人間関係を改善して「人生の満足度」を高める方法【ママ美容師のホンネ人生相談室 #4】

人間関係を改善して「人生の満足度」を高める方法【ママ美容師のホンネ人生相談室 #4】

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連載:〈ママ美容師〉サカリのコラム

自分の人生に、どれだけ満足していますか?

美容師としてママとして、仕事と家庭の両立を日々忙しくこなしていく中で、

「私、これでいいのかな?」と不安や葛藤を感じる瞬間…

「頑張っているのにうまくいかない…」

「みんな充実しているのに私は…」

こんなお悩みは、あなただけではなくママ美容師なら誰しもが持っているはずです。

これまでママ美容師のホンネ人生相談室では

過去3回にわたって

・妊活

・お金のこと

・AIなどの新しいスキルの取得

などなど、多くの悩みを抱えながら人生を送っている

ママ美容師さん達をフィーチャーしてきました。

そして、「人間関係」のお悩みもその一つであり、言わば全ての悩みの根源ではないでしょうか。

なぜ不安が付きまとうのか?

パートナーと出会い、子供にも恵まれ、大好きな美容師も続けている。

自分で望んだ未来のはずなのに、なぜ不安が付きまとってしまうのでしょうか?

今回、そのような悩みを解決するべく、アドバイザーとしてお迎えさせていだいたのが、(株)Lond Holdings 代表取締役の甲斐紀行さん。

甲斐紀行さん / (株)Lond Holdings 代表取締役
Profile
甲斐紀行さん

(株)Lond Holdings 代表取締役

2013年株式会社Londを共同設立。2024年9月現在、国内外合わせて、計73店舗、600名のスタッフを抱える。組織の人材育成を担い、新卒から幹部まであらゆるレベルの成長を支援。悩み相談、人間力・組織力向上、幹部育成など幅広い領域でサポートを行う。組織力を最大限に高めながら、離職率の低減にも注力。創業5年時にはスタッフ100名で離職ゼロの実績を達成し、現在も年間離職率を全体の6%に抑えている。そのノウハウをメンターアカデミーを通じて多くの企業に提供している。

今回のホンネ人生相談室では、甲斐さんが3人のママ美容師さんが抱える人間関係の悩みに答えてくださいました。

Rさん

ママ友の立ち話がシンドイです

Tさん

オーナーの考え方に賛同できません

Aさん

雑務を全部引き受けてしまいます

あなたの人生、10点満点で何点ですか?

甲斐さんは、まずこのようにお話ししてくださいました。

「あなたの人生、10点満点で何点ですか?」

急に聞かれても困ってしまいますよね。

しかし、仕事・家庭・友人関係などと細分化して、それぞれの満足度を10点満点で評価したらどうでしょうか?

ライフチャートに書き込んでみよう!

例えば、こんな風に考えてみてください。

  • 仕事の満足度は? → 7点かな
  • 家族との時間は? → うーん、5点くらいかも
  • 友達付き合いは? → あ、これは8点!

こうやって点数をつけてみると、

「あれ?意外と良いところもあるじゃん!」って気づくことがあるんです。

そして、点数が低いところは、

「じゃあ、どうしたら0.5点でも上がるかな?」って考えてみる。

たとえば、「家族との時間」が5点だったら…

「週末に家族で出掛けてみたらどうだろう」

「子どもと一緒に料理してみようかな」

こんな小さな変化でも、きっと点数は上がるはず。

このように自分の満足度を客観的に自己分析すると、自分の現状に対する理解が深まり、

何が自分にとって大切なのかを見つめ直すことができるのです

具体的な解決法が思いつかない‥

とはいえ点数が低い分野で、自分ではどうやって解決したらいいかわからないこともありますよね。

今回の相談室に参加した、ママ美容師さんたちも人間関係の解決方法に悩んでいました。

ですが、甲斐さんからのアドバイスを受け、前向きに進める気持ちへと変化していったのです。

ここから先は、そんな自分では解決できなかった3人の悩みを甲斐さんどのように解決していったかを見ていきましょう。

きっと、あなたのお悩み解決のヒントになるはずです。

ぜひ、最後まで読んでみてくださいね!

