NEXT MEN|減速させないために。今知っておきたいメンズヘア設計論

NEXT MEN|減速させないために。今知っておきたいメンズヘア設計論

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「メンズサロン」や「メンズ特化」の打ち出しで、メンズ市場は堅調に推移してきました。

ここ5年を振り返ると、20代〜30代の顧客を中心にデザインパーマを中心とする中〜高価格帯のメニュー比率は拡大。市場規模も利用率も堅調です。

その一方で、2024年から「客単価の伸び率」が鈍化傾向にあることに『ボブログ編集部』では着目。

出典:【美容室編】美容センサス2025年上期 リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ

2025年上半期は1回当たりの平均利用金額は4,879円と前年比3.6%増であるものの、その多くは値上げによるものと言われています。

「客単価の伸び率」が減少傾向にあるのは10代〜20代。これからは「メンズ特化」を掲げてスタイル発信をするだけでは、差別化できない時代に突入しそう。これまで以上に世代ごとのニーズを理解し、提案する力が欠かせません。

そこで、『ボブログ』メンズ特集では細分化するニーズを分類。この5年で変化したメンズトレンドを振り返りながら、今、選ばれるメンズヘアとは何かを解き明かします!

まずはこの5年のメンズヘアトレンドを見てみよう。

2020年以降、メンズサロンで圧倒的にオーダー率が増えたのが「スパイラルパーマ」「ツイストスパイラル」「波巻きパーマ」。骨格ごとの似合せバリエも増え、メンズパーマ比率も圧倒的に向上しました。

これらのカール感を楽しむスタイルから、ナチュラルな毛流れを楽しむスタイルにトレンドが変化してきたのが2年くらい前から。

GOALD 佐藤拓弥さんはこの傾向をいち早くキャッチし、打ち出しスタイルを変化させてきました。

GOALD 佐藤

「GOALDではいち早く、GOALD プロデューサーの室井聖也が中心となって羽のようにやわらかいパーマをかけたフェザーショートを打ち出しました。今もツイストスパイラルのニーズはありますが、毛束を強調するスタイルよりも、ナチュラルでラフに決まるパーマスタイルが人気ですね」

以下の〈メンズヘア5年トレンド〉からも、「ツイストスパイラルパーマ」や「波巻きパーマ」を楽しんでいたメンズ層が「フェザーパーマ」や「シャドウパーマ」に移行していることがわかります。

ロッドで巻かない羽の質感

●特徴:
・羽のようにやわらかい動きを、ロッドを使わずパーマで表現
・前髪の立ち上がりから続くサイドのカーブ

●こんなメンズへ
・リッジ強めのパーマからスタイルチェンジしたい人
・パーマなしのセンターパートに飽きた人

韓国ヘアとも相性の良い、ランダム仕上げ

●特徴:
・えり足長めのベースに全体をランダム巻き
・毛先のバラつきを強調し、ラフに仕上げる

●こんなメンズへ
・リッジ強めのパーマから、ゆるめに移行したい人
・韓国ヘアが好きな人

カッコイイ大人のための“ゆるパーマ”

●特徴:
・リッジを出すのではなく、毛流れをつけるためのパーマ
・毛先のバラつきを強調し、ラフに仕上げる

●こんなメンズへ
・センターパートからのスタイルチェンジ
・伸ばしたいけれど直毛すぎる人

ラフな束感のY2Kヘア

●特徴:
・前髪はジグザグ、トップは短めでラフに立ち上がるスパイキーな束感
・髪質によってパーマをかける場合も
・写真はスパイキーショートから発展した「ナードショート」

●こんなメンズへ
・Y2Kスタイルやストリートカルチャーが好きな人
・スパイキーショートから伸ばしたい人
・ヘアで個性を出したい、感度高めのファッション男子

パーマをかけずに“ゆる仕上げ”

●特徴:
・ワンレンベースで重さを残す
・顔型によって顔周りにステップカットでライン感をつくるか、レイヤーを入れる

●こんなメンズへ
・マッシュスタイルから伸ばしたい人
・中性的な男性像の人

▶︎東京3サロン〈GOALD〉〈fifth〉〈ALBUM〉、大阪2サロン〈Loji〉〈laji〉のメンズヘア提案は7月18日から随時公開予定!

次は先ほどのヘアスタイルを年代・ファッションジャンル別に分類。ほとんどの世代・ジャンルで毛束感が強いスタイルよりも、カール感が強すぎず、ラフな動きを求めていることがわかります。

Y2Kファッションに寄るほど毛束感が強く、大人ファッションに寄るほど毛束感は弱い傾向に。どの世代・ファッションでも毛束感の強すぎるスタイルは減っています。

「ツイストスパイラルパーマ」や「波巻きパーマ」から、ゆるめのパーマやナチュラルなヘアデザインに移行した理由は、韓国ヘア人気の影響が大きいよう。近年、レディース市場でトレンド入りしたヘアの傾向は、必ずメンズ市場にも連動しています。

2025年秋冬にかけては、パーマをかけたい人は「ゆるめパーマ」、パーマをかけない人は「ラフに動くウルフマッシュ」などナチュラルでデザイン性の高いヘアが支持されそう。
 
いずれも、「レイヤーを入れすぎない」のがポイント。レイヤーを入れすぎると束感が強くなり、今っぽく仕上がりにくくなるからです。カットベースは重さを残しながら、髪を動きやすくする「重軽レイヤー」が主流になりそうです。

Instagramで発信中のウルフマッシュ(Hair design:山田竜也/Laji)
韓国ヘアにLAテイストをミックスさせた、ラフなスタイルを提案中(Hair design:Julian/ALBUM)

ここ数カ月、ヘアスタイルをチェンジするメンズ美容師が増えています! アイコンとなる美容師のスタイルチェンジによってメンズ市場のトレンド変化はますます加速しそう。

YAHAGI
執筆者
YAHAGI

ほぼ毎日WEB記事、ときどき単行本。

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