【美容師の年収を徹底分析】2022年の平均年収は319万円

【美容師の年収を徹底分析】2022年の平均年収は319万円

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今年3月に発表された令和4年賃金構造基本統計調査から算出すると、美容師の平均年収は319万8,200円。
美容師の給料は安いと言われがちですが、実際のところ給与事情はどうなっているのでしょうか?
また給与は美容師としての働く意識にどう影響しているのでしょうか?
美容師の給与事情を取り巻くあれこれを調査!

Contents

美容師の年収は319万8,200円

最新の厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、美容師の年収は319万8,200円です(所定内給与額×12カ月×年間賞与その他特別給与額の計。「きまって支給する現金給与額」で算出すると330万14,00円となる)。さて、この金額は高いのでしょうか? 安いのでしょうか?
日本人の平均年収は443万円国税庁『令和3年分 民間給与実態統計調査結果』)というデータと比べると、安く感じるかもしれません。
でも実際は、アシスタントからスタイリストデビューし、その後の指名客数、店販売上などの歩合によっても変化し、役職についたり、独立、フリーランス、経営者など、どんなキャリアパスを選択していくかによっても大きく左右していくのが美容師の収入の特徴です。

美容師の時給は1,319円

先日、今年度の最低賃金(時給)について、厚生労働省は、全国平均で41円引き上げるとする目安を取りまとめました。この通りに改定された場合、最低賃金の全国平均は時給1,002円となり、初の1000円台に達します(詳細はこちらのニュース記事を参照)

美容師の短時間労働者の時給を全国平均と比べると、男女差は全国平均ほど開きがないことがわかります。

美容師の短時間労働者の平均時給

美容師の平均時給全国の平均時給
男女計1,319円1,367円
男性1,276円1,624円
女性1,319円1,270円
出典:令和4年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

美容師の月収は25万8,900円

次に、美容師の平均的なデータを見ていきましょう。

・年齢 33.6歳

・勤続年数 8.1年

・所定内実労働時間数 175時間

・超過実労働時間数 5時間

・きまって支給する現金給与額 26万7,500円

・所定内給与額 25万8,900円

※出典:令和4年賃金構造基本統計調査

※「所定内給与額」とは、「きまって支給する現金給与額」のうち、超過労働給与額を差し引き、所得税などを控除する前の額をさす。詳細はこちら。

美容師の平均月収は男性のほうが約4万円高く、全国平均と比べて安いことがわかります。

美容師の平均月収

美容師の平均月収全国の平均月収
男女計25万8,900円31万1,800円
男性28万7,400円34万2,000円
女性24万6,000円25万8,900円
出典:令和4年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

ただし、美容師の平均月収を経年で比較すると、上昇傾向にあります。
月収にはばらつきがあるものの、年間賞与が上がっていることがわかります。

男性美容師の平均月収(令和元年と4年を比較)

令和元年(2019年)令和4年(2022年)
月収(所定内給与額)29万4,000円28万7,400円
年間賞与その他特別給与額5万2,800円11万2,400円
年収353万7,600円356万1,200円
出典:令和元年、令和4年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

女性美容師の平均月収(令和元年と4年を比較)

令和元年(2019年)令和4年(2022年)
月収(所定内給与額)23万8,000円24万6,000円
年間賞与その他特別給与額5万1,700円8万1,900円
年収290万7,700円303万3,900円
出典:令和元年、令和4年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

美容師にとって給与は働くにあたって重要か?

ここまで具体的な金額面を紹介してきましたが、実際のところ給与は美容師として働く上でどのくらい影響しているのでしょうか。

働くにあたって最も重要なこと

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

現在、美容師として働く人にとって微差ですが、給与よりも周囲のスタッフの人柄を重視する割合が多そうです。

転職した理由
(※現在も美容師の人ベース、複数回答)

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

現在も美容師として働く人が別のサロンへ転職した理由の第1位は給与への不満でした。

初めて就職したサロンを退職・転職した理由
(※現在は美容師でない人ベース、複数回答)

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

現在、美容業からは離れた人の退職・転職理由では、給与への不満は3位。1位、2位は人生のターニングポイントを迎えたり、体調不良といった、他の職種でも理由としては上位になりやすい項目です。それらを考慮すると、給与に対しての満足度は、美容師が働き続ける上で切っても切れない要素と言えそうです。

美容師の仕事への満足度や、いきいきと働くことへの肯定感は高い

美容師は一般的に平均年収が低くて、給与への不満が離職のきっかけになる……という面だけ見ると、働きがいがないのかと思ってしまうかもしれません。間違いなく美容師の仕事は他の業種に比べて長い時間をかけ、技術やセンスを磨き続けなければなりません。実力だけでなく、特に現在はSNSなどで個人の集客力をいかにあげていくかということにも取り組んでいる人も多いでしょう。
そうした長い時間をかけ切磋琢磨していくなかで、美容師の仕事について他の美容の業種(ネイル、エステティック、リラクゼーション、アイビューティ)と比べて、仕事そのものへの満足度や、職場の人間関係、成長実感などどの項目においても高い割合となっているのが特徴です。

仕事そのものに満足している
(※あてはまる計で美容の業種ごとに比較)

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

職場の人間関係に満足している
(※あてはまる計で美容の業種ごとに比較)

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

仕事を通じて「成長している」という実感を持っている
(※あてはまる計で美容の業種ごとに比較)

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

今後のキャリアの見通しが開けている
(※あてはまる計で美容の業種ごとに比較)

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

いきいきと働くことができている
(※あてはまる計で美容の業種ごとに比較)

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

仕事と私生活の調和がとれている
(※あてはまる計で美容の業種ごとに比較)

出典:「美容就業実態調査(2023年)」(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー

実力がものを言う、厳しい美容師の世界。しかし逆に言えば、実力でのし上がっていける世界でもあります。たとえば年収1000万円稼ぐ美容師は決して運だけでのし上がれたのではありません。間違いなく誰よりも努力していることでしょう。
年収を上げるも下げるも自分の実力次第であり、それが美容師の仕事のおもしろさでもあるのです。

マキピピ
執筆者
マキピピ

ヘアデザインのこと、パーマ、データ分析が得意な全頭ブリーチ族。好きなことは海外旅行。苦手なことは貯金。

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