タイパコンテスト受賞サロンが行った3つの意識改革

タイパコンテスト受賞サロンが行った3つの意識改革

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昨年、美容業界にこれまでなかった全く新しい形のコンテスト「タイパコンテスト」がスタートした。

前回のボブログ記事ではタイパコンテストに向けた取り組みを取材したが、本記事ではタイパコンテスト受賞サロンのタイパ施策を探る。

タイパコンテストの概要と受賞者はこちらの動画から↓。

「タイパコンテスト」とは?

「タイパ=タイムパーフォーマンス」コンテストは、サロン・メーカー・ディーラーが一体となって行う新メニュー創造型のコンテスト

主催するのは東海エリアを中心に、全国サロンが加盟する美容協同組合dupa(Isseiクリエイティブディレクター)。

dupaでは、これまで店舗売上や個人の売上を競う「dupaフェスタ」を年2回開催してきたが、2023年より評価軸を「時間生産性」に変更。各メーカーとメニュー開発の習慣をつくることを目的とし、タイパコンテストをdupaの新しい風土の1つにしていきたいと考えている。

サロン・メーカー・ディーラーで1つのチームをつくり、10つのチームを結成。まずはチームごとに「時間生産性が上がるメニュー」を練るところからスタートした。

グランプリはEAST HAMの「白髪ぼかしWカラー」!

受賞したEAST HAM anello店のタイパコンテスト リーダーを務めたのは、店長の上野里美さん。

髪質改善メニューも組み合わせ、ダメージを軽減する「白髪ぼかしWカラー」により、顧客はブリーチに対するイメージが変化。

EAST HAMでは明るい「白髪ぼかしカラー」にチャレンジするお客さまが増加中だという。

受賞サロンのTO DOリスト

ここからはグランプリを受賞したEAST HAMの事例にフォーカスしながら、どのようにタイパコンテストに臨んだのか? どんな成果に結びついたのか?を追いかける。

①新メニューを決める

EAST HAM anello店のチームメンバーはウエラ、きくや美粧堂。3社で1チームとなり、タイパコンテストに挑む。

3社で話し合った結果、anello店のベテランスタイリストが取り組みやすく、大人世代からの需要が増えている「白髪ぼかし」を軸にメニューを展開することに。メニュー名は「白髪ぼかしWカラー」に決定した。

【EAST HAM anello店】

・チームメンバー:EAST HAM anello店×ウエラ×きくや美粧堂


・メニュー名:白髪ぼかしWカラー

→エイジングによるうねりなど髪の悩みを解決し、白髪を感じさせない透明感あるヘアカラー

その他9チームの「新メニュー」は以下の通り。新商品や時短を推進する商品を組み合わせ、自サロンのターゲットに合ったメニューを考案。

サロン メーカー  ディーラー  メニュー名   
シャトー・ドゥ・クープロレアル プロフェッショナルフジシン「明るいグレイイノアカラー」
FLEX LIONミルボンミツイ コーポレーション「w炭酸ケア」
Lantanaミルボンルフト「弱酸性リラクサー」
クンプリールニューウェイジャパンルフト「トリキュアトリートメント」
BOSS COLLECTION b-exミツイコーポレーション「白髪ぼかしハイライト」
AlTIアリミノ菊地「ケミカルリセットツヤカラー」
God Hand’sアリミノ フジシン「リノケアメニュー」
EAST HAM HeadShopホーユーミツイコーポレーション「水光感ジェルカラー」
Amiミルボンミツイコーポレーション「大人の美を叶えるデザインカラー」

