M字の薄毛をカバーする基本【第1回】

M字の薄毛をカバーする基本【第1回】

211

特集:薄毛専門のカット&スタイリング

「最近、薄毛に悩むメンズのお客さまが多いけど、どうやってカバーしながらオシャレヘアにできるの?」とお困りの美容師向け新連載企画がスタート!
薄毛専門サロンRELIVE(リライブ/東京・吉祥寺)の栗田卓弥さんと益満千尋さんによる、薄毛対応のメンズカット技術とスタイリング術を紹介します。
まずは薄毛の型を3つに分けて、型ごとの基本カットテクから確認。
第1回は「M字」をカバーするテクニックです。

Contents

薄毛には大きくわけて3つの型がある

M字、O字、U字の違いとは?

栗田さん

剃り込みが深くなるM字、頭頂部が薄くなるO字、M字とO字が複合したU字の3つがあります。
ウイッグで擬似的に3つの型の薄毛をつくり、カバーするための基本的な考え方を紹介します。

M字の薄毛の例
O字の薄毛の例(第2回にて紹介予定)
U字の薄毛の例(第3回にて紹介予定)

M字の基本カット(ショートスタイル)をマスターしよう

栗田さん

ここからは、M字の薄毛をカバーする基本テクを学びつつ、アップバングにできるスッキリとしたショートスタイルに仕上げていきます。

before

薄毛カバーする髪を分けとる

栗田さん

薄毛をカバーするカットで大切なのは、どんな型でもカバーする髪を分けとっておくことです。
特にウエット時は髪が減って見えるので、厚めに残しましょう。

before
M字のV部分の内側を幅1cm程度残してブロッキング。これがカバーになる。

前髪を切る

栗田さん

毛量が少ない部分は、サイドから前髪として髪を足すイメージです(プロセス1、4)。足した部分の髪は、必要以上に切りすぎないように注意しましょう。

1.さらにM字の山の部分の髪を前髪として分けとる。
2.こめかみの長さでカット。
3.流したい方向に集めてカット。
4.逆サイドも同様に分けとる。
5.同様に切り進める。
6.前髪の切り上がり。

カバー以外を切り進める

栗田さん

トップはカバーとして残す部分です。これ以外は通常のプロセスで髪型をつくっていきます

カバーとして残す
栗田さん

前髪の端からバックセンターまでカットし、ウエイトを設定します。アンダーは刈り上げます。

1.前髪の端をガイドにサイドを切る。
2.そのままバックセンターまで切り進める。
3.ガイドまでつなげて、アンダーを刈り上げる。
4.刈り上がりの状態。

サイドが前上がりになるとM字をカバーできないので注意

OK

OK
平行または前下がりだと、M字がカバーされ、割れづらく、M字が目立たない。

NG

NG
前上がりだとM字をカバーする髪の位置も上がり、M字が強調され、割れやすくなる。

分けとったカバーでトップを切る

栗田さん

カバーとして分けとっておいた髪を使って、トップにレイヤーを入れていきます。M字をカバーする部分や前髪の長さを切らないように、それぞれ引き出すパネルを見極めながら切るのがポイントです

トップポイントからM字へレイヤーでつなげる

トップポイント〜M字の中央

トップポイント〜M字の中央
M字の中央(センターバング)は前髪の長さと同じなので、短い。

トップポイント〜M字の剃り込み

トップポイント〜M字の剃り込み
M字の剃り込み部分はカバーする髪なので、長い。

1.トップポイントにレイヤーのガイドをつくる。M字の中央とつなぐ部分を確認。
2.オンベースにカットし、レイヤーを入れる。
3.トップポイントとM字の剃り込みをつなぐガイドを確認。
4.こちらもオンベースにカットし、レイヤーを入れる。
栗田さん

カバーする髪の長さと、もともとの髪の長さが異なるため、真横に引き出すと長さが違います。通常は長さがそろっていなくて間違いですが、M字をカバーするカットなので、これが正解です。

真横に引き出すと長さがそろっていなくてOK

分けとったカバーでサイドとバックを切る

栗田さん

剃り込みをカバーする前髪部分はもっとも注意が必要です(プロセス4)。これ以上長さを切らずにレイヤーを入れるため、バック方向にダイレクションをかけて長さを残しながらつなげます。

