【第4回】雇用か独立か。夢か時間か。悩めるママ美容師のためのフレキシブルな思考とは?

【第4回】雇用か独立か。夢か時間か。悩めるママ美容師のためのフレキシブルな思考とは?

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連載:〈ママ美容師〉サカリのコラム

Contents



17時退勤。

帰りの車内で脳内会議。

夕飯の献立、家事の段取り。

週末の習い事はどこでだっけ。

途切れることなく繰り広げられる。


「また土曜日休むの?」

上司の嫌味に落ち込む暇すらない。

慌ただしい日々の隙間を埋めるSNS。

目的もなくスクロールする

指の先には「ご報告」の文字。


独立かあ。

「わたしだって」

キラキラした世界に蠢く、黒い感情。

そんな美容師としての

かすかなプライドが残っていたことに驚く。


年を重ねると

顧客数と反比例して増えていく心配事。

経験は不安を膨らませ、それは好奇心を妨げる。


“もしも

私に何かあったら。”


「ママ!おかえりー!」

駆け寄る姿。

最後の日はいつだったのだろう。



“いつまで雇ってもらえるのか。”

「あのね。今日ね。」

向けられていた曇りなき瞳は、ゲームの画面へ。

“お客様はついて来てくれるのか。”


「っせーな」

抱き抱えていた身体は、きっと来年抜かされる。



“私の夢ってなんだっけ。”


隙間時間で答えはまとまらなくて、

同じ議題がぐるぐると。


君の成長の速度に

思考はとうに追いつけず

時間だけが過ぎていく。


脳内会議は、今日も忙しい。


今月のママ美容師のお悩み

(福島県・39歳・パートスタイリスト)

時間的な自由が欲しくて独立を考えています。

ですが、正直給料面や「もしも」のことを考えると守られていた方が良いのかなと感じたりもします。

ママ美容師はどちらの働き方が良いでしょうか?


ママで美容師でライターをやっています

美容師ライターの盛(サカリ)と申します。

美容師歴12年、2人の子供がいるママ美容師です。

現役でサロンワークをしながら、美容師専門のWEBライターとして活動しています。

また、ママ美容師オンラインコミュニティ「MAMABI PARK」にて、ウェビナーメインパーソナリティを務め、さまざまな美容師さんたちの経験や仕事に対する想いをお伺いし、言葉として世に伝えています。

ライフステージによって、働き方の変化を強いられることが多い女性美容師。

美容師として、女性として。その狭間で起こる苦悩。

そんな女性美容師さんたちのリアルなお悩みを、美容師×ママ×ライターならではの視点とたくさんのママ美容師さんたちのご経験を元に解決の糸口を探る、このコーナー。

時は、令和。多様化する生き方や働き方。

誰かが歩いた道を辿るのが、正解とは限らないのです。


女性美容師のカテゴライズできない日々の中で。

パラダイムシフトは加速していく。

「私のようで私じゃない。同じ時代に生きる、どこかの美容師さんのお話。」として読んでいただけたらと思います。


雇用か? 独立か? ママたちの本音アンケート

さて今回のお悩みは、まさに多くのママ美容師さんを悩ませる問題ではないでしょうか。

ちょっとした隙間時間にも家族の全てのタスクを詰め込んでいるママ美容師にとって

24時間のうちの約10時間が拘束されているのは、正直言って厳しい。

予約の空き時間に家事ができれば、買い物が行ければ…そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか?

そしてサービス業という構造上、土日は休めない風潮も雇用ではいまだ根強いですよね。

習い事の送迎で毎週のように土日も休まざるを得ないとなると、肩身の狭い思いも…

そうなると、タイムスケジュールを管理できれば…と独立を選ぶママ美容師さんも多い現状です。


それに独立って、「美容師たるや一人前の証」みたいな思想もあったりしますよね。

ですが、実際のところはどうでしょうか?

今回もMAMABI PARKのママ美容師さんを中心に、リアルな声をもとに「働き方実態調査」をしてみました。

テーマは「雇用か独立か」についてです。

※ここでの「独立」の形態は、自宅サロン・賃貸サロン・個人訪問美容・面貸しフリーランスは含み、業務委託は含まないものとしています

MAMABI PARKとは?

ママ美容師を繋ぐコミュニティ型オンラインサロン。 公園に立ち寄るような感覚で、日々の“嬉しい”や“ちょっと困った”を共有。 オン・オフラインの技術セミナー、好きなことで繋がるサークル、お悩み相談、交流会、練習会など幅広いジャンルで楽しめる。忙しいママだからこそ自分のペースで自由に参加できるスタイルで、現在180名以上が参加中。メンバー全員が主役でママ美容師の挑戦を応援し合える場所を目指し活動している(@mamabi_park)。



