

いま、ベリーショートの気分が少し変わってきている。
スパイキーショートに特化し、ファッション感度の高い顧客から支持を集める〈loji〉のマツウラショウゴさんは、トレンドが一巡した今、“伸ばしかけ”をデザインに昇華させた「ナードショート」を提案している。
ツンツンさせるだけでは物足りない。ナードなムードをベースに、サイバーなアイウェアやツートーンカラーでフューチャリスティックにニュアンスを重ねる。“ファッションとの絶妙なバランス感覚”が新しいショートヘアの条件だ。

「スパイキーショート」の
伸ばしかけをデザインする


スパイキーショートはデザインが潔いぶん、伸びてきたときに中途半端になりがちです。
「ナードショート」は、その“伸ばしかけ”の時期でも成立するように、束感は残しつつも根元は立ち上げすぎず、あえて“カド”を残す構成でつくっています。Y2Kっぽい近未来感とかちょっと無機質なニュアンスも意識して、ファッションの一部として提案しています。








ベリーショートは、ベースカットでつくるシルエットがすべてです。セイムレイヤーでつくると、トップを立ち上げたときに高さが出すぎてしまい、バランスが崩れやすい。セルフスタイリングでも毛先の方向が迷子になりがちです。
だから今回は、トップが低く見えるように前髪の延長線でカットしています。シルエットのカドをあえて低めに設けることで重心を下げたフォルムに仕上げました。



スタイリング剤は「N. オム ジェルグリース」を500円玉大ほど。
スパイキーショートの場合は根元から揉み込んでいきますが、今回のようにナードな雰囲気に近づける時は中間から毛先を中心になじませます。先が細くてやわらかい毛束を全体に細かくつくるイメージです。




ここ最近はツンツンさせるだけのショートよりも、もう少し落ち着いた質感やフォルムを求めるお客さまが増えてきた実感があります。
潔さやエッジは残しつつ、あえて立ち上げすぎずに“カド”をつくることで、ナードなムードやちょっと無機質な空気感が出せる。そういうニュアンスが、いまの空気に合っている気がしています。
しっかりキメるより、ファッションともリンクしたムードで魅せる。そんなスタイルを提案していきたいです。
