「脱白髪染め、どうだった?」カキモトアームズ岩上晴美とお客さま座談会
白髪ぼかし、白髪隠し、白髪馴染ませなど、さまざまな手法とネーミングが登場している「脱白髪染め」。
その多さから美容師もお客さまも、どれを選べば正解なのか迷っている人も多いようです。
──そもそも脱白髪染めの正解って?
写真:吉楽洋平
- Profile
- 岩上晴美(kakimoto arms)
ヘアカラーマネージャー/東京・麻布台ヒルズ店
1973 年生まれ、茨城県出身。日本のヘアカラーの第一人者として日本人に似合うヘアカラーを追求し続けてきた『kakimoto arms 』を代表するヘアカラーリスト。 2009 年よりロンドンに渡り、 世界的有名サロン『 Daniel Galvin 』に在籍しレベルアップを図る。 帰国後、全店をまとめるヘアカラーマネージャーに就任。ヘアカラーリスト歴、30年目となる。 2023年12月より東京・麻布台ヒルズ店に在籍。 ヘアカラーセミナー、ヘアショー、撮影、薬剤開発など国内外を問わず精力的に参加。サロンワークではモデル、女優、各界セレブリティたちから支持され、ビューティパートナーとしての信頼も厚い。
- Instagram : @harumiiwakami
「脱白髪染め」に
求められていること
「グレイカラー剤を使わない」だけじゃない
そもそもお客さまは、なぜ「白髪染めをやめたい」と思うのでしょうか?
毎月のヘアカラーが負担だから? 髪色を明るくしたいから? 髪や頭皮へのダメージが心配だから? 素敵な脱白髪染めをしている人に出会ったから?
お客さま一人ひとり、白髪染めをやめたい理由は異なります。
そして、その白髪をどうしたいかも。
隠したい人、目立たなくできたらいい人、白髪をそのままにしたい人……。とバラバラです。
脱白髪染めのゴールは、「グレイカラーを使わない」だけではありません。
“白髪染めをやめたい理由”と“白髪をどうしたいか”によって、人それぞれ違うのです。
座談会を通して「ホンネ」を知る
そこで、お客さまが脱白髪染めに“本当に求めていること”を探るべく、体験者座談会を開催しました。
新刊『脱白髪染めパーフェクトガイド』の著者であり、カキモトアームズでヘアカラーマネージャーを務める岩上晴美さんがナビゲーター。
本の発売を記念し、岩上さんの元で脱白髪染めヘアを手に入れたお客さまたちにお集まりいただきました。
始めたきっかけから完成までの道のり、そして白髪染めから卒業した今の気持ちを語っていただきます。
座談会を通して、美容師の目指すべき「脱白髪染め」の正解を考えてましょう!
- 脱白髪染めパーフェクトガイド
- ヘアカラーリストの第一人者、岩上晴美(kakimoto arms)による、「脱白髪染め」技術の決定版! 誰でもわかるシンプルなルート設計とテクニック、考え方で、理想の脱白髪染めの完成までを寄り添います。
脱白髪染めで「どう変わった?」
「脱白髪染め」のきっかけを教えてください
このヘアカラーを知る以前は、この年齢になるとショートヘアにするしか選択肢がないのかなと思っていました。
汚いロングヘアになるくらいなら、切ってしまおうって。そんな時に友人が岩上さんのところで脱白髪染めにチャレンジしたのを見て、私も飛び込んでみようと思いました。
予約が取れるまで何年も待ちましたけれど、それを待てるほどに「変わりたい」という気持ちが強かったですね
私はある日突然、「白髪染めし続ける日々が嫌だな」と思ったんです。
でも通っていた美容室で相談したら、「白髪染めをやめたら老けるよ」と言われてしまって。それならと全体をブリーチした雑誌の写真を見せたら今度は、「髪が切れるよ」と…。
これは美容師さんを変えるしかないなと決意しました。それからインスタを探し回って、岩上さんを見つけました
私も同じです。黒髪に染めていた時は2週間くらいで白髪が気になり始めて、月に1回美容室に行っていました。
でも髪も傷むような気がするし、通うのも手間だったので、ネットで調べて辿り着きました
坂部さんは本の撮影ではじめて脱白髪染めを知ったのですよね
はい、まったく予備知識なしで感動を味わうことができました。
これまで白髪染めに対して詳しい説明も受けずに、日々のこととして受け入れていました。とはいえ「3週間で根元が真っ白になって、また染めに行く」というサイクルに知らず知らずのうちにストレスを溜めていたように思います。
今回、初めての脱白髪染めをしていただいた後、3、4カ月、ヘアカラーをしに行かなかったんです。もちろん褪色はあるのですが、白髪が伸びていることがバレないところに、白髪染めとの違いを実感しました。
【ポイント】
渡辺さんと関口さんは、
「大人の地毛ハイライト」が完成されて、継続して通ってくださっているお客さま。
岡田さんは
kakimoto armsの他のカラーリストのお客さまで、今回の本にモデルとしてご登場いただきました。岡田さんが「大人の地毛ハイライト」が最近完成したばかり!