今回アンケートに協力してくれたMAMABI PARKのフリーランス比率と雇用美容師の比率はこちら。

とフリーランスがややリードでしたが僅差です。


以下が、それぞれの働き方を選んだ理由です。

※MAMABI PARKを中心に一部Twitterでもママ美容師にアンケートを取りました

「雇用ママ美容師」の声

はじめに、雇用のママ美容師さんたちの意見をみてみましょう。

・毎月安定した給料がもらえる

・チームワークが好き 

・人見知りなのでマンツーマンは緊張する 

・産休、育休中にスタッフにお客様を預けられ、戻って来てくれる可能性が高い

・守られていたい

・急な休みでも他のスタッフが対応してくれる

・講習会などの勉強の場をお店が提供してくれる

・一人は寂しい

・お金の管理や計算をしてほしい

・仕事とプライベートを分けて考えたい

というメリットの反面、

・時間の拘束がある

・休みが続くと気まずい

・定年はあるが退職金はないので将来が不安

質問者様と同じような問題点があるようでした。


また、

・願望はあるけど自信がない

・お金がない

との理由で独立したいけど踏み出せないとの意見も。

「フリーランスママ美容師」の声

一方、フリーランスママビパーク美容師は

・時間の融通が利く

・お客さまとの信頼が深くなる

・やりがいがある

・正社員と違って休みたいときに休める 

・休んでも嫌味を言われないので気が楽 

・予約がない時間も有効活用できる

・子育てが一段落して自分のため

・ブラックな会社だったため 

・自分の好みの薬剤などが使える

資金面が不安でも、テナントを構えるのではなく、住宅ローンとして長期の返済が可能な自宅兼サロンや、面貸しサロンで初期費用を抑えて始める方法もあります。

美容師だけではなく他の収入の柱(婚礼や出張美容、いくつかの派遣業務委託サロンに登録)を持つこともできます。

ですが、

・気づくと休みなく働いてしまい、雇用の時の方が休めていた

・予約や金銭管理で時間が取られる

・スケジュール管理が複雑になる

・安定していないので不安

・自宅サロンなので家バレしてしまう

常に気を張ってしまう性格の方だと、雇用の方が精神的に楽だったとの意見も。

自分次第で時間の融通が利きますが、案外自由度は少ないのかもしれません。

また、支えてくれるパートナーや家族がいるかどうかも重要です。

自分に何かあったとき、お店の月々の管理費の支払いが滞ってしまう可能性もあります。


自分にとって何を優先すべきか

雇用期間が長いと「売上至上主義」が払拭されなかったりしますよね。

そのため、時間外でも断れずに対応してしまうことも「ママ美容師あるある」だとか。

生活する上で、どれくらいの利益が必要か逆算して基準を決めるのが、心も体も疲弊しないためのポイントです。

パートナーや家族とも優先順位や、もしものことを確認してみてはいかがでしょうか。

どんなことでも、メリット・デメリットがあります。

ですが、業界全体で労働環境が整備されてきていて、柔軟な働き方も可能なお店もあります。

雇用でもフレックスに働けるサロンも近年増えていますよ。




サカリ

今月のお悩みへの“MAMABI的”解決提案

①どちらもメリットデメリットがあることを心得ておく

②一人で決めずにパートナーや家族と優先順位を相談しておく

③必ずしも店舗を持つことだけでなく、フレックスに働けるサロンも視野に入れてみる


ママ美容師にとって、働き方と子育ての正解は表裏一体。

「これ」と決めずに、子供の成長と共に変化していいんです。


だけど

どうか忘れないでください。

ママの笑顔が家族の幸せだと。


そして

思い出してみてください。

あなたの夢はなんですか。


次回のお悩みは・・・?

「伸びた分切って。前回と同じで」その言葉に胸を撫で下ろす。

産前で止まってる、知識と技術。
ホコリ塗れの情熱とウィッグ。

練習する後輩を横目に「お先に失礼します」。
何かが変われば変わるのか。
私が変われば変わるのか。


NEXT→ いつやるの?ママ美容師の練習時間。

名前がつかない、この日々で、

パラダイムシフトの途中で。

そんなことを思いながら、今日もサロンに立つ私。




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盛(サカリ) / 美容師ライター(山形県山形市)
Profile
盛(サカリ)

美容師ライター(山形県山形市)

山形県出身、在住。現役美容師。歴12年。2児の母。「華やかに見えて、長時間労働や低収入、人間関係など課題のある美容業界。それでも愛を持って努力しつづけている美容師さんの想いを世に伝えてくこと」を使命に、美容師専門のwebライターとして2022年1月から活動中。美容師メディア「HAIRCAMP」他、美容商材、オンラインサロン等執筆多数。日本最大級ママ美容師コミュニティ「MAMABIPARK」ではメインパーソナリティを務める。当コミュニティメンバーで日々話題となっているさまざまな悩みやキャリアデザインのヒントから今回のコラム執筆に至る。

ボブログ編集部
執筆者
ボブログ編集部

成長し続ける美容師のための髪書房ウェブメディア『ボブログ』。これまでにないスピードで変革する時代に必要な情報【パラダイムシフトの芽】をいち早く見つけ、掘り下げ、新しい常識を提案します。

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