美容師の健康管理、そろそろ本気で向き合うとき
現役フリーランス美容師の、操作イトウのコラム連載。
「街の美容師さん」目線で、業界のエトセトラをお話していきます。
illust:oyumi
美容師を続けていくうえで、取り組んでいる健康管理やセルフケアってありますか?
正直、自分の身体に騙し騙しの日々を送っている人がほとんどなのではないでしょうか。
そうしている間に、身体に異変が起きてから「このままで大丈夫か?」と取り組み始めた、というベテランのお話もよく聞きます。
僕自身も夜の晩酌を楽しみに生きている人なので、健康的とは言い難いかもしれません。でも、だからこそ美容師にとって健康管理やセルフケアって大切だと思います。今回はライフハックになるかもしれない、美容師に向けた健康管理やセルフケアについて話していきます。
お昼はバックルームでササっと。
コンビニ食になりがち
全国のほとんどの美容師は、営業時間の隙間に20〜30分の休憩を取る毎日。
スキマ時間でもパクパクつまめるように、おにぎりやサンドイッチ、菓子パン、甘いお菓子ばかり用意していますよね。一口サイズのチョコをバックルームに入る度に口に入れたり、お腹が鳴らないようにスタバで甘くて美味しい飲み物を常備していたり。
総じて、ジャンキーなコンビニ食ばかり。という方は多いはず。
このように、一般職よりも美容師は食生活が乱れがちです。
お仕事柄、なかなか「健康的な食生活」は難しいかもしれませんが、それもこれも、美容師に「お昼休みが無い」ことが原因です。
僕自身も長年、業界にどっぷり浸かっているから麻痺していますが、世間一般からするとありえないことです。本来なら、ビジネスパーソンは12時きっかりに1時間、お昼休みが設けられるものです。
当然、限られた時間では「外にランチ」とはならないし、狭いバックルームでは落ち着いて食事ができない。更に、ご飯の匂いがフロア中に充満することもあり、持ち込む食べ物も限定されてしまいます。
業務委託や面貸しの場合は、時間を比較的コントロールできる方も多いでしょうから、セルフで改善しているかもしれません。ですが、このような労働環境が常識となっている現状は、いい加減いかがなものかと思います。
かくいう僕自身は、空いた時間にお手製のサンドイッチで軽く済ませています。仕事中に満腹になると、その後のパフォーマンスが落ちてしまうので、「軽くお腹が空くぐらいが丁度いい」と考えるようになりました。
それよりいち早くお家に帰って、夕飯と晩酌を充実させたいのだ!
美容師の職業病とセルフケア術
美容師の職業病といえば、「手荒れ」や「腱鞘炎」、「腰痛」が定番でしょう。
長年に渡って苦労している方もいるかもしれませんが、まずは、「手荒れ」について。
特にシャンプーマンに徹するアシスタントには、正に苦行。僕はジアミンアレルギーなので、アシスタントの頃は休みの日はセルロイドと絆創膏でカバーし、見るに堪えない状況でした。
当時は根性論全盛だったので、「手袋してシャンプーは髪がつれるからダメ!」と厳しく指導されていました。今は素手でお薬を触ることはほとんど無く、上手に付き合えていますが、僕からすれば「お肌が丈夫な方」はそれだけでも美容師の才能がある、と褒めたたえています。
またスタイリストになれば、「腱鞘炎」のリスクも。
美容師は、ハサミを開閉する時の「親指の筋肉」が発達していますよね。忙しく働いていると腕が重たくなってくるから、僕も「腕組みするような姿勢」でずっとモミモミしています。
この腱鞘炎は酷くなると、力が入らなくなるのだそう。ハサミの開閉が困難になると、馬力のない感触の軽いハサミしか使えないそうです。生涯に渡って取り返しがつかなくなりますから、酷使し過ぎないようちゃんとケアしましょう。
最後に外せないのが「腰痛」。
僕も予備軍ですが、多くの美容師が爆弾を抱えています。ギックリ腰経験者も多いはずですし、お勤めの美容室がサイドシャンプーの方は特に、腰に手を当てて海老反りしている絵が浮かびます。
そして、当たり前に腰や肩にぶら下げているシザーケース。実は、腰に良くないのだそうです。確かに、全体的にずっしり。多くは革製なこともあって、結構重たいですよね。
こちらは「ワゴンに置くスタイル」にすると、かなり負担が軽減されます。それもあってか、シザーケースを使わない美容師さんは以前より増えている印象です。腰痛に悩まされている方は、検討した方がいいかもしれませんね。
「座っちゃいけない」は、やめにしません?
