11月1日発売のNEXT LEADER12月号の特集は「新卒採用」。SNSを活用した空中戦が併用されるようになった新卒採用ですが、その一方で学校訪問やサロン見学などの地上戦が見直される契機にもなりました。いつの時代も学生が重視しているのは「会社の雰囲気や人間関係」。SNSで認知度が上がっても、入社後にギャップがあっては意味がありません。Z世代の美容学生に選ばれるサロンの共通点とは？ 　ハイブリッド時代の新卒採用の最前線を取材しました。

【編集部の取材ウラ話】

今月の特集は「新卒採用」。ちょうど1年前の12月号で「SNS時代の求人」という特集をしましたが、その続編とも言える内容になります。

「SNS時代の求人」特集では、これまでの学校訪問→ガイダンス参加→会社説明会／サロン見学→面接という「地上戦」に加えて、その合間の“知ってもらう”“来てもらう”“受けてもらう”という場面でLINEやインスタといったSNSを上手に活用するサロンが増えてきたことを伝えました。その時の記事が一番わかりやすいと思うので再掲します。

学校訪問から始まり、ガイダンス、サロン見学などを経て面接と進む新卒採用のプロセス。これまではこうした“地上戦”を充実させていけば一定数採用できていたが、ここ数年はSNSの“空中戦”を併用した求人が一般的になっている。

SNSの利点は、美容学校とのつながりが弱くても発信力さえあれば学生から興味を持ってもらえること。学生側も就職活動前の段階で多くのサロン情報を得ており、活動の早期化につながっている。また、最近はTikTokを活用するサロンも増えており、インスタグラム一強という図式も今後は崩れる可能性もある。

SNSのもう１つの利点はコミュニケーション力だ。ガイダンス参加後やサロン見学後など、継続的なコミュニケーションで学生の不安と取り除き、面接までスムーズに進める役割を担っている。


いずれにせよ、少子化や美容学生数減による売り手市場ということは変わらない。SNSは求人の本質ではないかもしれないが採用活動の名アシスタントであることは間違いない。上手に活用してサロンの成長につなげよう。

こうした状況は依然変わっていないのですが、今年はコロナの影響がなくなったこともあり、学校訪問やサロン見学といった「地上戦」の大切さがあらためて見直されるようになったのも特徴の1つです。

たとえば、今年すでに40名の採用枠が埋まっている大阪のhairs BERRYでは、就職ガイダンスだけではなく、美容学校での講習や模擬面接などの授業に積極的に協力し、学生とのリアルな接点を増やしています。また、サロン見学ではすべての学生を採用担当の女性が案内し、サロンワークだけでなく、予約表やタイムカードまで見せています。こうしたリアリティが、サロン見学者数65名→面接者数45名といった高い比率につながっているのだと思います。

一方でオンラインの活用を広げることで採用者数が増やしているのが京都に本拠を置くNYNY。これまで応募の条件は3店舗のサロン見学（実地）だったのですが、コロナ禍でオンラインサロン見学を認めたことで、エントリーのハードルが下がり面接者数が急増。遠方の学生にはオンライン面接も用意したことで、2022年4月は84名採用、2023年4月は94名採用と絶好調です。誌面では入社後の楽しい毎日を予感させるインスタの見せ方も詳解しています。

そして最後に紹介するのは、今年4月に292名を採用した神奈川のケンジグループ。「求人＝集客」を合言葉に、これまでの採用チームを営業部の管轄に変更。インスタ広告による認知度アップやランディングページへの誘導で、ガイダンス参加数、サロン見学者数を増やしています。また、サロン見学時は営業部所属の採用コンシェルジュが店舗チラシやご当地のお土産をプレゼントするなど、営業視点の求人を徹底。こうした取り組みが成果につながり、昨年の面接者数は350名を突破しました。
採用活動は学校訪問から内定者フォローまで多岐に渡るため、ケンジグループでは学校訪問、ガイダンス、サロン見学までは営業部の管轄。面接、内定者フォローは人事部の管轄と区分けしている点も見逃せない仕組みです。

今回のサロン取材は大規模な会社が多くなりましたが、インスタの見せ方、サロン見学の仕方など細かい点では小さな会社でも参考にできる採用ノウハウがたくさんあると思います。ぜひ参考にしてみてください。

以上、現場からでした。

＜今月のコンテンツ＞
・SNS時代だからこそ地に足をつけた求人を（取材協力／仁田隼人）
・「求人じゃなくて集客」という発想の転換（ケンジグループ／神奈川県藤沢市）
・振り幅の大きさで多くの学生にリーチ（NYNY／京都府京都市）
・働く楽しさをイメージさせる期待と安心へのアプローチ（hairs BERRY／大阪府大阪市）
・スタッフ30名をめざすローカルサロンの採用改革（logo life at garden／和歌山県田辺市）

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