1.サイドをトップとつなげる。
2.トップポイントのガイドとサイドをつなげてカット。
3.ガイドは無視してレイヤーにカット。
4.剃り込みをカバーする前髪は短く切りすぎないようにしてレイヤーにカット。
5.トップポイントとウエイトポイントのガイドを確認。
6.オンベースに引き出して、レイヤーを入れてつなげる。バック。オーバーは同様に放射状に切り進める。

切り上がり(ウエット時/ドライ後)

毛量調整する

栗田さん

セニングで失敗する人が多いです。薄毛対応のセニングテクを習得することはもちろんですが、お客さまにとっては「髪をすく=薄くなる、割れる」とデリケートなところでもあります。ていねいに、慎重にカットしている雰囲気づくりも重要です。

セニングのポイント
・M字の剃り込み部分はとりすぎない
・M字の中央(センターバング)はレイヤーを入れているが毛先をぼかす
・薄毛部分と、それ以外の毛量の差が均等に見えるようにする

1.剃り込み部分の内側は毛先をぼかす程度にセニングを入れる。
2.M字の中央は毛量が多いので、薄い部分との透け具合のバランスを確認しながらセニングを入れる。
3.表面は厚みのあるところを中心に毛量調整する。

セニング後

before & afterを確認!

栗田さん

しっかりと深いM字の薄毛を隠したヘアスタイルに切り上がりました!

before
after

M字の応用編/重めスタイルをマスターしよう

益満さん

ここからは顔周りを長めにした重めスタイルを紹介します。基本的な考え方はショートスタイルと同様です。

before

ウエットカット

ツーセクションラインは平行にとる

OK

OK
基本編でもふれているが、必ず剃り込み外側より下から平行にスライスをとる。

NG

NG
前上がりにとるとM字をカバーできない。
1.剃り込み下から床と平行に上下に分け、アンダーを刈り上げる。
2.耳にかかる程度の長さで切る。
3.サイドは後ろにダイレクションをかけて、顔周りに長さが残るようにレイヤーを入れる。
4.M字のV部分の内側を幅1cm程度残してブロッキング。
5.眉にかかるくらいの長さでチョップカット。
6.右サイドへダイレクションをかけて、レイヤーを入れ、前髪の厚みを調整する。
7.表面の髪をおろし、前髪をガイドにチョップカット。
8.トップを引き出し、レイヤーを入れるが、カバー部分の長さを切らないよう後方にダイレクションをかけて切る。
9.顔周りの表面も同様にカット。
10.バック・アンダーを刈り上げる。
11.サイドをガイドにミドルをカット。
12.バック表面の髪も下とつなげてカット。

切り上がり(ウエット時/ドライ後)

毛量調整する

益満さん

横が張って見えるので、サイドはとり、トップはとりすぎないように毛量調整します。薄毛部分と毛量が多い部分の毛先の質感を合わせるようにセニングを入れましょう。

1.サイドは根元からセニングを入れて、毛先が動くようにすく。
2.長めに残したカバー部分の髪は切らないように後ろにダイレクションをかけてセニング。
3.M字の剃り込み部分は内側の髪は残す。
4.上からかぶさるカバーのみセニングを入れて毛量調整。
5.前髪の中央は毛量があるので、しっかりとる。
6.表面は毛先にセニングを入れる。

セニング後

before & afterを確認!

before
after
益満さん

今回紹介した2つのヘアスタイルのスタイリング方法は連載第4回にて紹介予定です。
お楽しみに!

益満千尋、栗田卓弥 / RELIVE(リライブ)代表/東京・吉祥寺
Profile
益満千尋、栗田卓弥

RELIVE(リライブ)代表/東京・吉祥寺

(左)ますみつちひろ
1988年2月25日生まれ。鹿児島県出身。日本美容専門学校卒業。都内2店舗を経て、2014年、東京・吉祥寺にCOLOオープン。’22年同地に薄毛に悩む男性のための完全個室美容室RELIVEをオープン。

(右)くりたたくや
1987年9月11日生まれ。埼玉県出身。日本美容専門学校卒業。都内1店舗を経て、’22年同地に薄毛に悩む男性のための完全個室美容室RELIVEを益満氏とともにオープン。

RELIVEのwebサイト
https://relive-tokyo.com/

マキピピ
執筆者
マキピピ

ヘアデザインのこと、パーマ、データ分析が得意な全頭ブリーチ族。好きなことは海外旅行。苦手なことは貯金。

Prev

Next