美容師は腸活よりもフェムケア向き!? 忙しくても今すぐできる5つのこと

美容師は腸活よりもフェムケア向き!? 忙しくても今すぐできる5つのこと

211

生理やPMS、妊活だけに関わることというイメージがある「フェムケア」。でも実は女性の心身の健康すべてにつながるケアなのだそう。第2回はフェムケアの大切さを伝える活動をしている、「美ケアライフ協会」の水谷ひでみさん、寺田かおりさんにお話を聞きました。

今回、フェムケアについて教えてくれるお二人は、水谷さんはエステティシャン、寺田さんは美容師アシスタントの顔も持ち、美容の仕事、接客業の大変さをよく知っているフェムケアの伝道師。

美容師の忙しいライフスタイルに合わせた、超現実的ですぐに取り入れられるフェムケアを5つに絞って教えていただきました。どれも20代、30代と若くて健康なうちから始めたいこと。

美容にも、健康にも、フェムケアっていいみたいです!

Contents

そもそも「フェムケア」ってどういうこと?

「フェムケア(Femcare)」とは、「女性の(Feminine)」と「ケア(care)」を掛け合わせた言葉。女性特有の体や心の悩みや不調に対するケアをあらわします。

デリケートゾーンのケアはもちろんのこと、広く捉えると女性の心と体のケアすべてを指すとも言えるでしょう。またデリケートゾーンをケアすることで、体と心を健やかに保つことにもつながります。

忙しい美容師にとって
フェムケアこそ“最速”のインナーケア

「腸活が大事とよく言われていますが、食事時間が不規則だったり、昼食がとれない美容師さんは実践するのが大変ですよね。そんな美容師さんたちこそ、腸活よりもフェムケアが健康への近道になると思います」と話してくれたのは水谷さん。

たとえば、フェムケアで主にアプローチする膣や子宮。膣を温めるとその奥にある子宮を温めることにつながります。そして、この子宮の周りには腸があります。

つまり、デリケートゾーンの温活をすることで、内臓全体を温める=全身の温活につながるのだそう。

またフェムケアは心の安定や美肌づくりにもつながるとか。その理由もこれからお伝えする5つのフェムケアアイデアとともにお伝えしていきます。

その1/
膣を冷やさない生理用品にチェンジする

寺田かおり

従来の生理用ナプキンに使われている高分子吸収剤ポリマーは、熱が出たときにおでこに貼る熱吸収剤シートにも使われているものです。そのため熱をとる作用があり、子宮の冷えの原因にもなると言われています。

生理痛は自律神経が乱れ、ホルモンバランスが崩れると起きやすくなります。また運動不足や冷えも関係していると言われています。普段から膣、子宮を温めて血流が良くなる環境にしてあげておくと、生理痛の改善にもつながります。(→その2、その5へ)

ましてや生理中に冷やすようなことをするのは、厳禁!

フェムケアはじめの一歩は、膣を冷やさない生理用品に変えることをおすすめします。最近はさまざまな生理用品が出てきていますよね。そのなかから自分に合った、使いやすいものを探してみてください。(寺田)

ナプキンはオーガニックコットンのものにチェンジ

生理用ナプキンは高分子吸収剤ポリマーが使われていないものを選びましょう。原材料名を見てもわかりにくいと思うので、吸収剤が「オーガニックコットン」のナプキンを選ぶようにすると良いと思います。

最近ではドラッグストアで買えるものもありますし、価格も従来のものと比べ若干高い程度なので、チェンジしやすいと思います。

わりと頻繁にトイレに行けるような営業スタイルの方には、さらに素材に不安がない布ナプキンもおすすめです。

タンポンは本当に量が多い日だけ

営業中は一度もナプキンを変えられない! という話もよく聞きます。そのためタンポンとナプキンを併用している人も多いと思います。

ただタンポンも従来の生理用ナプキンと同じように高分子吸収剤ポリマーやそれに近い素材を使用しているものが多く、膣の中に入れるため、ナプキン以上に子宮の冷えを助長してしまう可能性があります。

