30分で帰ってきたよ!女性美容師に行ってほしい「婦人科検診」ルポ

30分で帰ってきたよ!女性美容師に行ってほしい「婦人科検診」ルポ

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行ったほうがいいのはわかっていても、一歩を踏み出しにくい婦人科検診。実際何が行われているのか、検診の様子をレポートします!

イラスト:Coco.

「女性美容師のフェムケア革命」連載では、たびたび女性美容師のみなさんへ定期的に婦人科検診へ行くことをおすすめしてきました。

でも「行く時間が取れない」「恥ずかしいことされそう」「コースの選び方がわからない」など、不安や疑問の声も聞こえてきて…。そんな不安を払拭すべく、今回、ボブログ編集部ライターに婦人科検診を受けてきてもらいました!

Contents

婦人科検診、どこに行けばいい?

今回、ご協力いただいたのは、この連載で度々ご登場いただいている尾西芳子先生の「神谷町WGレディースクリニック」。

ライター

先生、婦人科検診を受けようと思ったときに、婦人科、産婦人科、レディースクリニックのどこに行ったらいいか迷ったのですが、違いはありますか?

尾西先生

「婦人科検診」の場合は、分けて考えなくて大丈夫ですよ。だいたいどこでも婦人科検診は行っています。ただ生理痛やPMSなど悩みや心配事がある場合は、ホームページを見て、婦人科系の悩みに対して力を入れている病院かどうかを見るのもいいと思います。

婦人科は生理の悩みやホルモンの変動、婦人科臓器などを見る診療科。妊婦健診を行っている病院と行っていない病院があります。産婦人科はそれに加えて、妊娠してからの検査から出産までの診療も行っています。レディースクリニックはそのクリニックによってさまざまだそう。ホームページなどでの確認が必要です。

初めて検診を受けるならどのコース?

先生のクリニックのレディースドック(婦人科検診)は下の表のように7つのコースがあり、今回、わたしが選んだのはシンプルコース。

検査/コースブライダルベーシックシンプルがんコース更年期STDフルSTDシンプル
子宮頸がん
HPV検査
子宮・卵巣エコー
おりもの検査
(トリコモナス・クラミジア・
淋病・カンジダ)
咽頭検査
(クラミジア・淋菌)
身体測定・血圧
(体重・BMI・体脂肪率)
尿検査
(尿タンパク・尿糖)
血液検査
 梅毒
 HIV
 B型肝炎
 C型肝炎
 風疹
 麻疹
 婦人科腫瘍マーカー
 貧血検査
 肝機能
 脂質(動脈硬化指数)
 腎機能
 糖代謝
 甲状腺ホルモン
 女性ホルモン
乳腺エコー
ライター

女性美容師におすすめのコースはどれですか?

お勤め先などの健康診断で、1年に1回は血液検査を受けているという人は、内診に特化した「シンプルコース」で十分だと思います。健康診断を受けていらっしゃらない場合は、血液検査も含む「ベーシックコース」がおすすめです。

また「ブライダルコース」もブライダルと関係なく、誰でも受けていただけるコースです。妊娠する可能性がある方は、こちらのコースを選んで事前に心配がないようにチェックしておくのも良いと思いますよ。

【シンプルコース】
内診に特化し、子宮頸がん(HPV検査※を含む)と子宮・卵巣の超音波検査(エコー)のみのコース。会社の検診などで「婦人科検査」を受けていても、子宮・卵巣の超音波検査が入っていない場合は、こちらのコースがおすすめ。

【ベーシックコース】
一般的な検診項目が揃ったコース。シンプルコースに加えて、性感染症の検査、尿検査、一般的な血液検査を行う。女性ホルモン、甲状腺ホルモンといったホルモン検査が充実し、動脈硬化指数も検査できる。

【ブライダルコース】
ベーシックコースに加え、ベーシックコースの検診内容に加えて、パートナーに移す可能性のある性感染症の検査や、妊娠中にかかると赤ちゃんに影響がある可能性がある風疹などの抗体検査が含まれる。

また上の表の右2列は性感染症に特化したコース。パートナーが変わったタイミングや、無防備な性交渉をしてしまったときなどに、年1回の検診とはまた別に、受けられるコースもありました。

尾西先生

クリニックによってコースの名前は異なりますが、検査項目を上の表と見比べればご自分に必要なコースが選べると思います。迷ってしまったら、予約時にクリニックに相談してくださいね。

問診、緊張します!