困ったママ友との付き合い方

Rさん

美容師で普段仕事で聞く側もあって、プライベートではあまり聞きたくない話をされるのがしんどいんです。

例えば、旦那の職業や収入の話とか性的な話なんですけど、全然面白くないし、しかもオチがない長話

立ち話が大好きなママ友に捕まっちゃうと、逃げられないんです。

子どもの関係性もあり無下にもできなくて。何かいい防御策があれば知りたいです。

甲斐さん

うーん、そういう話をずっと聞くのはきついですよね。

Rさんは普段からそういう方にどう対応してるんですか?

Rさん

絡まれないように、見つけたら知らない道に入ったり、茂みに隠れたりしてます(笑)。

でも、それが毎回だと疲れちゃうんですよね。

甲斐さん

そうですよね、それは疲れる

逃げるだけだと根本的な解決にはならないかもしれないですね。

思い切ってそのママ友に直接、『ごめん、ちょっとこれ以上は無理』って言ったことはありますか?

Rさん

ありますけど、全然効果ないんです

全く気にしないでまた話しかけてくるんですよ。

甲斐さん

それだと厄介ですね。

僕も美容業界で、似たような経験があります。

以前、毎回最後の時間に来て、特に要望がないのに長居して、話すだけが目的のようなお客様がいたんです。

最初は真剣に話を聞いてたんですけど、そのうち時間をどんどん奪われて、仕事にも支障が出始めました。

Rさん

それ、大変ですね

甲斐さん

そうなんですよ。

そこで、僕はその方への対応を変えました。

例えば、その方が毎回一緒に写真を撮りたいって言うので、冗談っぽく『15000円でいいですか?』とか、『今日は3枚までにしましょう』とか言ったりして。

Rさん

へぇ、それでもお客様はご来店し続けたんですか?

甲斐さん

はい、来ましたね。

でも、こっちが主導権を握って対応するようにしたら、意外とスムーズに進むようになりました。

その方の目的が『写真を撮ること』だと分かったので、その目的だけ叶えて、あとは自分のペースで接していました。

Rさんの場合も、話が長いママ友に対しては、

最初に『今日は3分だけ話せるよ』とか『5分で終わる話なら聞くよ』と時間を区切って、少し自分がコントロールできるようにするといいかもしれません。

Rさん

確かに、最初に時間を決めるっていうのは考えてなかったです。

甲斐さん

あとは、そのママ友がなぜ話を続けたがるのかを見極めるのも大切ですね。

何かを共有したいのか、ただ話を聞いてほしいのか

そうすることで、少しは気持ちが楽になるかもしれませんよ。

Rさん

そうですね。

苦手な気持ちが先走って、考える余裕もなくなってるかもしれません

甲斐さん

分かりますよ、その気持ち。僕もあの時は、かなり消耗していました。

でも、自分のやり方で対応を変えることで、少しずつ負担が減ったんです。

だから、Rさんもまずは小さなところからでも挑戦してみて、無理だったらもう無理ってはっきり言っていいと思いますよ。

Rさん

はい、ちょっと勇気を出してみます!

