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予約ゼロの日、どう過ごす…?
美容師ライター、操作イトウが日常の“サロンワークを乗り越えるヒント”を探るコラム連載第3回。出勤前にスマホで予約表を開くと、そこには何もない——。サロンワークで最もプレッシャーを感じる「空白の日」に、どう向き合う?
illust:モリスン
出勤前からスマホで予約表を見るなり感じる、焦燥感。今日の予約、ゼロ。マジかよ…。
サロンワークで最もプレッシャーを感じる空白の日、それが“予約ゼロの日”。
「さて、今日一日どう過ごそうかな…」
これは美容師にとって試練の日か、それとも…?
「予約ゼロ」は、自分のせい?
売れっ子の同僚が忙しく働くなか、自分だけ露骨に暇になっちゃったりすると、「自分にはセンスがないのか?」と不安な気持ちになっちゃいますよね。
でも、予約ゼロの理由は自分だけのせいではないことも多い。キャンセルやタイミング、時期的な要因も絡むものです。
2月の閑散期なら、なおさら。自分にはどうにもできない要素に、美容師は振り回されがち。
けど、これを“自分ごと”にして気を揉んでも、改善策にはならない。予約表を何度見返しても変わらないなら、サッサと切り替えて「何をしようかな」と切り替えてみるのが得策です。
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サロン勤めとフリーランス
メンタルケアの違い
とはいえ、「今、何をすべきか」がわからない。
掃除? 事務作業? 技術の勉強…?
そもそも、正規雇用の『サロン勤めの美容師』と『フリーランス美容師』では、“予約ゼロ”の過ごし方が大きく異なります。
フリーランスは酸いも甘いも「自己責任」
フリーランス美容師はなんといっても、自由度が高い。
所属するお店のルールにもよるだろうけど、多くの面貸し/業務委託はお仕事さえキチンとこなせば、空いた時間にどこで何をしても怒られることはありません。
半休にしたり、いっそのこと休みにしてもいい。ちょっといいランチに行くとか、散歩がてら街を見回してみる。
こんなふうに、フリーランスは気持ちの切り替えがしやすいのが魅力。気軽にリフレッシュできるのが魅力。結果が出ない時は割り切ってメンタルケアに全振りするのは全然アリです。
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時間泥棒にだけは要注意
ただし、自由すぎる時間は、「スマホ沼」にハマりがち。
SNSやゲームに時間を奪われると、気づけば何も得られないまま一日が終わる…なんてことも。
また、金銭面の不安や確定申告など、フリーランスならではのプレッシャーもあります。「明日どうなるかわからない」という重みがずしっと、ずしっとつきまとうのです。
とはいえ魅力的な働き方。フリーランスを考える人も多いはず。以前にもフリーランスのリアルについて話しています。
サロン勤めの「予約ゼロ」はムズい
対してサロン勤めだと、ルールで時間を拘束されるから気持ちの切り替えが難しい。
「営業中は店内に居なきゃダメ」なサロンがほとんどで、さらに「スマホ禁止」となると、ただ時間をやり過ごすしかないようにも思えます。
不安を抱えて、ボーッとして。アシストに回ることも多い。正直、空いた時間を有益に使える事の方が珍しいと思います。
ですが、掃除してる“フリ”をしていてももったいない。まずは、職場とは違った目線がほしいですよね。
今日の営業は「小さな喜び」にすがる
例えば、アシストしたお客さんといつもより深く話してみる。「ティッシュ買ってきますね〜」とか言って、外の空気を吸いに出る。
小さくても「外界との接点」をつくって、新しい発見を掴みにいってみてはどうでしょうか。
もっとインスタントに気分を変えたいなら、音楽を聴くのもオススメ。お店のBGMなんて聞き飽きてるし、自分の好きな音楽に浸れば、気分もリセットできます。
たまには“誰かのオススメ”に手を伸ばしてみるのもイイ。人の心を揺さぶった一曲は、新しい視点を開いてくれるかもしれません。
というわけで、30年来の音楽フリークを自称する僕が、“ポジティブな気持ちにさせる”お洒落ポップスを3曲ピックアップしました。ご参考あれ。
🎧 操作イトウのプレイリスト
そして、やっぱりサロン勤めのメンタルケアはムズいのが事実。だからこそ、休みの日にリフレッシュする前提で「明日の休みはコレをやる!」と決めるのがモチベーションになると思います。
そこで、生粋の映画バカを自称する僕が、サブスクで今すぐ観れる“明日ちょっとやる気が出るかもしれない”お洒落映画も3本セレクトしました。
🎥 操作イトウのシネマライブラリ
音楽も映画もココでは語りませんが、もしグッと来るものがあったら、僕と語り合いましょう。笑
「予約ゼロ」を有益な時間に変えるヒント
さて、美容師としてもうちょっと身になりそうな話に戻すとして。
今の「予約ゼロ」の時間が、ただ焦るよりも自分を研ぎ澄ませる時間にできたらのが一番理想的。
「技術面」と「自己ブランディング」で、今すぐできそうなことを考えてみました。
技術の新情報は「やってみた感想」を大事
SNSを開けば、最新ヘアや薬剤の使い方のコツが次々と流れてくる。今なら、情報収集には困らないはず。
でも重要なのは、それを実際にやってみることです。
やってみてどうだったか?思った通りの仕上がりになった?どこが難しかった?といった、自分の感想が大事。
プロセスの意味が分かれば応用もできるし、「やってみた自分の体感」をベースに、今後も使うか使わないかを考える。
そうして手札を増やすことができたら、今日の予約ゼロも悪くなかったと思えるかも。
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社風に“染まらない”自己ブランディング
サロン勤めの美容師は、毎日同じ環境にいるから、いつの間にか価値観が固定化しがち。
「なぜその方法でやっているのか」「どうしてそのルールが必要なのか」ちょっと立ち止まって考えてみるだけで、今まで当たり前だったことが違って見えるかもしれません。
すると、そのプロセスの重要性を再確認できるし、反対にいつの間にか誰得?なルールになっていたりすることもあります。
大事なのは“同僚を頼らず、自分で考える”こと。
なぜなら、同僚は社風に染まりきっているかもしれないから。「そうやって、皆やってきたから」といった発言は、思考停止のサインです。
あらゆる工程に“自分なりの理由”を持つことで、自然と周りとの差別化につながるかもしれません。
それでも明日はやってくる
「予約ゼロ」は確かにしんどいけど、実は自分を見つめ直すチャンスでもあるんですね。
今、「何か変えよう」と考えたことはとりあえずやってみよう。小さな一歩が、次のチャンスにつながるはず。
皆さんが、明日を楽しみに迎えられますように。
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- 執筆者
- 操作 イトウ
東京都二子玉川を拠点にする30代美容師。 『ヘアスタイルはロジックで美しく、カッコよくなる』『ステキな美容師さんに出会ってほしい』をメインテーマにしたブログをnoteにて執筆。2020年から文春オンラインでの連載を開始、CREA等のwebメディアで定期掲載。
- Twitter : @itohcontroller
- Instagram : @itohcontroller
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