生理2日目など、どうしてもタンポンを使わないと不安という日のみの使用にするなど、生理期間の中でも使い分けをすることをおすすめします。

12時間入れっぱなしOKの月経ディスク

新しい生理用品のなかで、特に美容師さん向きだと感じているのが「月経ディスク」です。月経カップに似ていますが、膣口の近くに装着する月経カップよりもさらに奥、子宮頸部の下にまで入れて装着するというものです。

写真で紹介している「MOLARA」というブランドの月経ディスクの場合は、最大12時間装着可能。ほかのブランドを見ても、8時間〜12時間装着可能と、長時間入れっぱなしでいられます。

膣の奥に入れるので空気に触れず、ニオイの心配がないのもメリット。またトイレに行く時間ができたら、ディスクの中に溜まっていた血液だけを手を使わずに押し出すこともできます。

月経カップは再利用ができる一方で、煮沸消毒をしないといけないのですが、こちらは使い捨てのものが多く、続けるという意味ではラクだと思います。

その2/
膣ケア専用のソープ&オイルを手に入れる

寺田かおり

膣の内部は弱酸性。アルカリ性のソープで洗い過ぎると、本来持っているバリア機能や常在菌が洗い流されて、雑菌の繁殖、感染症の感染につながってしまいます。

水谷ひでみ

デリケートゾーンの皮膚は、顔でもっとも皮膚が薄いまぶたよりも薄いと言われています。だからふわふわの泡で優しく洗って、しっかり保湿をしてあげましょう!

膣の中に指を入れてみるとわかるのですが、膣の中は粘膜になっています(ぜひ入れてみてください!)。ここには乳酸菌などの常在細菌がいて、常に弱酸性に保つことによって、ウィルスや細菌の侵入から膣を守っています。

デリケートゾーンを洗うときは外側だけを洗うのですが、それでも膣に直結している場所であることは変わりません。体を洗うのとは少し違う気のつかい方が必要です。

また保湿と一緒にマッサージの仕方もお伝えしておきますね。それほど時間はかからないので、毎日は大変でも、少し元気がある夜などに行う習慣にしてもらえたらと思います。(寺田)

ソープは弱酸性のもので、泡立ち重視!

まずはボディソープとは別に、膣専用のソープを手に入れましょう。選ぶときの条件は2つ。

【膣用ソープの条件】
・弱酸性であること
・泡タイプのもの、もしくは泡立ちが良いもの

膣内の環境を乱さないよう、デリケートゾーンを洗うときはアルカリ性のソープはNG。弱酸性のものを選びましょう。

またデリケートゾーンはとても皮膚が薄いので、ゴシゴシ洗ってしまうと乾燥や黒ずみ、たるみなどの原因になってしまいます。顔を洗うときにソープをしっかり泡立てるのが大切なのと同じように、デリケートゾーンも泡で洗うという感覚で洗って。泡タイプのものもあるので、泡だてが苦手な人はそういったものを選ぶと良いと思います。

もちろん拭くときもゴシゴシとこすらないこと。タオルを抑えるようにあって、水気を吸う感じにしてください。デリケートゾーンには摩擦は良くない、というのを覚えておいてくださいね。

ケアアイテムを1つ足すならオイル

「洗ったら、保湿」も、習慣にしてもらいたいことです。デリケートゾーンのケアアイテムにもいろいろありますが、まず1つ手に入れるなら保湿もできて、そのままマッサージもできるオイルがおすすめです。

なお、デリケートゾーンは脇の内側と比べても何十倍も経皮吸収しやすい場所です。新しいアイテムを使うときは、腕の内側などで、赤みやかゆみが出ないことを確認してから使ってください。

デリケートゾーンのオイルマッサージ

デリケートゾーン、できれば膣内までマッサージをしていると、膣の筋肉がふっくらとして血流が良くなります。そうすると子宮の中まで血流が良くなり、冷えの改善にもつながります。なかにはマッサージを習慣化して、生理痛がラクになったという人も。 今は生理痛や生理不順など気になっていることがなくても、その良い状態をキープしておくために、ぜひマッサージも取り入れてほしいと思います。

