野心より真心。〈COA〉FC1号店の意外な展開 〜後編 COA PLUS 立川編〜

野心より真心。〈COA〉FC1号店の意外な展開 〜後編 COA PLUS 立川編〜

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photo_MISUMI

今年7月、COAのFCサロン1号店が東京・立川にオープンする。

2月1日にはCOAのコンサルサロン「COALESS kyoto(コアレス京都)」が京都の四条河原町にオープンしたばかり。

後編ではCOAのFC展開を中心に、全国グループサロン構想の未来を聞いた。

話を聞いたのは「COA PLUS立川」の代表となる橋本祐紀(写真中央)、COA 代表の青木大地(左)とCOAグループサロン事業責任者の髙橋英昇(右)。

COA全国グループサロン構想

2025年に入り、ブランドを分割したCOA。①COAは直営店のみで運営、②COA PLUSは直営店とFC、③コンサルサロンは各社自由にブランド名を決定できる。
COAのFC展開と聞いて、いっきに全国展開を加速させるのかと思いきや、青木代表からは意外な返答が返ってきた。

青木大地

僕たちが目指しているのは、FCを広げることではないんです。
やりたいのは、良い出会いがあったときにお互いの目的のために組むこと。
だから目標に掲げているFC店舗数もありません。

「一緒に事業を推進するスケールメリットは必ずあるので、1社ずつ丁寧に話を進めていきたい」と青木代表。

「COA」「COA PLUS」「コンサルサロン」の棲み分けは規模感。
COA PLUSは直営店として3年目を迎える千葉店の成功例がすでにあるが、7月オープンするCOA PLUS立川はCOAグループ初のFC出店となる。

FCオーナーの条件とは?

気になる「FCオーナーの条件」だが、経験値や経験年数、売り上げの条件など細かい設定はないという。

COA FCオーナーの条件

✔人柄
✔会社の経営状態がいい
✔ COAメンバーとの関係性ができている

契約の条件

✔ ロイヤリティ:売上の5%
グループ化によるスケールメリットとして、物件ディスカウントの他、固定費減額、手数料割引、薬剤割引がある。これによりロイヤリティ以上の利益確保が可能

初期費用:初期費用の出資はFCオーナーが行い、COAは初期費用を抑えるためのサポートを行う。
 仲介手数料が無料になったり、内装業者の紹介を受けられるなど、初期費用を抑えることも可能。

会議参加:月1回の幹部会議に出席

FCサロンへのサポートサービス

①出店サポート 
物件取得/初期費用ディスカウント/内装会社紹介/内装レイアウト・図面相談可 ※仲介手数料無料の物件もあり

②集客ブランディングサポート 
SNS細分化マーケティング/コンテンツ作り込みやプロフィール/店舗のアカウント/ホットペッパーSEO対策/ページの作り込み/ワード対策など

③教育サポート 
技術セミナー/SNSセミナー/VRカリキュラム※VRの追加機材は購入、IT導入補助金推奨

④製品サポート 
COAオリジナル商材の使い方レクチャー、スターターキット提案、商材ディスカウントあり

⑤経営サポート 
月次決算書管理や助成金申請のサポート/業界の最新情報やトレンド共有など

⑥求人サポート 
threeと協働で行っているVR教育/リクルートイベントなど

商品の勉強会やお勧め方法も共有。COAオリジナル商材は特別価格で仕入れ可能になる。

前編で取材した「コンサルサロン」と大きく違うのは、教育サポート。
COAアカデミーにおける技術セミナーやVRカリキュラムのサポートが充実している。

高橋英昇

教育コンテンツを特に重要視しているCOAは、これまであまり教育を公開してきませんでした。
ですが、FCサロンのスタッフはCOAのVRコンテンツが使える他、COAアカデミーの受講が可能になります。
幹部が時間外に技術教育を行っているサロンがまだまだ多く、特定の人材に仕事が集中しがちな現状を聞くので、FCサロンのスタッフは勤務時間内にCOAアカデミーで教育を受けられるよう仕組み化しました。

青木大地

加えてCOAグループにはたくさんの同期がいます。
毎年グループ全体の集合の際に同期に会えるのは、とても良い刺激になると思いますね!

