〈ブリーチトラブル対策室〉へようこそ!黒染めからのトーンアップで絶対失敗しないレシピはこれだ!

〈ブリーチトラブル対策室〉へようこそ!黒染めからのトーンアップで絶対失敗しないレシピはこれだ!

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photo : 佐野一樹

この10年程で定番化、今年はトレンドにカムバックしそうなブリーチカラー。ダメージレスかつ仕上がりのよさを両立するためには、経験がものをいう。さらに、ブリーチ施術にはトラブルがつきものだ。

今回は、新生活が落ち着いた頃に増え始める「黒染めからのトーンアップ」を題材に、中澤流の【絶対失敗しないレシピ】の考え方をお伝え。

Vardy 中澤卓也

・約300種類のヘアカラー剤、6種類のブリーチ剤をサロンワークで使用
・理論的かつ失敗の少ないヘアカラーレシピに定評あり
・ヘアカラー特化型オンラインサロンANOTHER主宰
・年間約50回 カラーセミナー講師講師など

Vardy中澤さんが、ヘアカラー特化型オンラインサロンを始めたのは3年前。250名を超える会員は老若男女、アシスタントから経営者までと幅広い。それもそのはず、カラー剤の進化がある限り、美容師側も使いこなすための知識と経験が必要とされるからだ。

中澤さん

まず最初に、今回扱う「黒染め残留」は、グレイカラーや黒染め用の市販ヘアカラー、さらにファッションカラーの下記によるものも含みます。
・3レベルのブルー
・3レベルのブラウン など
※上記でも薬剤ブランドによっては、残留せずブリーチで抜けるものもあります。

中澤さん

今回は、簡単で汎用性の高い「オンカラーで補正」しましょう!再度ブリーチしてムラを補正する方法もありますが、個人差があり難しいので扱いません。

そもそも残留部分には、赤味または黄味が残っている。そのため、“残留していない部分”に「ウォームブラウン」をミックスし赤味を足すことでムラが補正される。残留している部分と、“残留していない部分”を塗り分ける。

case.1 中間に黒染め残留がある場合のレシピ

中間に黒染め残留がある場合は、法則➀と法則②を当てはめ、
さらにPoint➀とPoint②を加味して考える必要がある。

中間に残留がある場合、根元と毛先の薬剤は同じでOK

case.1 Recipe


プリミエンス(資生堂プロフェッショナル) 2剤:OX3% 等倍


暖色へトーンアップ:
【根元・毛先】 P-7(ピンク):PtBe-7(プラチナベージュ):WB-7(ウォームブラウン):=1:10%:15%
【中間※残留あり】 P-7(ピンク)


寒色へトーンアップ:
【根元・毛先】 Aq-7(アクア):PtBe-7(プラチナベージュ):WB-7(ウォームブラウン):=1:10%:20%
【中間※残留あり】 Aq-7(アクア):PtBe-7(プラチナベージュ)=1:10%


中澤さん

寒色の場合、単純にウォームブラウンをミックスしただけでは残留部分とムラが出やすくなります。その場合、モノトーン系やグレー系の色味(今回はプラチナベージュ)を10%程度ミックスすると、全体の彩度を落として馴染ませる効果があります。

中間に残留があり、寒色へトーンアップしたい場合、モノトーン系やグレー系の色味を10%程度入れると、全体の彩度が落ちムラが出にくい

中澤さん

塗布中はコーミングで、根元・中間・毛先の薬剤をひっぱらないようにしましょう!

case.2 毛先に黒染め残留がある場合のレシピ

毛先に黒染め残留がある場合も、法則➀と法則②を当てはめて考える。

case.2 Recipe


エドル(ルベル) 2剤:OX3% 等倍


暖色へトーンアップ:
【根元~中間】 V-9(ヴァイオレット):WB-7(ウォームブラウン)=1:30%
【毛先 ※残留あり】 V-9(ヴァイオレット)


寒色へトーンアップ
【根元~中間】 NV-9(ネイビー):WB-7(ウォームブラウン):MT-7(モノトーン)=1:15%:15%
【毛先 ※残留あり】 NV-9(ネイビー)


アシスタントでも失敗しない理由

――残留によるムラを、ブリーチで補正しない理由を教えてください。

ベストなブリーチ剤の配合で施術すれば、残留色素がキレイに抜ける場合もあると思います。ただし、過去に使ったヘアカラー剤との相性はもちろん髪質などで変わるので、お客さまが変わる度に薬剤選定を見直す必要があります。オンカラーの薬剤で補正することができるほうが、広くサロンワークで役立ちます!

――残留部分に、青味を入れて補正しない理由を教えてください。

残留部分は、赤味または黄味が強く残っている状態です。赤味の補色は青緑色、黄味の補色は紫と補色が違うため、青みを入れてきれいにムラが補正されてホームランの可能性もありますが、アウトの可能性も高いんです。失敗しないレシピを今回紹介しました。

――ムラの補正にクリア剤をミックスするイメージがあるのですが。

残留によるムラを補正する際には、クリア剤は絶対に使用しません。クリア剤にはアルカリが含まれていないので、ムラも直すことができませんし、不確定要素は少ない方がいいと思っています。ベースがムラのないキレイな状態ですら、クリア剤により色ブレする時はあります。

――中澤さんのレシピの考え方を教えてください。

理論的に解説できるよう心掛けていて、ある一定の法則を守れば、誰でもできるレシピづくり、感覚に一切頼らないレシピづくりを心掛けています。

中澤卓也 / Vardy 表参道 代表
Profile
中澤卓也

Vardy 表参道 代表

1991年生まれ、神奈川県出身。ベルエポック美容専門学校を卒業後、都内数店舗を経て23年4月に吉永大介氏とともに「Vardy(ヴァーディ)」をオープン。顧客層は20代後半~40代までと幅広いにも関わらず、ブリーチ率100%。22年にカラー特化型オンラインサロン「ANOTHER」で全国の美容師から支持を集め、現在はセミナーにもひっぱりだこな人気講師。

増田 歩
執筆者
増田 歩

「CHOKi CHOKi」「Ocappa」「BOB」 etc.からのフリーランスライターです。ボブとショートをいったりきたり、趣味にしたいのはヨガ。

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