【デリケートゾーンのマッサージ】

1、人差し指、中指、薬指の3本にオイルを馴染ませ、膣に沿ってなでるようにマッサージ

2、会陰部をくるくる優しく回しやわらかくする

3、小隠唇(ひだの部分)を指で何度か優しくつまむ

膣内までマッサージするなら!
4、人差し指を膣の中にゆっくり入れ、粘膜を優しく押し上げる

水谷ひでみ

ヨモギ蒸しを体験したことがある人は、それを思い出してみてください。膣を蒸すことで肌がきれいになりましたよね! それと同じで、膣ケアは全身の美肌づくりにもつながっています。

その3/
美容師が隙間時間にできる膣&お尻トレーニング

水谷ひでみ

膣も筋肉! デリケートゾーンの筋肉が衰えると、膣のたるみ、尿漏れ、ひどいときは子宮脱になるなど、将来困ることが出てきます。衰えてから鍛えるのは大変です。筋肉が使えている若いうちからトレーニングを習慣にしておいてほしいです。

骨盤の底には骨盤底筋(骨盤底筋群)という筋肉があり、骨盤の中にある子宮や膀胱、腸などを支えています。

この筋肉が膣や尿道、肛門をしめたり、ゆるめたりする働きを助けているので、骨盤底筋の筋力低下は膣の緩みにつながります

呼吸を変えるだけでできる「膣トレ」

【骨盤底筋を鍛える呼吸】

1、思いっきり息を吸う

2、膣、尿道、肛門を締めながら、息を吸った時間の倍の時間をかけて息を吐く。

2のときのコツは、肛門、尿道は漏れそうなのを我慢しているときの感じ。膣はストローで水を吸い上げているイメージです。

お腹にもぐっと力が入り、背中まで筋肉が引き上がっているのを感じると思います。体全体が引き上がり、浮いているような感じになったら、できている証拠です。

骨盤底筋はインナーマッスルでもあるので、鍛えることで、猫背やストレートネックの悪化を防ぐことにもつながっていきますよ。(水谷)

かかとの上下運動で「膣トレ」に相乗効果

かかとを上下させてふくらはぎを鍛える簡単トレーニングは知っている人も多いと思います。これをお尻の筋肉もしっかり使ってやるだけです。

お尻の筋肉は骨盤底筋に連動しているので、骨盤底筋を鍛える呼吸と一緒に続けると、相乗効果が期待できます。

またふくらはぎは第二の心臓とも言われていますよね。ふくらはぎを使うことで、代謝が上がり、血流の改善にもつながり、むくみにくい体づくりの一助となります。

その4/
ムレ・ニオイ・かゆみの原因をなくすVIO脱毛

水谷ひでみ

普段は人目につく場所ではないので、優先順位が低いという人も多いかもしれませんが、フェムケアの1つとして、VIO部位の脱毛をおすすめしています。

毛があることによって拭き漏れがあったり、ゴシゴシ拭きたくなったりしませんか? また清潔にしようとビデを使い過ぎてしまっても、膣内の弱酸性が乱れる恐れもあります。

特に長時間、生理用ナプキンを変えられない環境だと、ムレやニオイが発生しやすくなる不安もあると思います。忙しさによるストレスなどでホルモンバランスが崩れ、免疫が落ちがちななか、毛があることで雑菌が繁殖しやすい環境にあると、膀胱炎や膣炎などにつながりやすくもなります。

医療脱毛、美容脱毛ともに金額も回数もクリニックによってさまざまですが、美容脱毛の場合、時間は1回10分程度。VIO脱毛は、休日の短い時間でできるケアのひとつです。

脱毛したあとは普段以上に乾燥しやすくなっているので、オイルでの保湿を忘れないようにしてくださいね。(水谷)

その5/
やっぱり大事!今日からできる温活法

寺田かおり

美容師さんの仕事環境は“冷え”の温床です。食事以外で簡単にできる温活をお伝えします!