よく聞かれるのが、問診でパートナーとの関係など、赤裸々に話さないといけないのかといった気恥ずかしさゆえの不安。実際、どうだったかというと…。

先生のクリニックでは、ウェブで検診を予約する際に、簡単な問診をウェブ上で入力していくページがありました。当日の問診は、それをもとに進んでいきました。

ライター

個人的にはウェブで問診票を記入できるのが、家で落ち着いて答えられてとてもよかったです!

尾西先生

問診票も当日の問診も話すのが恥ずかしいような内容は特になかったですよね? 月経の周期や状態、パートナーとの関係についても、基本的にお伺いしているのは、性交渉の経験、妊娠経験の有無程度です。

ライター

問診のときにこれだけは伝えたほうが良いということはありますか?

尾西先生

検診に関係なさそうなことでも、気になっていることはなんでも話してもらえたらと思います。たとえば性交渉が痛い、感じないといった悩みや、おりもののニオイなども。話しにくかったら検診後でも良いですが、2回検査することになってしまう場合もあるので、お話できそうだったらできたら問診時にぜひ伝えていただくと良いと思います。

【問診で伝えたほうが良いことの例】
・生理痛がひどい場合
・月経の周期が不安定な場合
・おりものの様子、ニオイが気になる場合
・貧血っぽい症状がある場合
・不正出血がある、もしくは判断がつかない場合

怯えていた内診がたったの3分で…!

問診が終わったら、別室に行って内診が始まります。

この日はスカートで行ったのですが、ショーツを脱いだだけでスカートはそのまま。足にタオルをかけて椅子へ。すーっと椅子が上がって後ろに倒れるまではシャンプー台と同じです。ですが! そのあと、パカーンと自動的に足が開かれるのが違うところ。その状態で先生を待っていると…。

ライター

わ、先生のお顔が見えるんですね!?

尾西先生

はい、顔が見えないように間にカーテンをかけているクリニックが多いですが、うちでは清潔感を考えて、カーテンがないスタイルにしています。何をするかの説明もしやすいですし。では、見ていきますね。

たしかに、何が入っていくのか見せてくれるのは安心。そして先生の簡単な説明の後、ほんのり温かいジェルが塗られて、その見せてくれた何か(あとで説明しますね!)がスムーズに膣の中に。と思ったら、すぐに…

尾西先生

はい、子宮頸部の細胞は採れたので、次は子宮の中の様子を見ていきます。

ここまで、本当に一瞬。何かが入った感じはありましたが、痛みはまったくなかったです(個人差はあるよう)。さてさて次は…? これもまた、子宮の様子を見るための器具がスムーズに膣の中に入っていきます。

ライター

あ、これも全然痛くないですね。でも子宮の中で何かが動いているのはわかります。

子宮の中の様子が壁にかかったスクリーンに映し出され、先生が説明してくれます。

尾西先生

ここが子宮で、ここに右側の卵巣も見えますね。うん、子宮きれいですよ。子宮内膜の厚さも十分そうですね。

ライター

わー、よかった!

尾西先生

はい、終わりです。お洋服整えて、お呼びするまでお待ちください。

ライター

え、もう終わりですか? 緊張していたのに…あっけないくらいにあっという間でした。

尾西先生

内診は3分程度なので、本当にすぐに終わりますよね。これにベーシックコースの場合は、採血と採尿がありますが、それでも30分もかかりません。

その後のお話も今回は特に問題がなかったので、5分程度。1週間後に結果を改めて聞きに行く予定です。

トータルでかかった時間は30分程度。相談がいろいろある人でも、1時間もかからないそうです。

このくらいの時間だったら、休日の予定に組み込むのも大変ではなさそう。オープンが遅めのサロンだったら、出勤前に検診を受けることもできそうですね!

婦人科検診の内診で行われていること

で、内診で何が膣の中に入っていたのか、気になりますよね。

初めに入れられたのは、子宮頸がん検査のための「クスコ」という器具。イラストの左のような形のものを膣に入れ、頸部周辺の様子を観察し、専用のブラシで頸部の細胞をこすり採取していたそう。

そして次に入ったのが、経膣エコー(経膣超音波)検査をする「プローブ」(イラスト右)。直径20ミリくらいのものでした。これによって内診中に画面に映し出される超音波映像が送られてきていたのです。

婦人科検診に行くときに気になりがちなことQ&A

ライター

検診に行く時の服装にNGはありますか?

