NEXT LEADER編集長が「NEXT LEADER 2024年5月号」取材ウラ話を語る!

NEXT LEADER編集長が「NEXT LEADER 2024年5月号」取材ウラ話を語る!

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4/1発売のNEXT LEADER5月号の特集テーマは「事業承継」

ここ数年、業界内の事業承継の動きが非常に活発になっています。

1980年代の好景気の波に乗って創業したオーナーが退任するタイミングが重なっていたり、老舗サロンの2度目の事業承継など、会社ごとに背景は違えど、スムーズな引き継ぎが永続的なサロン発展につながることは間違いありません。

候補者選びから経営権・財産権の承継まで、今どきの事業承継をリアルレポートしました。


【編集部の取材ウラ話】

今月の特集は「事業承継」。完売した前回の特集からちょうど2年が経ちます。事業承継だけは、ニュースソースが集まらないと特集化できないので、毎年というわけにはいかないのですが、おかげさまで編集部にも情報が集まりやすい状況になってきて、今回も5つのサロンの事業承継を取材することができました。

ここ数年の事業承継のトピックスの1つといえば、親族外承継が増えてきたことが挙げられます。

愛知県のBUDDY HAIRもその1つ。2022年に創業者の浅田正文氏が代表取締役会長となり、新たに鈴木伸弥氏が代表取締役社長に就任しました。同業の経営者たちと勉強会を重ねてきただけあって、BUDDY HAIRの事業承継は一言で言うなら「王道」。実際に鈴木新社長をサポートする2人の取締役、さらに経営陣と現場をつなぐ4人の執行役員とボトムアップ型の組織改革を時間をかけて行ったことがポイント。こうした新社長1人に負担をかけない組織改革は、以前取材した広島県のクレーデグループの事業承継を想起させます。ちなみに現在のダブル代表体制は3年を期限とし、株式譲渡や社長教育など、事業承継の工程を完遂していく予定とのことです。

続いて紹介するのが、クリエイティブでも名高い京都府のsnob。吉田隆司氏は40歳でJHAグランプリを受賞した生粋のデザイナー。こうしたトップに求心力があるデザインサロンの場合、なかなか事業承継のイメージが湧きづらいものです。ですから昨年、金谷二郎氏が代表取締役社長に就任、吉田氏は取締役会長にという一報を受けたときは正直驚いたのですが、実は20年前から金谷氏を後継者に指名していたとのこと(!!)。記事ではその辺りの背景も取材しているので、ぜひ読んでみてください。

兵庫県明石市に一風変わったな親族外承継をしたサロンがあると聞いたのは、今年2月のこと。事業承継は2018年と5年前になりますが、明石市内で6店舗展開するHAIR POCKETの創業者・西原千代子氏に話を聞くと非常に興味深かったので現地に行ってきました。このサロンの事業承継の大きなポイントは、生え抜きの上村庸介氏を社長に、その実兄である上村紘一氏を外部から招聘して事業承継を行ったこと。つまり親族外の兄弟に事業を譲ったという珍しい形になります。この事業承継自体も興味深いのですが、実際に事業承継後はスタッフ数、年商、店舗数とすべてが伸長しており、「事業承継すると企業は成長する」という定説を見事証明しています。ちなみに創業者の西原氏は代表権は持たず、現在は契約社員として半月だけサロンワークに立つという働き方を選択。この潔さも事業承継を成功させた要因だと感じました。

創業後、2度目の事業承継を行ったのが岐阜県のEAST HAM。同サロンでは2013年に角毅氏が代表取締役社長に就任。創業者である大橋一生会長とのダブル代表体制で邁進してきましたが、次世代の幹部が多く育ってきたこともあり、長年技術教育を担当してきた大橋代表の娘であるKEI氏が代表取締役社長に就任しました。KEI新社長は子育て中ということもあり、現在も時短勤務。頼もしい女性幹部が多い同サロンにとって共感が得られやすい求心型組織をめざしたとのこと。ちなみに前社長の角氏はグループ会社を設立しサロン運営を担当、今後もEAST HAMグループの経営には変わらず携わっています。根幹は変えず、時代に合わせて組織を活性化させるための事業承継のあり方として、参考になるのではないでしょうか。

最後に紹介するのは、愛知県岡崎市のSERIOです。同社にとっては2度目となる親族外事業承継。2003年に2代目社長として代表取締役社長に就任した鶴田秀彦氏が、2004年に入社した春山和広新社長に事業承継した形になります。事業承継するにあたってのポイントは、①売り上げの高いベテランスタッフにはのれん分けの形でキャリアパスを示し、春山新社長が管理しやすい環境にしたこと ②資産管理会社を別途立ち上げ、サロン運営に集中できる環境をつくったこと。最初は自身が承継したときのように、取締役専務を経てからの社長交代を考えていたが、時代の変化のスピードに対応するため承継を前倒ししたという鶴田会長。後継者が成長しやすいように環境整備してから事業承継した点は非常に参考になると思います。

さすがに書いていてお腹いっぱいになってきました(笑)。事業承継はそれだけ重いテーマでもあります。冒頭で書いたように美容室の事業承継は「親族外」という形が増えていますが、その一方でM&Aという選択肢も増えています。解説ページでは美容室のM&A仲介に多く携わるスピカコンサルティングの松栄遥氏にも取材してきたので、そちらもぜひ参考にしてみてください。

以上、現場からでした。

<今月のコンテンツ>
・事業承継は大変革のチャンス
・美容室のM&Aはより身近な存在に(松栄 遥/㈱スピカコンサルティング)
・着実に進める“王道”な事業承継(BUDDY HAIR/愛知県名古屋市)
・技術とデザインがDNA(snob/京都府京都市)
・本当の家族のような奇跡のトライアングル(HAIR POCKET/兵庫県明石市)
・不動のツートップから求心型の成長集団へ(EAST HAM/岐阜県岐阜市)
・2度目の親族外承継でめざす飛躍(SERIO/愛知県岡崎市)


NEXT LEADER 5月号「事業承継」のご購入はこちらから!

定価1,870円(本体価格1,700円)
ボブログ編集部
執筆者
ボブログ編集部

成長し続ける美容師のための髪書房ウェブメディア『ボブログ』。これまでにないスピードで変革する時代に必要な情報【パラダイムシフトの芽】をいち早く見つけ、掘り下げ、新しい常識を提案します。

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