美容師はお客さまの一生に寄り添って、ともに歩んでいける仕事です。それをやりがいに感じて、サロンワークに励む人も多いでしょう。「kittoko(キットコ)」は、赤ちゃんのファーストカットに着目した商品。お客さまのライフスタイルの大切な瞬間のために、美容師にできること、まだまだたくさんありそう!

ファ ーストカットとは、赤ちゃんの最初の髪の毛(胎毛)を初めてカットすることを言います。 胎毛(ファーストヘア)は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいたときから生えている大切な髪です。ファーストヘアには柔らかく繊細な毛先があり、一度でもカットすればもう残すことはできません。一生に一度しかない貴重な髪であるにも関わらず、サロンではカットをしてもそのままお渡しするにとどまる対応が多いのが現状です。またファーストヘアを残すこと自体も、へその緒や歯のように一般的にまだまだ広まっていません。

この貴重な存在を美容師として放っておけないと、kittokoを考えたのが神奈川県相模原市にある美容室 hair salon hatoha(ハトハ)代表の遠藤弘貴さん。商品化の経緯などについて話を聞きました。

ーーkittokoをつくったきっかけは?

これまでサロンでお子さまのファーストカットをする機会が何度かあったのですが、切った髪をどうしますか? と親御さんに尋ねると、一応持って帰る方が多かったんですね。ファーストヘアは取っておきたいけど、筆にするには手間がかかるし……と、だいたい美容室から持ち帰って来て、そのまんま……というケースが多いことに気づきました。僕としても、ただ袋に入れてお渡しするしか方法が無く、もっと何かできることはないかと考えたのがきっかけです。 自分だけでプロダクツをつくるのは難しかったので、友人であるデザイナーのすぎはらけ いたろう君に相談をして、2人で3〜4年前から考えていきました。

ーーどのようにして、このかたちに至ったのでしょうか?

王道の既存商品だと胎毛筆があります。胎毛筆は外注する必要があり、 手間や時間がかかるため美容室でも取り扱いにくく、また、せっかく筆にしても見返されることがないまま、仕舞い込まれることがほとんどでした。胎 毛筆との差別化を図るために、“ご自宅で気軽にセット出来る”、“インテリアとして飾れる”という部分を大切に考えていきました。髪の毛って飾り方を間違えるとだいぶイメージが悪くなってしまいますよね。だから、ただケースに入れるのではなく、木材を使った温かみの ある素材で、お客さまが見た時に愛着が湧き、飾っておきたくなるようなデザインであることが重要でした。 また、“少ない毛量でも作れる”ということもkittokoの魅力だと思っています。特に男の子のお子さまだと、髪を伸ばす前に切りたがる親御さんもいるので、その方々にも選んでいただけるような仕組みを考えていきました。
髪の毛を差す穴の大きさ1つとっても、何回も試作を重ねていきました。ご自宅で簡単に髪の毛をセットできるように、小さすぎず、大きすぎず、丁寧に作り上げて行きました。このちょこんっと生えた髪 の毛がまた可愛くて、唯一無二の表情に生まれ変わるんです。
おかげさまで、2021年度グッドデザイン賞を受賞することができました。

ーー木の素材は何を使っていますか?

本体は無垢のハードメープルという素材で、硬い木を使用していて、天然の木ならではの温もりがあります。お子さまが口に入れても安心な、ワックス仕上げです。また、本体を入れる外箱は、湿度調整できる桐材を使っているので、カビが生えにくく、長期保存に適しています。

↑大人の手のひらサイズ。上部の穴に切った毛束を差し込み、ボンドで接着するだけで完成。付属の説明書のQRコードを読むと、YouTubeに飛び、丁寧な作り方を教えてくれる。

↑紙製フォトスタンドとコースターもセット。

ーーkittokoを使ったサロンでのメニュー展開について教えて下さい

僕のサロンでは、kittoko付きファーストカットとして1万3,000円のメニューにしていま す。子どものカット料金は2,000〜3,000円の価格帯にしているサロンが多いと思いますので、kittoko(税込1万1,000円)と合わせて販売すると、お客さまに も認知されやすい。お子さまが理美容室に来る最初のきっかけ作りになり、地域とのつな がりも強くなる。kittokoはそんな手助けが出来る存在になると思っています。

ーー遠藤さんがkittokoを通して伝えたい思いとは?

ファーストカットという大切な文化をもっと理美容師さんと協力して広げていきたいです。お子さまの大切な瞬間に地域の理美容室が携わり、そこにkittokoが寄り添うことが出来たら……こんなに嬉しいことはないですね。是非、賛同してくださるお取扱店を募集しております。

遠藤弘貴(えんどうひろき) / hair salon hatoha(ハトハ)
Profile
遠藤弘貴(えんどうひろき)

hair salon hatoha(ハトハ)

1978年生まれ。山梨県出身。中央理容美容専門学校、東京ヘアビューティー卒業。都内2店舗を経て、2014年に神奈川県相模原市にhair salon hatoha(ハトハ)オープン。

お問い合わせ先 info@kittoko.net
オンラインショップ https://www.kittoko.net/
取り扱いディーラー 株式会社ガモウ TEL 046-278-1385

ボブログ編集部
執筆者
ボブログ編集部

成長し続ける美容師のための髪書房ウェブメディア『ボブログ』。これまでにないスピードで変革する時代に必要な情報【パラダイムシフトの芽】をいち早く見つけ、掘り下げ、新しい常識を提案します。

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