ブリーチなしの先駆者「Tierra」スガシュンスケが伝授! ハイエンドな“ブラウンベージュ”

ブリーチなしの先駆者「Tierra」スガシュンスケが伝授! ハイエンドな“ブラウンベージュ”

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支持のあついブリーチなしの透明感ヘアカラー。ファッショントレンドの影響を受け、ヘアカラーも自然なブラウンやベージュカラーの需要がより高まっているようです。透明感・ツヤ感に加え、やわらかさのあるハイエンドなブラウンベージュのつくり方・薬剤レシピを解説します。

Contents

#ブリーチなし #透明感カラー

2021年ごろからInstagramで見かけるようになった「#ブリーチなし」の「#透明感カラー」は、ハイライトなどのブリーチ・デザインが盛り上がりを見せる一方で、一定の顧客層から支持を集め続けてきました。

グレージュ系、ミルクティーカラーなどの明るいヘアカラーが「ブリーチなし」でできるのであれば挑戦したい、とより幅広い世代から需要が集まっています。

「ブリーチなし」カラーのメリット・デメリット
(ブリーチした時と比べて)

今回は、Instagramで「#ブリーチなし」のタグをいち早く活用し、新規顧客数が160人/月という驚異の実績を持つ、スガシュンスケさんTierra/東京都渋谷区]を取材しました。

スガさん

「ブリーチなし」だからこその【ツヤ感】を求めて来店される方が多いですね。さらに【透明感】と【ダメージが少ない】ヘアカラーであること、僕のお客様は【施術時間の短さ】も重要視されているように感じます。【明るさ】はグレージュ系で6~7レベル、ベージュ系なら10レベル前後の仕上がりを希望される方が多いです。

ブリーチなし透明感カラーver.1
寒色系【アッシュ系・グレージュ系など】

来店時の赤みやオレンジみをしっかり消したい方には、寒色系の薬剤レシピをおすすめ。

クールで大人っぽい印象をつくります。ラベンダーを絶妙に配合することで、ブリーチなしでも灰色っぽく発色します。

ブリーチなし透明感カラーver.2
暖色系【オリーブ系、ブラウン系、ベージュ系など】

柔らかさを残しつつ、ほどよく地毛の赤みをおさえたい方におすすめ。

暖色系は顔色を良く見せる効果もあり、透明感も出やすい。オリーブやアッシュカラーの薬剤を中心に、補色としてピンク系をミックスするのがスガさん流。

スガさん

初来店時は
①お客さまそれぞれの髪質(メラニン量や髪の細さなど)
②過去の施術履歴の見極め(ヘアカラー、縮毛矯正、ストレートパーマ、デジタルパーマ、髪質改善(酸熱トリートメント)等

が重要になります。
「ブリーチなし」のヘアカラーの場合、①と②により、希望の明るさまで1度の施術で仕上がる方。2回・3回とカラーを繰り返すことで徐々に明るくする必要がある方もいます。

上質なブラウンベージュの
つくり方・薬剤レシピ

編集部

ファッションでは「クワイエット・ラグジュアリー」がトレンドを牽引しています。文字通り、静かで控えめな、品格・上質がキーワードです。ヘアカラーも自然なブラウンやベージュカラーの需要がより高まっているようですね。

透明感・ツヤ感に加え、やわらかさのあるハイエンドなブラウンベージュを「ブリーチなし」ヘアカラーを極めたスガさんに提案していただきました。

photo:Kaori Ito(Y’s C Inc.)