そして坂部さんは
語ってくださっているように、本の撮影で出会ったお客さま。ほんのり白髪にも色を入れる「白髪馴染ませハイライト」をさせていただいています。
なかでも関口さんの初来店時はマニキュアでダークに染めていて、しかもパーマもかかっていました。普通なら「マニキュア部分がなくなってから〜」とお伝えするところ。
でも関口さんの強い意志を感じ、テストをして、ブリーチするとオレンジっぽく抜けてしまうことも了承いただいたうえで、脱白髪染め施術を行いました。この時にはなからお断りしていたら、きっと失客してしまっていたと思います。
美容師がはじめから「ダメ」「無理」と諦めてしまえば、それだけでお客さまの心は離れてしまいます。お客さまのベストに応えられるだけの引き出しを、ぜひ本から手に入れてくださいね!
ゴールがない「白髪染め」
ゴールのある「“脱”白髪染め」
脱白髪染めへの移行は大変でしたか?
真っ黒に染めていたところからの移行だったので、初めてハイライトを入れた時は雰囲気が変わって少し違和感はありました。でもすぐに慣れましたし、友人に「私もそうしたい」と言われることが増え、もう黒髪の頃に戻りたいとは思わないです。
白髪染めが残っていた1年半の間は、オレンジっぽく色が抜けるので月に1回、トナーに通う必要がありましたが、今では大体3カ月に1回、ハイライトを入れるだけ。とても楽ですし、有意義に時間を使えている感覚があります。
同じ月に1回通うにしても、ゴールがあるのとないのでは心持ちががまったく違いますよね。
白髪染めを繰り返していた頃は、それが当然でストレスだとも思っていませんでした。でも今となっては自分にとってどれだけストレスだったか、と。
白髪を染めるというのは、自分から生えてきたものを否定することでしょう? このヘアにして、気持ちまで軽やかになったように思います。
わかります。脱白髪染めは目標がわかっているから我慢できます。
私は前髪側に白髪が多かったので、初めは前髪ウイッグをつけて伸びてくる白髪が見えるのをカバーをしていました。でも3カ月くらいで、ウイッグなしで大丈夫なくらい白髪が馴染んでくれました。
実は私、目立つのがとても苦手だったんです。でも「白髪馴染ませハイライト」にして帰ったら、各所で「素敵ね」と言ってもらえて、自分の気持ちまで変わったことに驚いています。
自信が持てたというと大げさですが、新しい自分を発見できたという気持ちです。
私がこの髪にすることで、まだ脱白髪染めを知らずに白髪染めのストレスを抱えている人がハッピーになれるかもしれない! そう思うと、脱白髪染めをきっかけに、新しいことができるならどんどんやろうとポジティブな気持ちになっています。
脱白髪染めは完成しましたが、これから白髪が増えていったらどうなるんだろうという不安が少しありました。
でも今日、関口さん、渡邊さんにお会いして、こんな風になれるのだと分かって嬉しいです!
