集客、求人の悩み……焦る前に「集めない勇気」を! 安定がカギとなる時代の美容室経営とは?

集客、求人の悩み……焦る前に「集めない勇気」を! 安定がカギとなる時代の美容室経営とは?

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突然ですが……「2018年問題」って、知っていますか?

「2018年問題」とは、日本の18歳人口が2018 年ごろから減少し始めている問題のこと。18歳人口は1992年の205万人がピークで、2018 年以降は減少期に入り、2031年には100万人を割ると予測されています。

18歳の人口が減るとサロン経営にどんな影響を及ぼすのでしょうか。まず、直接的なのは美容学生の減少。つまり、働き手の確保が困難になってきます。

次に、若年層の人口が減少すると、少子高齢化がますます深刻になっていきます。少子高齢化が進むと、新しい客層を取り込んでいくことも困難に……。

今すでに、多くの美容室経営者が「求人」「集客」の問題で頭を悩ませているのではないでしょうか。

そんな時代だからこそ「やみくもに集めない」求人と集客に

どんな集客ツールを使えばお客さまが集まる? 求人には何が効く? SNS? TikTok? そんな悩みに追い込まれ、あれこれ手を出していませんか?

「こんな時代だからこそ、スタッフもお客さまも”集めるな”!」

そんなふうに警鐘を鳴らす1冊が発売されました。

小さなサロンは人もお客も集めるな! 能勢秀昭(株式会社サクラビト)
小さなサロンは人もお客も集めるな!
能勢秀昭(株式会社サクラビト)
定価 3,630円(税抜価格 3,300円)

――求人や集客に悩む今、なぜ「集めて」はいけないのでしょうか?

能勢秀昭さん

それは、やみくもに集めても「定着」しなければ意味がないからです。
求人や集客といった「集める」行動をする前に、スタッフや顧客が「離れない」仕組みを整えることが大切です!

――なるほど。今いる人たちを大切に……。ですが、スタッフを雇用し続けるためにも成長はマスト。「増やす」行動はしなくていいのでしょうか? サロンを成長させ続けたいからこそ、焦る気持ちもわかるなぁと思ってしまいます。

能勢秀和さん

そうですよね。これまでの美容室経営は減った分を集めて補い成長することができました。人口が増えている時代はそれで、まかなっていけましたが、すでにそれが難しい時代に突入していると思います。

――たしかに。では、どうやって増やしていけばいいのでしょうか?

能勢秀昭さん

美容室にとってスタッフや顧客は最大のリソース、つまり“財産”です。
今「足りていない」のなら、その悩みの原因は経営の問題と直結します。
その問題を解決すれば人が離れなくなり、サロンの魅力に合った人たちが「集まってくる」ようになります!

どうやって「人が離れないサロン」に? 組織づくりと店づくりで徹底的に“体質改善”を目指す!

本書では新しい時代の「集めない」集客や求人への転換をサポートしていきます。

そのサポートは3ステップ! 読み進めていきながら、自サロンの「人」の定着のための課題と「すべきこと」が段階を踏んでクリアになっていく構成です。

① 集客や教育の悩みから「今すべきこと」をチェックできる!

このように、集客や雇用にまつわる「よくある悩み」を計9つピックアップしています。

「集客は十分のはずなのに客数が増えない」「人手が足りないのでアシスタントをデビューさせられない」などなど……。

美容室経営者なら一度は感じたことのあるお悩みが満載。能勢さんが1,000人以上のオンラインサロン受講生やコンサルティングを手掛ける経営者のみなさんと関わってきた経験を活かした、“痛いほどよくわかるツボ”が満載です。

能勢秀昭さん

経営で重要なのは「失敗」から目をそらさず、成長のヒントにすることだと思います。
弊社もまだまだ課題は多く、1つひとつ解決している最中。まずはみなさんの悩みやつまずきに寄り添い、前を向くお手伝いができればと思い、こういった構成にしました!

② 安心して働くことができ、“売れ続ける美容師”に成長できる組織づくりを学ぶ!

