定番&個性派!アンブレラカラーのやり方【ブロッキング〜カラー技術解説】薬剤レシピ付

定番&個性派!アンブレラカラーのやり方【ブロッキング〜カラー技術解説】薬剤レシピ付

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頭上に傘を広げたように髪表面が明るく、内側は暗いコントラストが魅力の「アンブレラカラー」。重要なブリーチ技術とオンカラー薬剤レシピをまとめました。Instagram集客のコツもあわせて解説!

Contents

アンブレラカラーとは

ベーシックな「ハイライト」、定番となった「インナーカラー」などのデザインカラーに加わったのが「アンブレラカラー」。ワントーンカラーに飽きたお客さま、ハイライトよりも個性的なスタイルを目指したいお客さまから支持をあつめており、レングスを問わないため、今後幅広い方へ提案できるデザインカラーとなりそうです。

  • 表面に明るい色、内側に暗い色(または地毛)を配置し、傘をさすように被せたヘアカラーのこと
  • 表面の明るい色は、①トップを薄く取るか、 ②チップでランダムに取り、ブリーチ後オンカラーが一般的

実際にアンブレラカラーをお客さまへ多く提案されている、堤良太さん[Un ami/東京都渋谷区]飯島明さん[SALOWIN IL salice/東京都渋谷区]お2人の写真を借りてアンブレラカラーのバリエーションを解説します。

アンブレラカラーvar.1 定番アンブレラカラー

表面に明るい色、内側に暗い色を配置した定番の「アンブレラカラー」です。表面はブリーチ後オンカラー。内側は地毛の暗さを活かす場合が多く、ヘアダメージが気になるお客さまへも提案しやすいデザインカラーです。

【表面・ブリーチ1回】1剤/アクセスフリー パウダーブリーチ(ナプラ) 2剤/OX6%2倍
【表面・オンカラー】1剤/アルティスト SBe/11(サンドベージュ):TG/11(トープグレージュ)=3:1(資生堂) 2剤…OX3%等倍
【内側】地毛

【表面・ブリーチ1回】1剤/ブリーチ120(アリミノ) 2剤/OX6%2倍
【表面・オンカラー】BLカラー クリア:8GB(グレイブラウン):8MT(モノトーン):V8(バイオレット)=4:1:1:10%(フィヨーレ) 2剤/OX1.5%等倍
【内側】地毛

アンブレラカラーvar.2 逆アンブレラカラー

var.1とは反対に、表面に暗い色、内側に明るい色を配置したのが「逆アンブレラカラー」です。逆アンブレラカラー最大のメリットは、根元が伸びても気になりにくいこと。表面に地毛を活かせばブリーチによるヘアダメージ範囲もおさえられます。

【表面】 地毛
【内側・ブリーチ2回】1剤/アクセスフリー パウダーブリーチ(ナプラ) 2剤/OX6% 1.5倍
【内側・オンカラー】1剤/キャラデコCREAR-t(クリアー):white/I(ホワイト):A purple/a(アクリルパープル):A orange/a(アクリルオレンジ)=1:20%:2%:2%(中野製薬) 2剤/OX3%等倍

表面・オンカラー1剤/アルティストTG/11(トープグレージュ):CB/11(カカオブラウン)=2:1(資生堂) 2剤/OX4%等倍
【内側・ブリーチ2回】/1剤/アクセスフリー パウダーブリーチ(ナプラ):プレックス剤=1:5% 2剤/OX6% 2倍
【内側・オンカラー】1剤/エドル Gr-13(グレージュ):IV(アイボリー):FP-13(フューシャピンク)=1:1:2%(ルベル) 2剤/OX3%等倍

アンブレラカラーvar.3 ヴィヴィッドアンブレラカラー

表面をブリーチ後、大胆なヴィヴィッドカラーをのせれば、より個性的なデザインに仕上がります。全頭ブリーチに抵抗はあるけれど、人とは違うヘアカラーを楽しみたいお客さまへ提案してみましょう。