脱白髪染めの前は、白髪染めをしてハイライトを入れていたのでダメージも激しくて、切れ毛も多かったんです。
それが今ではこんなに伸ばし続けられるようになったので、これからずっと楽しめると思いますよ!
【ポイント】
脱白髪染めを進める上で、美容師はナビゲーターの役割だと感じています。
脱白髪染めは育てていくものなので、その間にいろいろなことが巻き起こります。白髪の量、髪質、薬剤履歴によってはもちろん、間でホームカラーが挟まれることもあるし、白髪染めを復活させたい気持ちと揺れ動いて悩むこともあります。
まっすぐナビゲーションできなくて当たり前。そんな時はゴールに向かうのを一旦止めて、お客さまと一緒に迷ってもいいと思います。テクニックも大切ですが、そういう時のお客さまの心理状況によって、どんな言葉をかけたらいいかというのも大切。
本では、移行する6カ月間を追いかけた提案と施術も紹介しています。そこからナビゲーションのコツもぜひ学んでください!
体験者たちが美容師に求めるもの
美容師にどう寄り添って欲しいですか?
白髪染めをやめようと相談される方々は、不安でありながらも「自分を変えたい」という気持ちを強く持っていらっしゃると思います。不安を乗り越えるためには、やっぱり美容師さんからの後押しが必要。
大丈夫だよと安心させて、完成のイメージを具体的に表してくださったら、きっと不安なく夢を持って、完成までの期間を乗り越えられると思います!
私は初めの美容師さんに脱白髪染めを拒否されたことが、岩上さんと出会うきっかけになりました。私たちは素人ですから、一緒に考えて、冒険してくださるような美容師さんを求めています。
ぜひ相談をされたら、はじめから断るのではなくまずは寄り添って、一緒に考えていただけたらもらえたらと思います。
脱白髪染めで、私は新しい自分に出会いました。脱白髪染めにはそれだけの可能性があると実感しています。
私のようにまだこの素晴らしさを知らない女性たちがきっとたくさんいると思います。ぜひこんな未来があるよと、心からウキウキするように提案して、脱白髪染めを広げていっていただけたらと願っています。
脱白髪染めを始めてから、たくさんの友人に同じようなヘアカラーがしたい、白髪染めを同じような方法でやめたいと言われています。
その度にハイライトを入れた脱白髪染めを相談できる美容室が、今はまだそんなに多くないのを感じています。もっともっと脱白髪染めができる美容室が増えていくことを願っています。
シンプルテクニックだから
誰でも習得できる
座談会ではみなさん、脱白髪染めを始めたことによって、時間的にはもちろん、気持ち的な変化もあった様子が伝わってきましたね。
そして見えてきた、お客さまが美容師に求めていること。
『脱白髪染めパーフェクトガイド』には、
脱白髪染めとは何か。
お客さまが心の底で求めているものが何か。
それに応えるテクニックと寄り添い方を詰め込みました。
まずテクニックは、誰でもはじめの一歩を踏み出せるように、驚くほどシンプルに。
ほぼ1種類のホイルワークテクニックで、目指すゴールに合わせてプロセスを変えていきます。
そのうえで白髪染め履歴がある髪へのはじめての施術から、ゴール間近の人への提案&施術までさまざまなモデルケースを紹介します。
ほかにも、さまざまな手法の溢れる「脱白髪染め」をしっかり定義し、お客さまと一緒に目指す「ゴール」とその道のりを選ぶためのルートマップも用意しました。
4つのゴールを通して「お客さまが本当に求める脱白髪染め」の提案を目指します。
ぜひお客さまの声に応えて、脱白髪染めテクニックの習得を目指してくださいね!
- 脱白髪染めパーフェクトガイド
- ヘアカラーリストの第一人者、岩上晴美(kakimoto arms)による、「脱白髪染め」技術の決定版! 誰でもわかるシンプルなルート設計とテクニック、考え方で、理想の脱白髪染めの完成までを寄り添います。
- 執筆者
- mackey