冷えの原因はたくさんあります。はじめにお話したように、生理用品の素材ひとつとっても冷えにつながることも。また生活習慣の乱れはもちろんのこと、運動不足や施術中のように同じ姿勢でずっといることも本当は良くありません。

冷えはさまざまな不調を引き起こし、血行不良の要因でもあります。血行不良になると卵巣や子宮に栄養が行き渡らず、女性ホルモンの分泌にも影響するため、妊娠確率が低くなるとも言われています

将来妊娠したいと思ったときのためにも、温活はしておきたいもの。 先ほど膣を温めることで全身の温活にもつながるお話はしましたが、ここではそれ以外の簡単にできる温活をご紹介します。(寺田)

シャワー派の人は「手浴」でぽかぽか

本当は毎日湯船に浸かっていただきたいところですが、帰宅が遅いとそれも難しいと思います。そういうときは、手だけでもじっくり温めてください。洗面器などにお湯を入れて、手がぽかぽかになるまでつけておくだけ。

できるなら、足も同じようにして「足浴」をするとさらに良いでしょう。お風呂の代わりになります。

朝、起きがけに「白湯」を飲む

朝に飲む白湯は就寝中に冷えてしまった胃腸を温めてくれます。ぬるめよりも、やや熱めのほうがおすすめ。営業中に水分を摂る時間はなくとも、朝1杯なら無理なく続けられると思います。

冷たい飲み物は口の中で温めてから

冷たい飲み物は避けてほしいところですが、真夏など暑い時期はそうもいかないかと思います。温活を意識するなら、氷入りなど冷たい飲み物を飲むときは、口の中で一瞬キープ。ほんの少しあたためてから飲むようにすると、ほんの少し冷えを遠ざけられます。

できるなら腹巻を!

冬だけでなく、クーラーが効いている夏場も、できるなら腹巻きをしてもらいたい! 最近は薄手で暖かい高機能生地の腹巻も多くあるので、ファッションの邪魔にならないと思います。胸の下から温める、長めのものがおすすめです。

ショーツの生地でも温活できる

インナーを変えるだけでも温活になります。生地自体に発熱素材を使用しているものもありますし、ナイロン生地よりはシルクやコットンのほうが良いと言われています。またできればお腹をしっかり覆ってくれる形を。子宮や腸、腰を普段から冷やさないように気をつけてくださいね。

まとめ

水谷ひでみ

20代、30代のみなさんは「フェムケアって必要?」と思うかもしれません。でもフェムケアは美容や健康にも直結しています。また良い状態の時期からケアを始めておくことで、将来の困りごとや悩みを遠ざけることにつながります。スキンケアをシワやたるみができる前から、ていねいに行っているのと同じこと。フェムケアもそんな意識ではじめてみてくださいね。

寺田かおり

夫が経営するヘアサロンでアシスタントとして働くなかで、女性美容師が仕事をめいいっぱいやりながら自分の体を大切にするのは、本当に大変だと感じています。私は50歳で子宮頸がんになり、そこではじめて女性としての自分の体のことを知りました。若いうちからフェムケアの大切さをもっと知っておけばよかった。そんな気持ちも込めて、今回、忙しい美容師さんでもできるフェムケアをお伝えしました。フェムケアと同時に、子宮頸がんの検診にも必ず行ってもらえたらと思います。

水谷ひでみ/みずたにひでみ / 美ケアライフ協会主宰、エステサロンcolors経営/滋賀
Profile
水谷ひでみ/みずたにひでみ

美ケアライフ協会主宰、エステサロンcolors経営/滋賀

自分の持っている個を輝かせる「エステサロンcolors」を2021年3月にオープン。若い頃は生理痛なし、安産での出産と、トラブル知らずできたが「更年期は全員やってくる」ということを知り、衝撃を受けてフェムテックの勉強を始める。フェムケアを通じて自分のカラダを愛していく大切さを伝えるためにサロン外での啓蒙活動を開始し、ミニセミナーを毎月開催。女性ホルモンに左右される女性に正しい知識と情報を届けている。日本美容整骨学院 美容整骨認定講師、フェムケア矯正認定講師

寺田かおり/てらだかおり / 美ケアライフ協会主宰、ヘアーサロンamaze/埼玉県さいたま市
Profile
寺田かおり/てらだかおり

美ケアライフ協会主宰、ヘアーサロンamaze/埼玉県さいたま市

50歳のときに子宮頸がんに罹患したことをきっかけに、フェムケアについての勉強を始める。1人でも多くの女性にフェムケアを通じて自分自身を大事に愛して欲しいという願いを込め、月1度、サロンの定休日を利用して「LoveMeワークショップ」を開催し、フェムケアについて講座を行う。膣ケア・膣トレ講師、フェムケア矯正師🄬、新リンパ療法士

アバター
執筆者
mackey

Prev

Next