青木大地

FCのメリットは一言では言えませんが、「資金」と「情報」が大きいと思います。
情報にはスピード差があります。早い人・遅い人がいる中で、英昇を筆頭にCOAメンバーは圧倒的に情報が早い。
鮮度の高い、実績のある情報をお伝えできる点は大きな価値。
メリットがたくさんないと、僕らも自信持って話せないので、メリット面はだいぶ詰めてきました。今なら、自信を持って「一緒にやりましょう!」と言えますね。

VRの使い方を説明する青木代表。

コンサルサロンではなく
FCを選んだ理由とは?

COAのFC1号店の代表になるのは、東京都立川市で「HACCH(ハッチ)」「moc(モク)」の美容室2店舗、アイラッシュサロン2店舗を経営する橋本祐紀さん。
高橋英昇さんのオンラインサロンを受講したことがきっかけで臨店セミナーがスタートし、SNS戦略の相談にのってもらうようになった。

橋本祐紀 /
Profile
橋本祐紀

1990年10月30日生まれ。東京都八王子市出身。国際文化理容美容専門学校国分寺校卒業。神奈川県の美容室を経て立川市のサロンで店長を務め、2022年10月にHACCH立川をオープン。2023年にアイラッシュサロンHを、2024年にブリーチサロンmocとアイラッシュサロンmoc by hを同時オープン。COAのFC出店に向けて株式会社HEITH(エイス)を設立し、2025年7月にCOA PLUS立川店をオープン予定。

橋本祐紀

月1回、英昇さんは「最近どうですか?」と必ず電話をくれるんです。
最初は主にSNSや教育の相談にのってもらっていました。
3店舗目の出店は、韓国風のサロンをやりたいと考えていて。韓国スタイルのノウハウがなかったので英昇さんに相談したのがFC出店に発展したきっかけでした。

高橋英昇

私は立川の出身で、以前からこのエリアに強い関心を持っていました。青山や銀座の最新トレンドを立川で提案することで、地域の活性化に貢献できると考えています。

また、母校である国際文化理容美容専門学校 国分寺校で培った技術と経験を生かし、地元の皆様に恩返しをしたいという思いがあります。後輩たちの就職を支援し、彼らが幸せなキャリアを築けるようサポートしたい。

立川エリアや美容業界全体の発展に寄与できるよう、活動していきたいと考えています。

青木大地

僕も立川には興味があって、物件を見に行っていました。
前社のサロンが立川に出店していて、行く機会もあったので非常にチャンスがある街だと思ったんですよね。
でも、立川に出したかったというよりも、ベストパートナーが見つかって立川に決まったという感じです。

橋本祐紀

僕がFCを希望したのは、都内の中心地じゃなくても本物の技術が学べることを体現したかったから。
立川の美容を「技術を軸」に活性化させたかったんです。
それで業界でも特に教育に注力しているCOAさんと手をしっかり組んで、立川エリアを任せてもらえたいと僕から強くFCを希望しました。

COA代表陣へのプレゼンでは自社の理念、課題や目標だけでなく、立川エリアで大切になる人材育成のあり方も伝えた。橋本代表のスタッフを大切に思う考え方が垣間見られる。

他にも他社の数名がFC1号店の権利獲得のためのプレゼンを行ったが、代表陣7人の満場一致で橋本代表に決まったという。

リスクを軽減してコンサルサロンを出店する選択もあったが、FC出店を選んだ橋本代表。
「美容で地域を活性化させたい」 というそれぞれの思いがつながり、FC出店に発展したのだ。

FC1号オーナーに聞く
COAの魅力

── 6つのサポートのうち、特に魅力的だと感じたサポートは何でしたか?

橋本祐紀

6つのサポートに魅力を感じたというより、COAさんと関わることそのものが自分やスタッフにとっては一番の魅力でした。
7月のオープンに向けて、すでに技術や商品の勉強会がスタートしています。
一流の仕事を目の当たりにし、これは動画などの画面越しでは伝わらない、肌で感じ取るものだなと。
それをスタッフと共有できることが、かけがえのない時間になっています。

── スタッフの反応はどうでしたか?

