次に日本で流行るのは…韓国レイヤーの【丸み】【かわいい】【色っぽい】
韓国のトレンドセッターと噂される「ヨニン(YONING)」キム・ハルの切り込んだレイヤーを「レディアル(REDEAL)」中村雄樹が徹底解剖。
写真:相原サン(韓国)、山﨑美津留(日本)
REDEAL 中村雄樹さんがずっと気になっていた韓国の美容師がいる。
「切り込んだレイヤーなのに、甘さがあってかわいい」スタイルをつくるキム・ハルさんだ。
この度、日韓レイヤー談義が実現。ヘアスタイルの需要やレイヤースタイルの考え方の違いにクローズアップする。
- Profile
- キム・ハル
YONING(ヨニン)室長
大学卒業後、1店舗を経て2021年ヨニン入社。アシスタント期間を経て、1年半前にスタイリストデビュー。現在はチームリーダーである「室長」としてサロンの教育を任されている。パーマ比率は70〜80%。多い日で1日15名のカット&パーマを担当する売れっ子スタイリスト。
- Instagram : @keemharu
ヨニンはソウル市チョンダムドンに位置し、俳優のパク・ボゴムやロックバンド「CNBLUE」ジョン・ヨンファなどの有名人のヘアメイクを手掛ける大型サロン。1店舗ながらも120名(スタイリスト60名・アシスタント60名)の美容師がサロンワークを行っている。
韓国で今求められている
最新レイヤーとは?
日本でもレイヤー需要はこの5年で大きく伸びている。
顔周りだけにレイヤーを入れる「ちょこっとレイヤー」の需要が多く、ハイレイヤーはまだまだ少ない日本だが、韓国のレイヤー需要はどう変化しているのだろうか?
僕はここ数年、中国のワンホンヘアなどを参考にしてきたので仕上がりが「辛め」。
ハルさんのスタイルはハイレイヤーが入っているのに「丸み」と「かわいらしさ」があって、「色っぽさ」も感じる。ハルさんがつくっているようなレイヤースタイルがこれから日本で流行ると思います。
僕だけでなく、韓国レイヤーで支持されている日本の美容師の間で、ハルさん上手! と有名ですよ。
カットが上手い美容師さんが多い中、日本で自分のことを見てくれている人がいることが信じられないです。
韓国では、5年前くらいだと「レイヤーを少ししか入れない重めスタイル」と「レイヤーをたくさん入れる軽いスタイル」が二極化していました。
今はその中間くらいのレイヤー量。重すぎず、軽すぎないレイヤースタイルが多いと思います。
【キム・ハルさんがつくるロングレイヤー】
顧客の求める要望によって、ハイレイヤーを多用したり、少なめに入れたり提案に幅を持たせているハルさん。レイヤーで大切なのはレイヤー量でも、角度でもなく、ボリュームコントロールだと言う。
女性のカットスタイルで一番大事なのは「小顔」に見えることだと思っています。
レイヤーを入れるとボリュームをより活かすことができるので、ボリュームのどこを活かしてどこを押さえるかを考えてカットを構成しています。
パーマでレイヤーをグレードアップ
このふんわり感はパーマですか?
【キム・ハルさんがつくるロングレイヤー】
レイヤーをベースにCカールのゆるいワンカールパーマをかけています。
根元だけコールドパーマで、中間〜毛先はセッティングパーマ(無重力状態でかける韓国式のパーマ)でかけることが多いですね。
日本は今、美髪文化。韓国はパーマ文化のため、美髪メニューよりもパーマで髪を動かすことに需要があり、だからこそレイヤーが流行りやすいと言える。
レイヤースタイルは手間が増える分、美意識が変革するきっかけになると思います。
日本でもレイヤーを入れる女性が増えるほど、ヘアスタイルのフォルムコントロールを楽しむ人が増えて、おしゃれに貪欲な人が増えるはず。
それは購買変化や経済効果にもきっとつながります!
