意外と知られていない?カット・カラーの相場から考える、サロンと自己ブランディング
日々お客さまに提供しているカットやヘアカラー。
ふと、自身が提供する技術やデザインの価値が、サロンで設定している料金と見合っているかどうか考えることはありませんか?
もう少し価格を上げてもいけるんじゃないか! と考えたり、お客さまのためにもう少し安価で提案できる工夫はできないものかと頭を悩ませている人もいるかもしれません。
そこで今回は、全国のカット・カラー料金の相場から、サロンにおける価格設定について考えてみます!
全国のカット・カラーの平均価格
カット料金の平均価格
総務省統計局の発表によると、2022年のカットの全国平均価格は3,643円。
意外なことに都道府県中で最も平均価格が高いのは、新潟県で4,597円。東京都区部の平均は、4,091円です。
ヘアカラー料金の平均価格
同じく総務省統計局の発表によると、2022年のヘアカラーの全国平均価格は6,079円。
全頭カラー(フルカラー)に限ると、7,000〜8,000円程度、リタッチのみのヘアカラーの場合は、5,000〜6,000円程度が相場のようです。
またホイルワークが必要なデザインカラーの場合は、オイルの枚数によって料金が設定されてることが多く、ホイル5枚を1,000円程度として料金設定をされているのが相場のようです。
近年人気のブリーチとヘアカラーの2段階施術で行うダブルカラーの場合は、概ね10,000円以上。
ブリーチの回数によっても金額が変わってきます。なおヘアカラーの場合は薬剤を使う関係で、髪の長さによって金額を設定している美容室も多くみられます。
カット&ヘアカラーの料金目安
カットとヘアカラーをセットメニューとして設定する場合は、合計金額よりもややお得に設定されることが多く、
8,000〜10,000円程度
が相場と考えられます。
美容室のタイプとカット・カラー料金
カット・カラー料金を決める要因
さて、平均価格や相場を見てきましたが、実際はもっと安い価格設定の美容室もあれば、もっと高い価格設定の美容室もありますよね。
美容室の価格設定にはいくつかの要因が関わってきます。たとえば、こんな要因が挙げられます。
・要因1:サロンのコンセプト
・要因2:立地
・要因3:営業形態(アシスタントの有無、人数、時間当たりの予約枠など)
・要因4:ブランド力
要因2の立地は、美容室を維持する月々の家賃に直結します。そのため都市部や高い繁華街などにある美容室は、家賃が高い地域に出店している美容室よりも高い価格を設定にされている場合が多いです。
また要因3の営業形態も、人件費などに関係します。
2、3の要因から、メニューによっての最低でもお客さまからいただかないといけない価格が決められます。
美容室のタイプに見るメニュー価格
要因1のサロンのコンセプトも価格設定と大きな関係にあります。美容室のタイプは大きく、
低価格帯サロン、中価格帯サロン、高価格帯サロン、ブランドサロン
の4つに分けられます。名前からわかる通り、価格帯によって区別されているのですが、これがそのまま技術が上手い、下手の判断基準になるかというと、そういうわけでもありません。
それぞれターゲットにしているお客さま層や、目指す美容室としての役割など美容室としてのコンセプトが異なるため、価格に違いが出ているという面が大いにあります。
ここではそれぞれのタイプによる、価格設定の傾向をみていきましょう。
低価格帯サロン
カット料金は1,000〜1,500円程度。
ヘアカラーなどのメニューがないカット専門店がほとんどで、シャンプー、ブローをしないお店も多いです。
ターゲットは小中高生やファミリー層。身だしなみとしてヘアカットを求めるお客さまが対象だと考えられます。
中価格帯サロン
全国平均よりもやや低めに価格設定をしている美容室が中価格帯サロンに区分されます。
カット料金は2,000~3,000円程度。ヘアカラー料金は4,000円程度。
カットカラーで3,500円程度が多いようです。メニューの種類も低価格帯サロンよりも多く、トリートメントメニューなども充実している傾向があります。
住宅地に多く、ファミリー層や低価格帯サロンを卒業したお客さまがターゲットとなっています。
高価格帯サロン
カット料金が3,000〜5,000円。ヘアカラーの料金も5,000〜6,000円。
この価格帯となると高価格帯サロンに区分されます。ヘアカラーの料金も全国平均近くになります。
カットやヘアカラーのクオリティも高く、トレンドのヘアスタイルの提案も日常的に行なっている傾向があります。 また店内のインテリアやBGMにこだわりがあり、ホスピタリティも充実している美容室が多くなります。
ブランドサロン
カット料金が5,000円以上。ヘアカラー料金は7,000円以上。
この価格帯からはブランドサロンとされています。ほとんどが都市部にある美容室です。
立地条件もよく、雑誌などのメディアに登場する有名スタイリストなどが在籍している美容室が多く、ヘアスタイルやヘアケアにこだわりがあるお客さまがターゲットとなります。
お客さまが美容室で使う金額の平均
ところで、お客さまが美容室で使う金額は平均的にはどのくらいなのでしょうか。総額のデータになりますが、参考までにこちらもチェックしておきましょう。
女性の平均金額は、7,293円。男性の平均金額は、4,658円。
男性は言わずもがな、女性もカットとヘアカラーを同時に行う人も多いことを考えると、高価格帯サロン以上のサロンを利用している人は、美容師が考える以上にそう多くないのかもしれません。
自身のブランド力と価格は合っているか
価格設定の要因の最後に挙げたのが、ブランド力だったのは覚えているでしょうか。
たとえば、お店がメディアなどに取り上げられる有名店であったり、コンテストで賞を獲得していたり、人気が高く予約がなかなか取れないなど、カットやヘアカラーの料金が高くてもお客さまに納得いただけるだけの理由があるならば、それだけのブランド力があるということになります。
ジュニアスタイリストからスタイリスト、スタイリストからトップスタイリストへとランクが上がる過程で料金が上がっていくのも、技術力という名のブランド力が高まった証です。
今ならば、SNSのフォロワー数も一つのブランド力になるでしょう。
もしもこれから値上げを検討しているとしたら、ご自身や勤める美容室のブランド力と新しい価格が合っているかを今一度考えるのが大切です。
そのうえでお客さまが納得してついてきてくれるという確信が持てたら、ご自身の価値の証として価格を上げて新しいフェーズに入るものありではないでしょうか。