オーナーと意見が対立してしまった

Tさん

あるお客様への対応でオーナーと意見が対立しました。

そのお客様は頭皮に疾患があり、ウィッグをかぶっている方でした。

私はその方が快適に過ごせるように、

見えないように端の席に案内したりして配慮してたんです。

しかし、オーナーはそれを特別扱いだと考え、

『お店の方針に反するから今後ご来店をお断りして』と言われてしまいました。

お客さまには医師からの許可も得ていたので私は問題ないと思っていましたが、

オーナーはリスクを懸念し、お客さまに対応しない方針を取ったのです。

甲斐さん

それは大変でしたね…。

Tさん

私としては、特別扱いではなく、

「美容師として、お客さまのお悩みに寄り添ってサポートさせていただきたい」

という一心だったのでショックでした。

それ以降、オーナーは私に話しかけず、業務の話をしても反応がなく…。

どう接していいか分からず、もう美容師を辞めちゃおっかなって本気で悩んでいます。

甲斐さん

その状況は本当に辛いですね。

オーナーさんがそのような判断をした背景には、お店を守るためのリスク管理があったかもしれません。

お店の方針や全体のリスクを考え、一定の基準を守ろうとしたのだと思います。

それはオーナーとしての役割でもあるので、Tさんの意図とは異なる判断を下すことがあったのでしょう。

Tさん

そうなんです。オーナーの考えもわかります。

ただ、私なりにお客さまのために最善を尽くしたくて

このことから自分の中でプツン、と糸が切れちゃって。

お店にいるのがもうしんどいです。

甲斐さん

今はTさんとオーナーが気持ちを、お互い受け入れられない状況ですね。

オーナーとの間に生まれたすれ違いを、今すぐ解消するのは難しいかもしれません。

会社に勤めていて一番難しいポイントって、

会社の思いに賛同できないときで、結局は自分が折れるしかないんですよね。

でも、それでは続けていけないと思います。

まずは、急がずに今の状況で自分がどうだったらしんどくないか、気持ちを整理しましょう。

そのお客様を、Tさんが信頼している他店の美容師さんに引き継ぐのも一つの方法です。

できれば、きちんとオーナーにそれを伝えられたら一番いいですね。

Tさん

でも、今の状況で理解してもらえるかどうかが不安です

甲斐さん

もしオーナーに話をしてみるなら、

『オーナーがこういう判断をされたことに対して私はショックを受けました。

私はオーナーのことを理解しようと努力していますが、

まだ分からない部分もあり、正直どう向き合えばいいのか分からなくなっています』

率直に相談するように話してみるといいと思います。

その過程で、オーナーが少しでも寄り添ってくれるかどうか確認していきましょう。

Tさん

そうですね。

これまで長年働いていたサロンなので、うまく折り合いをつけたいです。

冷静に自分の気持ちを話してみます。ありがとうございます。

良かれと思って多少無理してやっていたこと

Aさん

私は10年ぶりに現場に復帰したんですけど、最初はお客さまがゼロの状態だったので、なんとか自分にできることを見つけて動いていました。

私がいるサロンはマンツーマンサロンで、アシスタントがいないので、どうしても雑務が自分の負担になることが多かったんです。

最初のうちは、少しでもできることとしてを頑張ってやっていたんですが、だんだんそれが当たり前のようになってしまい、いつの間にかとんでもない量の仕事を抱えるようになってしまいました。

甲斐さん

なるほど、アシスタントがいない環境で、雑務を自分が担っていたんですね。

具体的にどのようなことをされていたんですか?

Aさん

例えば、備品の管理や発注業務ですね。

他のスタッフが気づかず、自分がやらざるを得ない状況です。

最初のうちは感謝されていたんですが、だんだんそれが当たり前のように受け取られるようになってしまい、休日にも対応しています。

正直、その負担が重くなりすぎてしんどいですね。

甲斐さん

それはしんどいですよね。

最初は『良かれと思って』やっていたことが、

いつの間にか当たり前になってしまうことってよくあります。

その状況から抜け出そうと試したことはありますか?