【表面・ブリーチ2回】1剤/アクセスフリー パウダーブリーチ(ナプラ) 2剤/OX6% 2倍
【表面・オンカラー】1剤/オルディーブ アディクシー ブルー:クリア:7-P-Garnet(パープルガーネット)=5:5:2(ミルボン) 2剤/OX1.5%等倍
【内側】地毛

【表面・ブリーチ2回】1剤 / ブリーチ120(アリミノ) 2剤/OX3% 2倍
【表面・オンカラー】1剤/オルディーブ アディクシー クリア:ペールピンク:9-P-Garnet(パープルガーネット)=20:4:1、エノグ ホリッカーネオンピンク10% ※1剤+2剤量に対して10%(ミルボン) 2剤/OX1.5%等倍
【内側】地毛


【Insta新規集客50人/月】のYen.川尻敦史が提案する「アンブレラカラー」

ブリーチ率7割をほこり、Instagramでも安定した新規集客に成功している Yen.オーナー川尻さんに“ネクストアンブレラカラー”を提案してもらいました。サロンスタイルでも“限界まで攻めたデザイン”こそ他店との差別化になり、集客へつながります。失敗しないポイント、Instagramでの新規集客のコツもまとめます。

photo:Kaori Ito(Y’s C Inc.)
川尻敦史(かわしりあつし) / Yen.オーナー/東京都渋谷区
Profile
川尻敦史(かわしりあつし)

Yen.オーナー/東京都渋谷区

1992年11月5日、長崎県生まれ。佐世保美容専門学校を卒業後、都内2店舗、シェアサロンを経て、共同経営者である高橋拓海氏とともに2018年Loom.を表参道にオープン。2023年11月末に2店舗目Yen.を代官山エリアにオープンさせた。カットに定評のあるサロン出身でありながら、ブリーチ率7割以上。Instagramでの新規集客も50人以上/月と、スタイリストとしてもサロンを牽引する。

Instaで映える&目に留まる!「バイカラー・アンブレラ」

川尻さん

定番アンブレラカラーのように表面全体ではなく、
正方形のブロック状のチップを髪表面へランダムに配置することで、バイカラーデザインをより際立たせます。ハイライトや定番アンブレラカラーよりも個性的に仕上がり、目に留まることで集客にもつながるアンブレラカラーを目指しました。

BEFORE(2カ月前に縮毛矯正・ヘアカラー履歴はなし)

【サイド】横からみた時の立体感をプラスするW姫カット
【正面】骨格にあわせ眉上でカットしたU字バング
【バック】ラフな切りっぱなしボブ

AFTER(表面ブリーチ2回・オンカラー)

RECIPE

表面・ブリーチ2回 】
1剤 / フロームブリーチ(タマリス) 
2剤 /[1回目]OX4.5% 2倍[2回目]OX6% 2倍

表面・オンカラー
キャラデコミュゼリア(中野製薬)
根元1cm
1剤 / SMK5m(スモーキー):N3m(ナチュラル):V5m(バイオレット)=1:20%:5%
2剤 / AC3%等倍
中間~毛先
1剤 / L7m(ラベンダー):V7m(バイオレット):クリア=5:1:(L+Vの10倍量)
2剤 / AC3%等倍

アンブレラカラー3つのポイント

1.2回のブリーチで、ムラを排除してからオンカラー!
表面に明るい部分がしっかりと見えるアンブレラカラーは、2回ブリーチが基本。1回目のブリーチで出たムラを2回目のブリーチで均一に調整しましょう。

2.オンカラーの薬剤レシピは、なるべくブラウン量を少なく!
どうしても残留しやすいブラウン。次回以降のことを考えると、比較的抜けやすいモノトーンを代用したり、なるべくブラウン量をおさえる努力を。

3.次回以降の提案もセット
他のデザインカラー同様に、次回以降もブリーチ部分を活かしたデザインになることを説明しましょう。①同じ色をリタッチ ②違う色をのせる ③ブリーチ部分を増やしてハイライトデザインへチェンジなど。