BEFORE/AFTER

柔らかさと品格を持ち合わせた、10レベルのブラウンベージュを目指します。
シングルカラープロセス(3種類の薬剤を塗り分け)で、しっかりブラウンベージュの色みを出しながら、透明感とツヤ感のある、柔らかい質感のヘアカラーに仕上がりました。

【BEFORE】
乾燥毛/普通~細い/毛量多い/表面の髪が硬い/1カ月半ぶりのヘアカラー/表面は褪色し赤みとオレンジみあり/毛先にギラつくような痛みと褪色あり

【AFTER】



HAIR COLOR RECIPE(いずれもイルミナカラー)

根元(新生部)】
1剤 / ビーチ-12:フォレスト-8 =1:1 
2剤 /OX6% 1.5倍

内側(褪色していない暗い部分)
1剤 / ビーチ-12:フォレスト-8:サンライト =1:1:2 
2剤 /OX6% 2倍

表面(褪色が激しい部分)】
1剤 / ビーチ-10:フォレスト-10:アンバー-8 =1:1:20% 
2剤 /OX1.5% 等倍

スガさん

薬剤③のフォレストが、8レベルではなく10レベルの理由が分かりますか?
表面は褪色が進み、オレンジみが強くなっています。そこに8レベルの緑色系が入ると強く発色しすぎてしまうため10レベルにしています。

ここがスガ流「ブリーチなし」「透明感」ヘアカラーPOINT

「褪色して明るい表面」と「褪色していない内側」は塗り分けて透明感アップ!

「褪色して明るい表面」と「褪色していない内側」は塗り分けて透明感アップ!
表面は10レベルまで褪色しているが、紫外線の当たらない内側は8レベル程度。薬剤レシピを変えて塗り分けることで、内側の明度を上げ、全体の透明感をアップ。

フェイスラインの髪が褪色した表面よりも明るい場合は、リフトしやすいと判断!

フェイスラインの髪が褪色した表面よりも明るい場合は、リフトしやすいと判断!
乾燥毛+顔周りの髪が表面と比較しても明るいため、非常にリフトしやすいと判断。通常は、フロントがスタイリスト/バックがアシスタントで塗り分けるが、仕上がり重視で正中線上で分けて左右で塗り分ける。
スガさん

今回のモデルさんは、乾燥毛なのでリフトしやすいと予想しました。
OX量はカラー剤によって決まっていますが、残留色素や元々メラニン量が多い髪には、1剤の色素量をクリア剤で調整したり、2剤のOX量を調整する必要があります。

【技術解説】
3カップで塗り分ける

1カラーで3カップ塗り分けと言われると、根元・中間・毛先の塗り分けをイメージされる方が多いかもしれません。
今回、モデルのBefore状態から、
1)根元
2)褪色していない内側部分(アンダー部分)
3)褪色した表面部分(オーバー部分)で塗り分けます。
そうすることで、しっかり色味が感じられるのに透明感のある仕上がりへ近づきます。

塗布時間は【約5分】(スタイリスト1名・アシスタント1名)。さらに放置時間は【15分程度】です。

根元(新生部)に薬剤①を塗布

新生部の根元から塗布スタート。今回は正中線で左右にわけて、アシスタントと同時に塗布していく。

カップ① 根元(新生部)】
1剤 / ビーチ-12:フォレスト-8 =1:1 
2剤 /OX6% 1.5倍

内側の褪色していない暗い部分に薬剤②を塗布

褪色しているトップ部分を除き、ミドル~アンダー部分の暗いカ所に薬剤②を塗布する。

カップ②内側(褪色していない暗い部分)
1剤 / ビーチ-12:フォレスト-8:サンライト =1:1:2 
2剤 /OX6% 2倍

表面の明るく褪色した部分に薬剤③を塗布

褪色しているトップに薬剤③を塗布する。
顔周り・こめかみ部分の地毛が明るい箇所にも薬剤③を塗布。今回は根元に薬剤①を塗布した後に施術。

カップ③表面(褪色が激しい部分)】
1剤 / ビーチ-10:フォレスト-10:アンバー-8 =1:1:20% 
2剤 /OX1.5% 等倍

スガさん

根元はドライでカラー剤を塗布、中間~毛先はウエット状態で塗布することが多いです。新規のお客さまの場合は、ドライで見た方が髪の状態が分かりやすいと思います。施術履歴が分かる既存のお客さまの場合、ウエット状態のほうが操作性もあがりますし、コーミングのひっかかりもないため髪も傷みにくいと考えます。