②施術時間を把握し、メニュー金額を設定

【EAST HAM anello店】
「白髪ぼかしWカラー」

・メニュー金額:19,500円(カット+脱染+髪質改善オンカラー)
・施術時間:100分
・施術単価:11,700円/1時間


その他9チームの「メニュー金額」は以下の通り。

「明るいグレイイノアカラー」
・メニュー金額:14,300円
・施術単価:7,150円/1時間

 →「イノアカラー」を使用して、白髪があっても明るいカラーを提案

「w炭酸ケア」
・メニュー金額:1,650円
・施術単価:6,600円/1時間

→マッサージスパとホットタオルを活用した炭酸シャンプーと頭皮用トリートメントメニュー

「弱酸性リラクサー」
・メニュー金額:11,000円
・施術単価:7,333円/1時間

→弱酸性「リラクサー」でクセを緩和し、絹のようにやわらかくしなやかな質感に導く

「トリキュアトリートメント」
・メニュー金額:7,150円
・施術単価:21,450円/1時間

→システムトリートメントとホームケアで再来につなげるメニュー

「白髪ぼかしハイライト」
・メニュー金額:16,500円
・施術単価:8,250円/1時間

→白髪がある髪にダメージを最小限に抑えながらハイライトを入れるメニュー

「ケミカルリセットツヤカラー」
・メニュー金額:13,500円
・施術単価:6,750円/1時間

→処理剤の「シェルパ」と、ALTIオリジナルシャンプー&トリートメントを組み合わせ、毛髪栄養成分を補給しながら残留物を除去するツヤカラー

「リノケアメニュー」
・メニュー金額:20,020円
・施術単価:11,010円/1時間

→カラー、ブリーチ、ストレート、カールに処理剤をカスタムするメニュー

「水光感ジェルカラー」
・メニュー金額:33,000円
・施術単価:11,647円/1時間

→ブリーチ後のダメージレス短時間ジェルカラー

「大人の美を叶えるハイブリッドカラー」
・メニュー金額:14,750円
・施術単価:9,833円/1時間

→「クリスタルハイブライト」を使用し、明度・彩度・透明感を高めるカラーメニュー

「客単価」や「施術単価」が高ければ高評価とは限らない。「単価」や「施術時間」だけでなく、「新規集客性」や「再来性」まで各10点評価で審査された。

審査員や審査項目はこちらの記事から。

③メニューのプレゼン動画を制作

それぞれのメニューの強みを解説するプレゼン動画をメーカー担当者と一緒に制作。
EAST HAM anello店のプレゼン動画はプロセスがわかりやすく、AIを用いた音声ガイドのわかりやすさとインパクトが評価された。

④新メニューを顧客にお勧め
(2023年11月〜12月)

タイパコンテスト実施期間として設定された、2023年11月〜12月にかけて、新メニューの「白髪ぼかしWカラー」を徹底的にお勧め。

明るいヘアカラーを求める大人世代の潜在ニーズの掘り起こしと、ブリーチに対するイメージを変える取り組みにもなった。

⑤客単価やタイムパフォーマンスの変化を検証

動画でも発表があったように、2023年11月〜12月の平均客単価は3,129円アップ。

複雑なプロセスは必要なく、これまでのブリーチメニューと施術時間は変わらないため、時間生産性の向上にも貢献した。


受賞サロンの3つの意識改革

1) 新メニューで「客単価」を上げる

タイパコンテストへの取り組みがスタートしてから、EAST HAM anello店の客単価は大きく向上した。

中心メンバーとして取り組んだ上野さんだけでなく、ベテランスタイリストは大人世代向けの白髪ぼかしカラーの提案が増え、客単価が向上。

さらに若手スタイリストにとってはハイトーンカラー世代の新しいメニュー提案にもつながり、店販だけに頼らない技術売上の増加につながった。

2)「新メニュー開発」へのアンテナ

今回、チームリーダーを務めて、上野さんは新メニューの考案が顧客満足につながることを改めて実感。

「お客さまに喜んでいただけて、時間がかからないメニュー」をどう編み出すか? 

これに挑戦していきたいという。

3)スタッフの「時間意識」の改革

EAST HAM allero店 代表 森太志さんは「客単価以上に変化を感じたのは、スタッフの時間に対する意識」だという。

タイパコンテストにチャレンジしたことで、お店全体で施術内容と時間、客単価を意識しながら行動できる習慣がついてきたようだ。

メニュー開発が“タイパUP”の切り札

美容師は現場で最も顧客のニーズをキャッチできる存在。

時代の変化とお客が求める深層心理をキャッチし、「メニュー開発」の習慣をつけることで、「客単価」や「時間生産性」を向上させるアイデアはまだまだ広がっていきそうだ。

dupaでは2024年もタイムパフォーマンスを上げるためのコンテストや企画を予定している。

物価や人件費が上がり続ける今の時代、「時間生産性」に向き合い、美容師の価値を高めるためには、「タイパ」に取り組むしかない。

この信念を貫くdupaに今後も注目だ。

上野里美 / EAST HAM anello店店長
Profile
上野里美

EAST HAM anello店店長

1984年1月27日生まれ。岐阜県出身。愛知美容専門学校卒業後、EAST HAM入社。現在はanello店店長として店舗の売り上げをリードし、技術教育担当としても後輩育成に力を注ぐ。

ボブログ編集部
執筆者
ボブログ編集部

成長し続ける美容師のための髪書房ウェブメディア『ボブログ』。これまでにないスピードで変革する時代に必要な情報【パラダイムシフトの芽】をいち早く見つけ、掘り下げ、新しい常識を提案します。

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