「海外スタイル」と一括りにできた時代はもう過去のもの。欧米の洗練された透明感、韓国や中国のツヤ感——それぞれのトレンドが交差し、ヘアデザインに新しいムーブメントが生まれている。そして秋冬にはハイトーンから暗髪へ、寒色から暖色へとトレンドが移り変わり、その表現も次々と進化。〈YVESS(イヴズ)〉のふたりが提案するのは、そんな海外のエッセンスを日本人になじませた低〜中明度のトレンドカラー。
PROFILE
#SHIORI “アイシー”
「海外のインフルエンサーが暗めのブラウンへシフトした流れを背景に、お客さまとトレンドの接点を捉えながら導き出したカラーです」と語るSHIORIさん。
真っ白な雪を思わせる“アイシー(ICY)”なスタイルに艶やかな『ブルネットブラウン』が映える。ポイントは、暗すぎず、くすみすぎず、寒色に頼りすぎない絶妙なニュートラル感。芯のあるツヤと凛とした透明感を際立たせつつ、ストレートヘアでも表情が生まれる仕上がりに。
Color
🅀 レシピのポイントは?
「赤みがない・暗すぎない・肌なじみがいい」の3つを意識して、オーシャンとフォレストで寒色のニュアンスを強調。ただ、それだけだと寒色に寄りすぎるのでサファリで中和し、肌なじみを良くしました。
さらに6トーンのヌードを少し効かせて透明感を引き立てつつ、明るくなりすぎないように調整。海外の女の子の地毛を思わせる、ナチュラルで洗練されたブルネットブラウンに仕上げています。
🅀 海外トレンドをどう落とし込む?
海外のセレブリティやインフルエンサーは常にチェックしています。特にシンガー兼インフルエンサーのマディソン・ビアーちゃんはUSのアイコン的存在で、彼女のような“地毛っぽい透明感”が今の気分にぴったり。お客さまも私と同じトレンドを見ているので、ブルネットへの気分は自然に共有できてる感覚があります。
また、中国のSNS「RED」も参考にしています。アジアと海外をミックスしたスタイルは中国でも人気で、その色使いやバランス感は日本人にも取り入れやすいんです。
#manaka “ワンホンモード”
「街でベージュカラーが目に留まると、この配合は何だろう?ってつい考えちゃいます。色落ちまで想像してレシピを組むのが癖なんです」と話すmanakaさん。
ミルクティーカラーを得意とする彼女が提案するのは、ワンホン風のツヤとモードさをまとわせつつ、ほんのり“ギャル”を仕込んだ『ミルクティーグレージュ』。春夏に多かったハイトーンから秋冬はブラウンやピンクをプラスして、肌なじみのいい温かみを演出。くすみを効かせて、上品さと抜け感を両立させた。
Color
微残留ミルクティーベージュ
🅀 レシピのポイントは?
ヌードは絶対に入れる色で、ベースのくすみ感をつくるのに欠かせません。ビーチはピンクみのある色味で寒色に寄りすぎるのを防ぎ、肌なじみを良くしてくれるのがポイントです。今は“色落ちまでかわいい”はマスト。一番気になる黄みを抑えつつ、透明感と抜け感をキープしました。
この色は、私が初めて染めた思い出深いカラーで、デビューした時の勝負カラーでもあります。今回はワンホンっぽいモード感と“ちょいギャル”な遊び心をオンした、トレンドスタイルに仕上げました。
🅀 ミルクティーカラーのトレンド傾向は?
ピンクを取り入れたブラウンなど暖色系へシフトしています。注目しているのは、“ワンホン風カラー”。TikTokやYouTubeでも中華系ファッションやメイクが注目されていて、その流れがヘアカラーにもきていますね。
私自身も「RED」で中華ギャルをチェックしていて、“こっくりした儚げなカラー”を打ち出しています。カラーにくすみを足すと、唯一無二の雰囲気を作れるんです。お客さまもその“特別感”を求めているので、寒色と暖色のバランスがカギだと感じています。
- 執筆者
- 木村 麗音
日本美容専門学校を卒業後、都内ヘアサロンを経てキャリア転換。少年ジャンプ編集部で3年編集アシスタントを務める。その後、髪書房に入社しウェブメディア「ボブログ」の編集およびメディアマーケティングを担当。
- Twitter : @kamishobo
- Instagram : @bobstagram_kamishobo