タイムパフォーマンスを上げる

「#ブリーチなし」「#透明感」カラーで
お客さまの生涯担当を目指す

──「ブリーチなし」「透明感カラー」をやろうと思ったキッカケを教えてください。

お客さまのハイライトデザインをInstagramへ継続的に投稿したら、フォロワーが5,000人ほど増えた時期がありました。僕自身も毎日サロンワークでブリーチをしてハイライトデザインを提案していたのですが、数回ハイライトデザインを繰り返したお客さまの髪を見て、これはずっと続けられるデザインではない、髪がどうしても傷んでしまうと思い始めました。実際お客さまからも「髪が傷むからハイライトをやめたい」と言われたりして。ニッチではあるけれど「ブリーチなし」でTierraのサロンイメージとも合う「透明感カラー」を提案しようと思いました。

──やり始めてどう思いましたか。

お客様の髪の履歴によっては、ブリーチ施術は時間が読めませんよね。けれど、ブリーチなしのヘアカラーは普通のシングルプロセスカラーなので、カット+カラー+トリートメントで2時間におさまることがほとんどです。(複雑な髪の履歴をお持ちのお客さまを除く)お客さまのご予約も効率にとることができ、タイムパフォーマンスの高さを感じました。忙しいお客さまも多いので、明るいヘアカラーが短い時間でできるのは嬉しいと、想像以上に喜ばれます。

──160人/月の新規客数は、今もあるのでしょうか。

現在は新規のお客さまは、Instagramから月に15名様程です。これ以上ご予約を頂こうとすると既存のお客さまがご予約をとりにくくなってしまいますね。「ブリーチなし」のカラーは、続けることでより明るい髪色にも挑戦できますし、色味も変えて楽しめるのがメリット。既存のお客さまをしっかり大切にしたいと思っています。

──スガさんが大切にされていることを教えてください。

サロンワークも社内教育も「お客さまファースト」を大切にしています。例えば、お客さまの仕上がりの満足度を上げる技術はもちろん、期待値を超えるために何ができるのかを考えて実行したり、カウンセリングではお客さまがご自身のヘアスタイルに対して感じてらっしゃることを言葉にしていただけるように関わること、心の満足も意識しています。もう1点は「技術の更新」です。カットやカラーの提案がマンネリ化していないかは重要です。10年来のお客さまも多いですし生涯担当になることを目指しているので、自分自身が常に前向きに取り組む姿勢はお客さまに自然と伝わるものだと思っています。

──次に力を入れて取り組みたいと思っていることがあれば教えてください。

昨年から、縮毛矯正や髪質改善の知識を学び直しています。というのも、今多くのお客さまが求めるツヤ感に直結するものですし、他サロンで縮毛矯正や髪質改善施術をされて僕のところにヘアカラーで来られる方が多かったんですが、カラー剤の沈み込み方が違うなと思っているんです。元々パーマ施術が大好きで、さらにケミカル・オタクなこともあり、処理剤の勉強も楽しいですし日々のサロンワークにも活きています。

スガ シュンスケ / Tierra店長・ディレクター/東京都渋谷区
Profile
スガ シュンスケ

Tierra店長・ディレクター/東京都渋谷区

1989年12月4日、福岡県生まれ。大村美容ファッション専門学校を卒業後、Tierra(ティエラ)に入社。現在は同店の店長・ディレクターを務める。Instagramのフォロワーは2.7万人以上、新規集客数160人/月の驚異的な実績を持つ。新規客含め平均顧客単価は18,500円/月。3年ほど前に打ち出した、ダメージを最大限におさえる「ブリーチなし」「透明感カラー」で20代後半~40代の女性客から支持を集める。

増田 歩
執筆者
増田 歩

「CHOKi CHOKi」「Ocappa」「BOB」 etc.からのフリーランスライターです。ボブとショートをいったりきたり、趣味にしたいのはヨガ。

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