尾西先生

患者さんを見ていて大変だと思うのはサロペット。上から下まで全部脱がないといけないので、避けたほうが良いと思います。スカートでしたら、ボトムスを脱がなくていいので楽だと思います。そうでなくとも、上下分かれている服装で来てもらえたらと思います。

ライター

VIOの処理はしていったほうがいいですか?

尾西先生

必要ないですよ。していても、していなくても大丈夫です。正直、どんな状態でも医者は全然気になりませんし、検診のしやすさにも影響はありません。

ライター

持っていくものや準備していくことはありますか?

尾西先生

生理の周期の記録があると良いですが、何も持ってこなくても大丈夫です。

ライター

検診を予約していた日が生理になっちゃった…。

尾西先生

子宮頸がん検診は量が多い日はできないので、2日目などに当たってしまった場合は直前でも構わないので日にちを変更してもらうようにしてください。子宮頸がん以外の検診は生理のときでもできますよ。

ライター

痛いのが苦手で内診がこわいです。

尾西先生

痛みには個人差があるので、痛いと感じたらすぐに伝えてください。でも内診は3分程度ととても短いので、怖がらずに来てもらえたら!

ライター

婦人科検診は保険がききますか?

尾西先生

基本的に検診は自費診療になります。

ライター

不調がなくても受けたほうがいいですか?

尾西先生

婦人科検診は不調がないときに受けるものだと思って。不調があったら、それはもう保険診療の範囲。検診がダメなわけではないですが、早めに相談に来てください。

ライター

年齢的に何歳から婦人科検診を受けたほうがいいですか?

尾西先生

20歳を超えたら、全員年に1回受けてもらいたいと考えています。自治体によっては2年に1回となっている場合もありますよね。ただ、病気を早期に見つけることに主眼をおくならば、自費にはなってしまいますが私としては1年に1回をおすすめします。

ライター

乳がんの検診も受けたほうが良いですか?

尾西先生

うちのクリニックの場合は、シンプルコース、ベーシックコースに乳がんの検査は入れていませんが、オプションでつけることが可能です。乳がんも年に1回は検診したほうが良いですね。マーモグラフィーで見えにくいと言われた人は、エコーでの検診も受けるようにしてください。

ライター

検診を受けるメリットはなんですか?

尾西先生

卵巣嚢腫や子宮筋腫など、進行するまで症状が出にくい婦人科系の病気も多いです。検診を受けることで早く見つけて早く治療することができます。将来の不妊を防ぐことにもつながります。

自分の体を知るってワクワクする!

実はわたし自身、今回4年ぶりの婦人科検診だったわけで。ひさしぶりなこともあり緊張の面持ちで挑んだのですが、記憶のなかよりも時間もかからず、痛いこともなく、あっという間!

なにより「子宮がきれい」と言ってもらえて、この状態を保てるようにこれからも自分のケアもちゃんとがんばろうと思えたのも新鮮でした。1年に1回、女性としての自分の体の中を覗くというのは、自分を大事にするモチベーションアップにもいいのかもしれません。

最後に、忙しい女性美容師さんに先生からメッセージ。

尾西先生

美容師さんは忙しくて自分をケアする時間がなかなかとれないと思いますが、自分の体のことを知りに行くというワクワク感を持って検診に来てもらえたらと思っています。

また検診をかかりつけ医を探す機会にしてもらっても良いと思います。

クリニックの雰囲気を見たり、先生との相性を探ったりと、トラブルがあったときに頼れるところかどうかを判断するのにも、検診はちょうど良い機会。年1回の検診はもちろん、相談しやすいかかりつけ医を、ぜひ見つけてくださいね。

尾西芳子/おにしよしこ / 神谷町WGレディースクリニック院長
Profile
尾西芳子/おにしよしこ

神谷町WGレディースクリニック院長

産婦人科専門医。女性のヘルスケアを専門とし、都内クリニック院長を歴任。2023年3月、東京都港区に神谷町WGレディースクリニックを開院。二人の子どもを育てながらすべての女性のかかりつけ医でありたいとの思いで診察を行い、わかりやすい解説で雑誌、テレビのコメンテーター、ドラマの医療監修などとしても活躍中。
https://kwg-lc.com/

ボブログ編集部
執筆者
ボブログ編集部

成長し続ける美容師のための髪書房ウェブメディア『ボブログ』。これまでにないスピードで変革する時代に必要な情報【パラダイムシフトの芽】をいち早く見つけ、掘り下げ、新しい常識を提案します。

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