JHCIAが呼びかけ「ヘアカラー施術時に、手袋の着用を」

日本ヘアカラー工業会(田尾大介会長、以下JHCIA)は、理美容師がより安全かつ安心してヘアカラーを行うために、手袋着用の推進に取り組んでいる。

2023年7月、同会は2018年に続き、理美容師の手荒れや手袋着用の実態を把握するために調査を行った。その結果、理美容師の手荒れ経験者は依然として多く、約80%が手荒れを経験したことがあることが明らかとなった。

ヘアカラー施術時の手袋着用率は、「ヘアカラーを頭髪に塗る時に手袋をしている」が約68%と前回の調査から変化はなく、「ヘアカラーを洗い流す(プレーンリンス)時に、手袋をしている」についても依然低い水準ではあるものの、前回の調査からは若干の改善が見られた。

手袋は、ヘアカラーによる皮膚トラブルを予防する最も効果的な手段の一つ。手袋を着用することで、直接薬剤との接触を避けることができ、皮膚トラブルを軽減することができる。

同会は、今後も手袋着用の啓発活動や、手袋着用しやすい環境の整備などを通じて、手袋着用が一般的な習慣となるような文化を広げるための活動を継続していく。

【調査背景・概要】

理美容師がヘアカラーによる皮膚トラブルを経験する割合が、一般消費者と比較して著しく高いことが明らかとなっている。理美容師の皮膚トラブルを軽減するためには、薬剤との直接的な接触を回避できる手袋の着用が重要。JHCIAは、2017年から理美容師に対して手袋着用を奨励する啓発活動と理美容師のサポートを強化してきた。今回の調査と2018年の調査を比較し、効果を評価することで、今後の活動につなげていく。

【調査概要】
■調査地域:全国
■調査方法:web調査(クローズ型モニターサンプリング)
■調査対象:20歳以上 男女
理美容師免許取得者(現在従業中もしくは従業経験があり(休職1年未満))
本人および家族が化粧品・医薬品・トイレタリーメーカー、それに関する製造・流通・販売企業、広告代理店、調査会社、マスコミ・報道機関に勤務されていない方
■調査日:2023年6月30日(金)〜7月6日(月)
■サンプル数:n=1,101
■調査内容:理美容室でヘアカラーを施術する際の理美容師の手袋着用や理美容師の手荒れ及び理美容師自身の皮膚トラブル状況

【調査結果・詳細

■理美容師の手荒れ経験者は約8割
JHCIAが2023年7月に実施した調査によれば、理美容師の手荒れ経験者は依然として多く、約80%が経験したことがあることが明らかとなった。ヘアカラー施術時の手袋着用状況は、「ヘアカラーを頭髪に塗る時に手袋をしている」が約68%と前回の調査から変化はなく、「ヘアカラーを洗い流す(プレーンリンス)時に、手袋をしている」についても依然低い水準ではあるものの、前回の調査からは若干の改善が見られた。

■手荒れの状況
現在の手荒れの有無について、「ひどくしている」「少ししている」「過去に手荒れをしていたが、今は治った」に回答した合計は約81%。現在も手荒れをしている方(「ひどくしている」「少ししている」の回答者)は約55%だった。

手荒れの有無 2018年と2023年比較

■手袋着用状況
ヘアカラー施術時の手袋着用状況は、「ヘアカラーを頭髪に塗る時に手袋をしている」が約68%と前回の調査から変化はなく、「ヘアカラーを洗い流す(プレーンリンス)時に、手袋をしている」についても依然低い水準(約35%)ではあるものの、前回の調査からは若干の改善が見られた。

ヘアカラー施術時の手袋着用の有無 2018年と2023年比較

■「理美容師の手袋着用率」と「理美容師の手荒れ」との関係
「理美容師の手袋着用率」と「理美容師の手荒れ」との関係についての調査から、現在手荒れしている理美容師は、着用率が高く、逆に手荒れの経験がない理美容師は着用率が低い傾向があることが明らかとなった。

「理美容師の手袋着用率」と「理美容師の手荒れ」との関係

これらの調査結果から、理美容師の手荒れが依然として深刻な問題であることが浮かび上がった。

【課題】

・手袋着用の重要性に関する啓発活動が十分に浸透していない
・手袋着用しやすい環境が整っていない
・手袋着用が義務付けられていないため、着用率を向上させる動機づけが弱い

手袋着用は、ヘアカラーによる皮膚トラブルを予防する最も効果的な手段の一つであるため、今後も啓発活動や環境整備などを通じて、手袋着用率の向上に取り組むことが不可欠である。


【日本ヘアカラー工業会について】
■日本ヘアカラー工業会(JHCIA)とは
日本ヘアカラー工業会は、ヘアカラー工業の健全な発展を図るとともに会員相互の緊密な連繋をとり、国民文化の向上に寄与し、以って会員企業の繁栄を期することを目的としています。
活動概要
ヘアカラーに関する様々な業界自主基準の作成・改正、安全性や規制情報の収集とその分析、一般消費者や理美容師を対象とした調査の実施と啓発情報の提供、ヘアカラー等の薬事申請のノウハウを集めた染毛剤製造販売承認申請要領の作成・改訂など多岐にわたっています。
■会員数
正会員34社 賛助会員15社(2023年12月現在)
日本国内におけるヘアカラー製造販売業者及び製造業者である正会員とヘアカラーに関連する原材料及び包装容器製造業者等とする賛助会員より構成
■設立
1960年(昭和35年10月)
■所在地
〒103-0013
東京都中央区日本橋人形町2-4-9人形町双葉ビル9階
TEL:03-5643-3714  FAX:03-5643-3706