検索している人がかなり多いようなのですが、美容業界の、2020年、2021年の倒産情報がまとまったデータは存在しません。
こういう情報は、厚生労働省の報告資料で理美容業の施設数を調べるか、帝国データバンクや東京商工リサーチの倒産情報をまとめた資料を見るのが数少ない信頼できる情報なのですが、いずれの機関もコロナで大変すぎて例年のレポートを出していないのです。飲食、宿泊、アパレルの3業種がやばすぎて、理美容関連業はトピックに上がってこない状況。
どうしても知りたかったら有料の調査をしてもらうことは可能ですが、それを公開するわけにはいかないので、調べられる範囲の情報をまとめます。
新型コロナウイルスに関連する経営破綻は累計924件
1月14日時点の、東京商工リサーチが把握している負債1000万円以上と負債1000万円未満の小規模倒産をあわせた、昨年2月からの累計が924件。
(なお、破産(構成比88.3%)、民事再生(同5.6%)、取引停止処分(同5.5%)、特別清算を含みます)
半分は飲食・旅行・アパレル
そのうち負債1000万円以上の870件についての業種の内訳がまとめられているのですが、飲食150、ホテル・旅館60、アパレル小売39……飲食とアパレルの卸売・製造、食品小売、旅行、タクシー・バスまで入れると飲食・旅行・アパレルで半数近くを占めます。
一方で、美容院・美容業は7件でした。
全体でいうと2019年のほうが倒産してた
2020年1-11月までの企業倒産は7,215件
人手不足と消費税増税が主因となり、2019年は11年ぶり(リーマンショック以来)に倒産数が増加。2020年は政府のコロナ対策が効いて倒産数は減る結果となりました。
ただし、倒産はしていない「休廃業・解散」の件数は2019年が4万3,348件、2020年の10月までの件数が4万3,802件。2000年以降で最多だった2018年を上回る予想が立てられていました(11月以降のデータは未公表)。
上記に含まれない負債1000万円以下の小規模倒産の内訳は……194件に美容室の可能性あり
コロナ破綻の内訳は不明ですが、2020年の負債1000万円以下の倒産630件のうち
美容、飲食業、宿泊業を含む「サービス業他」が300件。そのうち106件が飲食、宿泊となっています。
残り194件には美容業の可能性があるということになりますが……ここでの分類は産業を10に区切るもので、建設業、小売業、金融・保険業、不動産業、農・林・漁・鉱業、情報通信業、製造業、卸売業、運輸業以外が全部「サービス業他」に入っているのでなんとも言えない感じです。
参照:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210113_03.html
ちなみに上場企業の倒産数は08年より全然マシ
レナウンの倒産が話題になりましたが、2020年の上場企業の倒産は2件。リーマンショックが起きた08年の33件に比較するとコロナだから増えたというわけでもない感じです(でも、今年・来年に来るんでしょうね。。)
参照:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201229_01.html
美容室もコロナ前の2019年に倒産数が過去最多になっていた
これは理美容をあわせたグラフですが、19年は100件が美容室。東日本大震災の年も越えて過去最多です。負債総額が減っていて件数が増えていることから、小規模の企業が脱落していることがわかります。
ところで2000年の負債総額が急にすごいですね。どこが倒産したんだろう。。
倒産などのデータに表れてくるのは、今年・来年なのでは?
肌感覚としてはたくさん倒産していそうな危機感はありますよね。
最近あった美容関係の大きな倒産だとディーラーのサクラ産業(2020年4月、負債28億8000万円)、ISM(浜崎あゆみとのダブルネームも)やAFLOATなどの人気サロンの名前を冠したヘアケア製品などを作っていたスタイルクリエイションジャパン(2020年9月負債6億円)が挙げられますが、いずれもコロナが影響したというよりは元からそういう状況に陥っていました。
データとして実際に数字に現れてくるまでには時間がかかりそうなので、引き続き追いかけていきたいと思います。