川尻さん

チップを太くすればするほど、1回のブリーチだけではムラが出やすくなります。2回目のブリーチでしっかりムラを取りましょう。

Yen.川尻流のアンブレラカラー【技術解説】

ブロッキング・2回ブリーチ(加温15分×2回)

最初にブリーチする箇所を決めます。正中線上に左右非対称にチップを取るとバランスよく仕上がります。
「アンブレラカラー」の仕上がりを決めるのは、ブリーチの技術力です。今回のモデルは縮毛矯正の履歴があるため、様子を見ながら脱色できるフロームブリーチ(タマリス)をセレクト。2剤は1回目はOX4.5%、2回目はOX6%を使います。

7枚のホイルを使って「アンブレラカラー」をアレンジする。
根元1mmは最後にハケでぼかすようにブリーチ剤を塗布。
川尻さん

1回目のブリーチ剤をホイルで落としながら、毛束のムラの状態を確認します。そのムラがなくなるように2回目のブリーチ剤を塗布しましょう。

1回目のブリーチ剤をホイルで挟み込みながら落とす。
2回目のブリーチ剤を、ムラのある箇所へ塗布。

2回ブリーチ後

オンカラー

今回はホワイトベージュの仕上がりを目指して、①根元1cm ②中間~毛先で薬剤を塗り分けます。

川尻さん

僕の場合、根元への薬剤レシピ(オンカラー)は基本的に同じです。中間~毛先は、ブリーチ後の状態により変えています。なるべくブラウン量を少なくし、次回への残留が少ないことを意識しています。

オンカラーは、根元1cmと中間~毛先で塗り分ける。根元の薬剤が中間~毛先にとばないよう注意。

Instagram集客ができる人・できない人

2018年表参道に1店舗(6席・シャンプー3台・約23坪)、同規模の店舗を2023年11月代官山にオープンしたばかりの川尻さん。その成功の秘訣を聞きました。

――2店舗目を出せた(出した)理由を教えてください。

一番は、スタッフが辞めなかったことでしょうか。さらに、共同経営で僕ともう1人スタイリスト兼経営者がいるのも大きいですね。2人ともInstagramは力を入れてやっていて、もう1人の経営者の高橋のほうが新規集客数は多いかもしれません。お客さまの数も増えてきたので2店舗目を出すことができました。

――Instagramで集客する際に大切なことはなんでしょうか。

スタッフにもいつも言っているんですが「攻められるところまで攻める」ことですね。その結果、Instaで流れてきたポストを見ただけで「これはあの美容師さんのヘアデザインだ」と分かるようになることだと思います。
もう1つは、あえてライバルの多いレッドオーシャンではない場所を選ぶことでしょうか。例えば「ミルクティカラー」「ショートボブ」なんかはライバルも多く差別化が難しいですよね。そうではなくて、今回の「アンブレラカラー」などまだライバルが少ない場所を探した方がいいと思います。

――川尻さんは、いつもどのようなヘアデザインを心掛けていますか。

Instagramにあげる、あげないに関わらず、お客さまの希望ももちろん聞いたうえで、どこまで攻めていいか確認していることが多いですね(笑)。他サロンではできないヘアデザインを提供したいので、限界まで攻めるために交渉します。
Instagramにあげる写真は、モデルやお客さまが盛れているかどうか、背景にワゴンが映ったりタオルが山積みになっていないか、スタイリングはなるべくクセ毛風の動きをつけたり違和感が残るデザインを心掛けています。目に留まることが大切だと思うので。その積み重ねの結果が今の安定した新規集客数に返ってきているのかもしれません。

増田 歩
執筆者
増田 歩

「CHOKi CHOKi」「Ocappa」「BOB」 etc.からのフリーランスライターです。ボブとショートをいったりきたり、趣味にしたいのはヨガ。

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