BeReal Log #05 鈴木健太

BeReal Log #05 鈴木健太

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特集:BeReal Log

text:那須凪瑳
illustration:藤原ヒラメ

2020年にフランスでリリースされて以来、じわじわと日本でも人気を集めているSNSアプリ「BeReal」。写真を撮れるのは2分以内で、フィルターの使用も写真の編集もできない。“ありのままの自分”をシェアするSNSアプリだ。そんな「BeReal」を使って、注目の若手美容師の素顔に迫る連載「BeReal Log」。

第5回は、表参道にあるサロン〈THE STRAMA(ザ ストラマ)〉の副店長・鈴木健太さんが登場。スパイキーショートをはじめ、エッジの効いたショートスタイルを得意とする健太さんのリアルな日々をのぞき見。

BeRealの魅力って?

鈴木健太/1998年、福島県出身。日本美容専門学校卒業後、〈STRAMA〉に入社。現在〈THE STRAMA〉副店長として活動。

Q1:「BeReal」の魅力とは?

実は僕は、この取材を機に初めて「BeReal」を使い始めました。もちろん、友達が撮る「BeReal」に写ることはありましたが、自分でダウンロードして日常的に使うということはしていませんでした。というのも、僕はInstagramを美容師アカウントとして使用していて、普段から“見せ方”を考えているので、これ以上SNSを増やしたくなかったというのが本音です。

でも今回「BeReal」を使ってみたら、フィルターが使えないので自分が見たままの世界を残せている感覚があって振り返るのが楽しかったです。また、インカメラでも強制的に撮影することになるので、普段は意識を向けないことに気づくことができました。自分が赤色をよく着ていることにも気付けました(笑)。

Q2:サロンワーク以外の時間の過ごし方は?

サロンの先輩方から「休みの日の過ごし方が(美容師の)すべてです」と教えられてきたので、インプットに使うべきなのかアウトプットに使うべきなのかなど、休みの日の過ごし方はすごくよく考えます。なので、休日を使って作品撮りをすることもあるし、雑誌を見たり古着屋に行ったりと、インプットに使うこともあります。「寝ているとき以外はずっとON」のつもりで、休日も過ごしています。

鈴木健太の日常をウォッチ!

自身のInstagram(@kentag9)には、デザイン性のあるショートスタイルの写真や、海外への出張や旅行などの様子を載せている健太さん。「休日の過ごし方も美容師の仕事に通ずる」と話す健太さんは、どのような日常を送っているのか? “美容愛”に溢れる健太さんの日常をウォッチ。

仕事タイム

「お客さまのカット中。こちらのお客さまは、カットモデルからずっと任せてくれている方です。せっかくなら『BeReal』を使ったことのないお客さまに体験も兼ねてご協力していただけないかと思い、彼にお願いしました。

僕のお客さまの年齢層は20〜40代の方が中心です。初めは20代の方が多かったんですが、Instagramにショートスタイルの投稿を続けていたら、ありがたいことにデザイン性の高いショートスタイルを求めている30〜40代のお客さまが増えました。いまは7割くらいがメンズの方ですが、性別問わず少しエッジの効いたスタイルを求めてきてくださる方が多いです」

スキマ時間

「写真だけ見たらよく分からないと思うのですが……。これはスキマ時間に先輩の施術を観察して、技術を“盗んでいる”ところです。僕はスキマ時間こそ大事なインプットの時間だと思っていて、サロンワークこそ生で先輩の技術を盗める貴重な時間だと思っているので、スキマ時間ができたらこうして尊敬する先輩方の施術をよく観察しています。僕にとって、最高のインプット時間です」

ディナータイム

「『STRAMA』の先輩・水野さんと、夕ご飯を食べに行ったときの1枚。この日は雑誌の撮影の日だったんですが、それが夕方くらいに終わって『飯でも行くか!』と言ってもらったので、よく行く『だるまや』へ行きました。一緒に働くサロンのみんなとは、こうして営業後や休みの日などもよく出かけています。

自炊をすることはゼロではないですが、外食で済ませることが多いです。誰かと行くことも多いですが、営業後ヘトヘトな日は、松屋や日高屋によく1人でお世話になっています」

自主練タイム

「ヘアコンテストに向けて、営業後にサロンに残って自主練中の1枚。今年9月末に行われた『MILBON DA‑NEXT 2025』のために、カットの練習をしているところです。コンテスト前は、終電まで毎日のように営業後に練習しています。

今回のコンテストでは残念ながら自分の思うような結果は得られなかったですが、やり切れたと思います。コンテストに出るとやってきたことが結果として目に見えて表れるので、自分の実力を思い知らされます。でも、そのために費やした時間も自分の身になっていると感じるし、とにかく挑戦し続けるしかないと思うので、今後も頑張りたいです」

息抜き時間

「人生初めての海外1人旅で、ずっと行きたかったロンドンに夏季休暇中に行ったときの写真。海外は出張で行った中国以外、行ったことがなかったので、初めての海外1人旅は特別なものにしたいと思って、これまでたくさん影響を受けてきたイギリスを選びました。

これは『ヴィクトリア&アルバート博物館』の前。建造物を見て『すごい』と感じたことはこれまであまりなかったので、すごく刺激を受けて、とても良いインプットになりました」

「これは街を歩いているときの写真です。ただ街を歩いているだけでも街並みが美しくて圧巻されました。あと、何より感動したのは人の温かさ。現地の人とコミュニケーションを取りたいと思って積極的に話しかけたのですが、どの方もとてもやさしく接してくれました。

また、行きの飛行機でたまたまロンドン出身の子と隣の席になって仲良くなって、現地を案内してもらうこともできて。英語が得意じゃない僕でも、日本からこんなに離れた場所にいるのに孤独を感じずに過ごせたことにとても感謝だし、思い出に残る旅になりました」

休日時間

「休日に『代官山 蔦屋書店』で撮影した写真です。『代官山 蔦屋書店』には、ヘアスタイルやファッションなど美容師の仕事にまつわるインスピレーションを探しに、週に1回は必ず行くようにしています。気に入った雑誌があったら購入しますが、この場に行って刺激を受けること自体が、自分の中で大事なインプットの時間になっています。〈THE STRAMA〉の店長であり、尊敬する先輩の春宮(雅之)さんにも、よくここでバッタリ会います」

「これまでお世話になってきた人たちに恩返しをしたい」

最後に、〈THE STRAMA〉の副店長として活躍する健太さんに、今後の目標やビジョンを訊いた。

たまたま格好が被った日にサロンの後輩とパシャリ!

「僕はいま、〈THE STRAMA〉の副店長を任せてもらっていますが、今後は『鈴木健太』という名前を業界内外問わず幅広い方々に知っていただけるくらい活躍して、美容業界に良い影響を与えられる美容師になりたいです。

具体的には、街を歩いている人たちがもっと自由に自分の好きなヘアスタイルを楽しめるようになったらいいなと思うんです。僕自身もそうですが、やはり髪型を変えて心がハッピーになった経験ってみんなあると思うし、ヘアスタイルは外見だけじゃなく内面も整えられるものだと信じています。なので、職業や年齢に関係なく、みんながオシャレなヘアスタイルを楽しめる世の中をつくれたらなと。僕はまだまだですが、その未来に少しでも貢献できるように、日々勉強中です。そして何より、これまでお世話になった家族やスタッフや先輩方に、恩返しできるように頑張りたいです」

那須 凪瑳
執筆者
那須 凪瑳

フリーランスライター、編集者。日本美容専門学校夜間部卒業。美容師免許保持。

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