SNSで切り込むレイヤーを
発信しすぎるとお客が減る?
切り込むレイヤーをSNSで発信しすぎると、レイヤーをたくさん入れたくないお客さまが減っちゃうんじゃないかって日本の美容師の間では今、言われています。
ハルさんのお客さまは、レイヤーを求めて来店する方が多いですよね?
そうですね。全体にレイヤーの入ったスタイルを求めて来店するお客さまが多いです。
だから日韓で人気が続いているヨシンモリをインスタグラムに上げていないんですね。
提案している美容師が多いヘアスタイルほど、SNSでの反応が薄くなるのは日本も同じ。
韓国でも切り込むレイヤーを求める人は少数派だけれど、特化してブランディングができていればお客さまが来てくれるのは日韓同じだと感じました。
日韓美容師レイヤー比べ
中村雄樹さんのレイヤーとキム・ハルさんのレイヤーを比較してみた。
アイロンとパーマの違いはあれど、目指すシルエットやレイヤーを駆使したボリュームコントロールに共通項も発見。
ハルさんのレイヤースタイルは全体をつなげて切られているのに対し、僕はレイヤーを入れる部分を見極めて、つなげないでレイヤーを部分的に入れることが多いです。
ハルさんのボリュームの出し方はスタイリング時に参考にしていますね!
【キム・ハルさんのロングレイヤー】
ハルさんが使用するスタイリング剤はエッセンス(軽めのオイル)のみ。
エッセンスを使用するのはスタイリングが目的ではなく、髪に栄養を与えツヤを出すことが目的。髪の動きはあくまでもレイヤーカットとパーマで表現しているのだ。
スタイリング剤をたくさんつけるとカールが崩れちゃいますよね。
僕もオイルは使わないです。ブローして、アイロンを軽く入れた後、ツヤスプレーで束感を出すくらいです。
【中村雄樹さんのロングレイヤー】
スタイリングでつくり込み過ぎるのが好きじゃなくて、自然な仕上がりを目指しています。
わかります! ハルさんのスタイルは毛先がきれいな散り方をしているのに、つくり込んでいないかわいさがありますよね。
それでいて、カットは切り込んでいてシルエットが完璧! ベースカットでちゃんと形が作られているんですよね。
対談を経て・・・「ハルさんのレイヤーは日本で流行る!」
対談を経て、中村さんはアンダーとミドルのレイヤーを増やしたと言う。
【中村雄樹さんの最近のロングレイヤー】
アンダーとミドルにベースカットでレイヤーを増やすと中間に「くびれ」が生まれる。さらに、毛先の厚みも増やし、角をつくってかわいさもプラスした。
日本では今、若手美容師でレイヤーを入れられる美容師があまりいないですよね。
僕も実際、20代前半は「切りっぱなしボブ」全盛時代で、レイヤーは独立してから学びました。
日本は今、美髪文化です。レイヤーやパーマで髪を動かす需要が今はさほど大きくないですが、今まで以上にヘアデザインを楽しめるレイヤースタイルがもっと増えてほしい。
レイヤースタイルを怖がらずにどんどん提案できる文化を僕たち若手美容師からつくっていきたいですね!
今回ハルさんと話して、より日本のこれからのトレンドが明確になったという中村さん。「色っぽさ」と「丸み」と「かわいさ」が共存するレイヤースタイルを提案したいと言う。
- Profile
- 中村雄樹
REDEAL(レディアル) 代表取締役
1994年8月15日、埼玉県生まれ。埼玉県理容美容専門学校卒業後、都内サロンで2年目でカラー指名売上200万円を達成。2020年、埼玉・大宮にREDEALをオープン。2023年には渋谷に旗艦店を出店。Z世代代表としてブランディングや経営手腕が注目される他、中国をはじめとするアジアに向けた技術セミナーでも活躍。
- Instagram : @hanpen_redeal_0815