これまでの美容室経営の人材育成は、次のようなもので、それぞれ課題がありました。

トップダウンのピラミッド型の組織 
→ 自主性や主体性が育たない

見て覚える、やって覚える教育 
→ ついてこられない人が淘汰されてしまう

売上中心、指名中心主義 
→ ライフステージの変化や多様な働き方に対応できない

それを、能勢さんは次のように変革していくべきだと言っています。

理念とマインド教育でつながる横並び組織
売れ続ける人を育てる早期デビューの仕組みとサポート
チームビルディングで協力し合う売り上げづくり

能勢秀昭さん

組織づくりで大切なのは、スタッフが安心してがんばれる環境をつくることです。
単に守ってばかりの「ぬるま湯」でも、不安や懲罰で支配する「外圧コントロール」の状態でも、どちらでも不十分です
しっかりとしたコミュニケーションやサポートと適切な負荷で、目的意識を持って自ら考えて行動できる人に育てていきます。

③ サロンのコンセプトに共感する人をめがけて“呼ぶ”集客で長いお付き合いを

サクラビトの組織づくりは「チームビルディング」。だからこそ、美容師1人ひとりが個人的に顧客との関係を築くのではなく、お店全体にファンになってもらう仕掛けをつくっています。

そこで重要なのが「コンセプト」。他のサロンにはない独自の強みを打ち出し、来店から退店まで一貫したコンセプトを感じる設備・メニュー・おもてなしを徹底する。そうして「他のサロンと違う価値」を感じてもらい、ファンにするというストーリーです。

能勢秀昭さん

サロンに顧客をつけるというと、一見「誰がやっても同じ」というようなシステマチックなサロンワークをイメージされるかと思います。ですが、サクラビトはそうではありません。
チームビルディングを構築して全員で確固たるコンセプトに向かうこと、何より、スタッフがコンセプトに強く共感していること、この2点が重要!
お客さまは「誰もが同じ熱量」であることに感動してくださいます。サロンのコンセプトを通して、顧客とスタッフの絆が深まるのです。

そんな風に、個人に依存しないサロンワークだからこそ、産休・育休を経ても復帰しやすく、売り上げが下がらないという大きなメリットがあります。

サクラビトでは2007年の創業以来16年、出産や育児による離職がゼロ。育児や介護、本人の闘病など、これまでは美容師として働くことをあきらめざるを得なかったさまざまなケースで、キャリアをあきらめなくてすむかもしれない。これからの時代に急務なパラダイムシフトではないでしょうか。

スタッフと顧客の「生涯美容」の関係づくりこそが小さなサロン繁栄の秘訣!

――最後に、集客と求人に悩む経営者のみなさん、読者のみなさんに一言お願いします!

能勢秀昭さん

これからの時代、現状の「足りないところ」を探して直させる教育や経営ではなく、“肯定”が大切だと弊社創業代表の山下(裕規さん)はいいます。

それは、山下自身が当時の勤め先の先生から“肯定する教育”を受けて心を救われた経験から、これなら離職の少ないお店がつくれる、美容師の可能性をもっと発揮できると、2007年の創業から強くこだわっている理念となっています。

長く積み重ねられた風土や習慣を変えるのは容易ではありませんが、仲間同士が信頼しあって、シナジー効果を発揮できる関係こそが、お客さまへのホスピタリティも発揮できると、創業以来16年で僕たち自身が痛感しています。

小さなサロン一つ一つは小さな存在かもしれませんが、みなさんが1歩でも前に進むことが、美容業界の可能性を広げると信じています。その1歩を踏み出すお手伝いがこの本でできれば、幸いです!

能勢秀昭 / 株式会社サクラビト 取締役社長
Profile
能勢秀昭

株式会社サクラビト 取締役社長

のせひであき◎1979年11月22日、兵庫県生まれ。BEAUTY ARTS KOBE通信科を卒業。兵庫県内のサロン勤務ののち、2014年に株式会社サクラビトに参加。2017年に取締役社長に就任。「人」の問題に悩む美容師や経営者の悩みに応えるべく、オンラインサロンやコンサルティング事業も手がける。受講生は1,000名を超える(2023年10月現在)。

小さなサロンは人もお客も集めるな! 能勢秀昭(株式会社サクラビト)
小さなサロンは人もお客も集めるな!
能勢秀昭(株式会社サクラビト)
定価 3,630円(税抜価格 3,300円)
求人難に集客難……人は“呼ばずに集める“!
小規模サロン究極の王道は“愛される“経営
「どんなに新規集客しても売り上げがジリジリと下がっていく……」
「育てても人が辞めて行く……不安で眠れない」

1人でもスタッフを雇用している経営者にとって、現代で一番悩ましいのが「人」の問題。集客、求人が目下の悩みだと思います。

そんな現代だからこそ“集めない”ことを提唱するのが(株)サクラビト取締役社長の能勢秀昭氏。同社は創業以来、人とのつながりを何よりも大切にした経営方針で着実に成長。

「集客よりもまず確実なリピート」
「スタッフの本質的教育で離職減・採用安定」
という堅実な経営が業界内で評判を呼び、オンラインサロンやセミナーで注目を集めています。
ななしま
執筆者
ななしま

直毛一族の末裔。毛髪科学、色彩学、財務が得意です。好きなものは宝塚と蛙亭と世良真純

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