誰に向けた礼儀なのか、「仕事中は立ってなきゃいけない」という謎ルールに縛られ続けてきた美容師。カット椅子も含めた「座っちゃいけない」ルール、あなたの美容室にも残っていませんか?
椅子を置くスペースも無いほど狭いバックルームでは難しいのかもしれませんが、せめて受付には用意した方がいいと思います。
そして運営側の方々も、「美容師は、そういう仕事だから」と意識が向いていないかもしれません。頑なにカット椅子を使わない美容師は自業自得とも言えますが、大事な人材がドクターストップになってしまいます。
善良な会社として、一刻も早く営業中も座っていいルールにするべきですよ。
ネトフリ、サウナ、スポーツ、スマホゲーム…
あなたのストレス解消法は?
上記のランキングは、一般の方のストレス解消法ランキングです。一方で休日もアクティブに過ごしたい、というのが美容師。目新しいアクティビティにも積極的で、最新のアトラクションやスイーツ、スポーツから海外旅行まで様々な選択肢がありますが、貴方のストレス解消法は、どんなスタイルですか?
お手軽なところでは、スマホ関連。
ネットフリックスなどのサブスクで韓国ドラマをチェックすれば、お客さまとの話題作りはバッチリ。その上、ファッショントレンドもキャッチできるから、一石二鳥です。
インスタやTikTokも同じく、移動時間でも手軽に情報収集できていいのですが、なんとな〜くの惰性で見ていると、いつのまにか時間が…。受け身になり過ぎると「可処分時間」を容赦なく蝕んでくるので、自制が必要です。
また、こちらも惰性になりやすいのが、スマホゲーム。上位ランクに上がるために課金しまくっている、という話もよく聞きます。僕もゲーマー気質なので共感しますが、ネトゲは基本やらない、というルールにしています。
これら、長時間のスマホはどうしても姿勢が悪くなりますし、特に「スマホっ首」は深刻です。僕も執筆はスマホやiPadが中心なので、前屈みの姿勢になりやすく、首から背中にかけての負担が大きくなった気がします。
対して、休みの日にはヨガ、ピラティス、筋トレなどで身体をケアする方も多いはずです。ところが、これらの「ジム通い」が継続できる方は、総じて、運動が好きな方が中心です。
僕も然り、そもそも運動が好きじゃない「ズボラ層」は気乗りしないまま、休日はダラダラ過ごしてしまいがちです。最近も、整体やマッサージすらめんどくさがって、背中が痛くなってしまいました。
皆さんも、ズボラはほどほどにしましょう。
美容師はアクティブで流行りに敏感。
サウナの次に流行るのは?
アクティブで流行りに敏感な美容師。
新しいスポーツやアクティビティも気軽にトライできるようになり、「やってみたい!」と飛びつく方も多いですよね。
ここ数年でサウナにハマっている方々も、そろそろ次を探し始めている頃でしょうか。
そして「新しいモノコトに触れること」自体がストレス解消になったり、思わぬ形で仕事にフィードバックできたり。
自分にとってのセルフケアがある人もない人も、いつもと違った文化や空気に触れることで、リフレッシュするキッカケになりますから、有意義に休みを利用して、また仕事に向かいましょう。
ですがくれぐれも、怪我しないように!
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