などのベース(基材)と保湿成分などのその他添加剤。

吸収剤と散乱剤を比較すると、吸収剤でアレルギーを起こす人が多いようです。
しかし、散乱剤も体からすれば異物ですから散乱剤の成分には直接肌につけると、かゆみが出るという人もいます。

前田秀雄

ちなみに、「オーガニック成分のものを使っているから安心」なんていうのもウソです。

アレルギーの原因であるアレルゲンとなりうるものは、オーガニックであろうが人工物であろうが関係なく、アレルギー反応を起こす可能性があります。

日焼け止めにもパッチテストが必要

では、どの日焼け止めがいいのか???

それは…

前田秀雄

「パッチテスト」をすることしかない!!

パッチテストをすることで、その日焼け止めの成分でアレルギーが出るかどうかを確認すること、これが一番の方法です!

日焼け止めは、成分自体に界面活性剤が入っているものがあるので、汗(水)と混じってしまうことを考えるとこまめに付け直さないといけません。
付け直ししないと逆に変な日焼けをしてしまいます。

ゴルフのキャディさんがあんなに防御してるのもそのせいです。

テニス選手も同じ。

悲しいかな、どれだけ対策しても日焼けは防げません!!

必ず起きるので、正しい知識を持ってくださいね。

あっ、SPF値もPA値も効果の持続時間ではないことは知ってますよね?!
SPF23とか SPF50とか、PA++とか PA++++とか…。


SPF値が50を上限としてそれ以上を50+と表記するように定められています。SPF値もPA値も、日焼け止めの紫外線に対する効果を表していますが、どんな SPF 、PA の日焼け止めを使ったとしても、一般的に 持続時間は2~3時間程度と言われています(僕は実際には30分程度しか持たないと思っています)。

以上のことから、本当に日焼けを防ぐには、こまめに塗り直すことが重要になるということですが、実際、こまめに塗り直してますか?


極論は…なるべく日に当たらないようにする。洋服や帽子、サングラスで覆う。紫外線量の多い日は、なるべく外出を控える…となってしまいます。

しかし、日焼けも適度にしなければいけないことは、皆さん知ってますよね?!

実は不足している「ビタミンD」

前田秀雄

東京都内で健康診断を受けた人の血液を調べたところ、98%がビタミンD不足だったとの調査結果を東京慈恵医大などのチームが6月5日に発表しました。

東京慈恵医大学などチームが発表

2019年4月~2020年3月 都内で5,518人を対象に健康診断を行った結果、血中のビタミンD濃度“不足”の人は98%にのぼった。年齢が低いほど不足傾向にありました。「ビタミンD」は「強い骨の維持」に必要なもの。魚やキノコなどを摂取して紫外線を浴びることでカルシウムの吸収を促す。不足すると《くる病》《骨軟化症》《骨粗しょう症》《骨折リスク》などが高まる恐れがある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6ea9c7c9e1d2b4b2b1d14c280a809a337cf3041f



他にも、紫外線に関するニュースはさまざま。

花王でも「美白」という表現をやめると発表しました。白い肌=健康で綺麗な肌は、人種差別になるからという理由が大きいようですが、2013年の白斑問題を経て、本当のところは良くわかりませんね。

「美白」や「はだいろ」が消える

 花王が「美白」表現を取りやめるという。3月27日付の日本経済新聞朝刊では新製品の発売や既存品のリニューアルにより、数年以内に全ての商品で美白表現を削除することが報じられた。この動きは多様性に配慮したもので、国内企業では初めて。しかし世界ではより一歩進んだ動きがみられる。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2105/31/news022.html

5年間で子どもの患者3倍以上に

ビタミンD欠乏症の子どもが増えていることを示すデータがある。東京大の北中幸子准教授(小児科)や小林廉毅教授(公衆衛生学)らが公的医療保険の収載データをもとに分析した。すると、ビタミンD欠乏症と診断された1~15歳の子どもの割合が、2009年の10万人あたり3.88から、10年に6.05、11年には8.02と右肩上がりで上昇。2014年には12.3と5年間で3倍以上の増加を示した。

ビタミンDの摂取しすぎも中毒に

そんな効果があるビタミンDですが、ビタミンDが豊富な食べ物などが報道されると、またまた過剰に摂取しすぎる人たちが出てくるのは、目に見えています。

ビタミンDが豊富な食べ物(出典:日本食品標準成分表2020年版すべて100gあたり)


・乾燥キクラゲ → 85μg

・紅ザケ(焼き)→ 38μg

・しらす干し(半乾燥)→ 61μg

・干ししいたけ → 17μg

・サンマ(焼き)→ 13μg

・全卵(生)→ 3.8μg


ビタミンDは、過剰摂取に注意しないと、ビタミンD中毒というものになり、吐き気・不整脈・腎結石・尿路結石の症状がでやすくなります。

成人での目安は1日上限100μgです。

前田秀雄

バイアスを働かせることなく、当たり前のように、好き嫌いなく何でも食べましょう!




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※質問の際は「前田秀雄さんに質問」と入力してからご質問ください。

前田秀雄

次回は「ジアミンアレルギーが増えている?!」のテーマ(仮)でお届けします!

前田さんのケミカル知識を集結し、サロンワークの現場で使いやすくした1冊はこちらから↓。

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ボブログ編集部
執筆者
ボブログ編集部

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