橋本祐紀

従業員満足を高めるため、僕にとってCOAは憧れであり理想でした。
その夢をスタッフに語る中で、幹部全員が「COAさんと一緒にやりたい」「挑戦したい」と言ってくれて。
スタッフ25名のうち、幹部1名を含めた6名のスタッフがCOA PLUS立川店に異動する予定です。
COAに行くスタッフも残るスタッフも、未来が広がると確信しています。

COA PLUS立川店の店舗代表は、橋本さんの美容学生時代の同級生・門井駿弥さんに決まった。

門井さんは橋本さんの会社と別のサロンで働いていたが、COAのセミナーを以前から橋本さんと受講しており、今回強くジョインしたいと希望した。

学びの宝庫だった!
COAのサロンワーク見学

COA PLUS 立川店
店舗代表 門井駿弥

オープンに向けて技術講習の他、実際にCOA本店におじゃましてサロンワーク見学も行っています。COAの皆さんはどんなに忙しくてもお客さまに寄り添って、カウンセリングや技術を行っているのが印象的でした。なりたいイメージに対して必要のないメニューがあれば、どんどんメニュー変更もします。「これはお客さまは信頼するし、安心するだろうな!」と感じました。そんなCOAブランドを背負っていくプレッシャーもありますが、すべてをそっくり真似るのではなく、立川のお客さまに僕たちのできることを提案していきたいです。

── 7月のオープンに向けて、今はどんな準備をしているところ?

橋本祐紀

ほぼ毎日のようにLINEをしますね。
丁寧にサポートしてくださるので、経営者になってはじめての安心感です(笑)。

高橋英昇

打ち合わせはLINEを中心に、僕がコンサルに入っているサロンさんの実績を橋本さんにも共有しています。
結果が出ることが楽しくて、これはもう僕のライフワークですね。

橋本祐紀

立川の物件も目処が立ってきました。
青木さんと図面を見ながら相談したり、試行錯誤しているところです。

ずっと独学で経営を勉強してきたので、何より手をつないでくれる仲間がいるというのが嬉しいですね。

店内デザインやスタッフの導線などを質問。

COA全国グループ構想の未来

── 橋本さんに期待していることは?

高橋英昇

何かを期待するよりも、一緒につくっていきたいですね!
橋本さんのサロンのスタイリストの中には、すでに300万を売り上げているスタイリストもいて、COAのスタッフにとっても、立川でのFC展開は刺激になることばかりです。
働くエリアは違えども、同年代のスタッフが刺激し合って大きなシナジーを生み出せると良いですね。

青木大地

一緒にやるからには、必ず結果は大事だと思っていて。
すでに橋本さんは結果を出している経営者ですが、もっともっと上を目指せると思っています。
伸びる環境とノウハウはCOAが築いてきた強みではあるので、そのノウハウを共有して実行したら、圧倒的なサロンをつくれると思います。

すでに店販セミナーを受講したスタッフは店販売り上げが9倍に!
目に見える形ですでに効果が表れており、COA PLUS立川店の初月は店舗売上1000万を目指すという。

── 今後の展望を教えてください。

橋本祐紀

僕らが感動したCOAでの体験を、まず一番にお客さまに還元したい。
都内に行かなくてもCOAの技術やサービスを受けられることを、立川を中心に地域のお客さまに知ってほしいと思います。

青木大地

東京だけでなく、いくつかの都市ですでにFC展開の話が出始めています。
僕らとしては良い出会いがあったときに組んでいきたいと考えているので、1つひとつ丁寧に話し合っていきたいですね。

高橋英昇

私は日本の美容師の価値をより高めるために、この取り組みを始めました。現代の美容業界で成功するためには、 「お客さま」「美容師」「SNS」 の3つの支持が不可欠です。

①技術力の向上 → お客さまの満足度を最大化し、リピートや紹介につながる。
②単価アップ → 美容師としての価値を高め、より豊かで自由な人生を実現できる。
③SNS発信力 → 『技術力×影響力』を掛け合わせ、新たなチャンスを生み出す。

美容師には、圧倒的なモチベーションと無限のポテンシャルがあります。“選ばれる美容師” になるために、ともに学び、成長し、美容業界を盛り上げていきましょう!!

青木大地

現在COA内部は美容室事業、プロダクト(店販商品・薬剤)、サイネージ広告などの広告事業、海外事業に分かれています。ホールディングス化のイメージもあるので、これらの事業をどんどん後輩たちに引き継ぎ、任せていきたいですね。

僕は商品開発や世界でのプロダクト戦略などやりたいこともたくさんあるので、サロンワークは「一従業員として」COAで働かせてもらおうかな(笑)。

代表陣それぞれの強みがありながら、でもやっぱり技術が好きなCOAメンバー。
この先、どんなに事業展開が進んでも、お客さま第一主義の「COA流」を貫いていくだろう。

YAHAGI
執筆者
YAHAGI

ほぼ毎日WEB記事、ときどき単行本。

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