Aさん

何度か勇気を出して『もう無理だ』と伝えたんですが、うまく理解してもらえなかったんです。

結果として、その負担は変わらず、さらにコミュニケーションの問題も出てきてしまいました。

独立を視野に入れているので、「このままで大丈夫かな?」と不安が募ってます…

甲斐さん

お話を聞いていると、Aさんはかなりの負担を背負ってこられたんですね。

自分でやるのが当たり前のようにされてしまうと、次第に感謝の気持ちも減ってしまいがちです。

これからは少し、周りに任せることを意識してみるといいかもしれません。

Aさん

実は、スタッフにも何度かお願いしてみたんですが、結果的にうまくいかなくて…。

それで結局、自分でやってしまうことが続いてしまったんです。

甲斐さん

それは『気づき』の問題かもしれません。

例えば、Aさんがこれまでのようにやり続けてしまうと、他のスタッフが気づくチャンスを逃してしまうんですね。

だから、あえて自分が一歩引くことも大切だと思います。

自分がすべてを背負うのではなく、周りにも気づかせて成長してもらうという視点も大事ですよ。

Aさん

そうですね…。特にオーナーに気づいてほしいですね。

甲斐さん

今後のことを考えると、少しずつ周りに頼ることを意識してみてください。

もし独立されるとしたら、Aさんがいない状況になるわけなので。

オーナーやスタッフとの関係を考える前に、まずは自分のゴールを設定するのが大切だと思いますよ。

Aさん

そうですね。未来に目を向けられなくなっていました。

甲斐さん

オーナーっていうのはただの環境の一つでしかないので。

今の環境に対して目をやるよりも、

自分がどこに行きたいのかっていうのゴールに目を向けてから、

それに対して今の環境がどうなのか考えるという順番の方がいいのかなって思います。

定期的に信頼できる人と未来の話をする時間をとるのがおすすめですね。

 

Aさん

確かにそんな時間を全然取れてませんでした。

これからは未来に目を向けてみます!

まとめ

自信を持ち、自分を大切にするために

甲斐さん

僕は独身ですが、自分の人生だけでも大変だと思います。

それなのに、皆さんは子どもや家族の人生まで担っていて、本当にすごい。

自分の人生以外のこともコントロールしようとするのは当然大変ですよ。

だから『自分ができていない』と思って『もっと頑張らなきゃ』となってしまうけど、

そんな必要はないんです。

皆さんは、もう十分やっているんですよ。

今回の相談では3人とも、自分を抑え込んでしまったからこそ出てきたお悩みでした。

まずは冒頭の「満足度の定量化」を行い、出来ている部分にも目を向けること。

その上で、自分を大切にしながら、相手の考えとも折り合いをつけていく。

出来ていない部分が自分でコントロールできない領域の時は、

そこだけにに労力をかけるのではない、ということです。

甲斐さん

忘れないでほしいのは、あなたが自分を犠牲にすることで、

周りの人が傷つくこともあるということ。

あなたのことを大切に思ってくれる人のためにも、

自分自身を大切にしてほしい。

自分を大切にすることで、周りの人も安心して喜んでくれるんです。

忙しい日々の中で自分を犠牲にしてしまったママ美容師たちにとって、とても大切な教訓ですね。

ママの笑顔がみんなの笑顔に

家族やお客様のために頑張り続けるのも素晴らしいことですが、

自分自身を大切にし、無理をしないこと。

これまでの「ホンネ人生相談室」を通して、

これこそが、ママ美容師さんたちのさまざまなお悩み解決の根本となる

一番大事なことなのかもしれませんね。

ママ美容師が笑顔でいられれば、サロンも家庭内も

そして子供たちもきっと笑顔の連鎖に繋がっていくはず。

ママ美容師には、そんな周囲を輝かせるパワーがあるんです。

最後に

これまで4回にわたり、ママ美容師さん達のリアルなお悩みを取り上げさせていただきました。

筆者自身も、母になる前に想像していたこととは違った問題に、これまでたくさん頭を抱えてきました。

そしてそれを自分でなんとかしようと調べても、全く解答が得られなかった経験から当企画に至ります。

今回の企画が、一人でも多くのママ美容師さんの人生を豊かにするきっかけになれば嬉しい限りです。

最後になりましたが、アドバイスをくださった4名のアドバイザーの皆さん、

そして、企画協力してくださったMAMABIPARK(ママ美容師コミュニティ)、本音を打ち明けてくれたのメンバーの皆さんに感謝申し上げます。

サカリ
執筆者
サカリ

美容師ライター。二児の母。

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