皆さんはその憤り、どうしてます?【美容師の予約とキャンセルあるある】
僕も美容師歴は長く、「突然のキャンセル」には慣れっこ。とはいえドタキャンは疲弊してしまうこともあるし、一喜一憂してしまいやすいものです。今回は、「僕はこうやって心落ち着かせてますよ」という処世術の参考になれば本望、「これって僕だけ?」なお話に、お付き合いください。
「遅刻?」「ドタキャン?」予約時間に来ないお客さまや、必ず遅刻してくるお客さま…。
そもそも「美容室に行く」という予定は、優先順位が低くなりやすいです。「遅刻なのか」「うっかり忘れているのか」、ドギマギして待つこちらの心境は、実は美容師ならではかもしれません。
僕自身も美容師歴は10年以上、様々なスタイルの美容室を経験しているので、「突然のキャンセル」は慣れっこでもあります。「急を要する予定」や「体調不良」は致し方がないとはいえ、ドタキャンは場面によっては疲弊してしまうこともあるし、ネット予約であれば尚のこと。顔の見えない新規客が相手では、一喜一憂してしまいやすいものです。
そんなドタキャンに対しても、熟練の美容師さんの中には、長年の修行でジェダイマスターのように処世術を獲得した方もいらっしゃるでしょうし、イライラを抑え切れないアナキンよろしく、まだまだ若造のパダワン美容師もいることでしょう。
そこで今回は、「僕はこんな考えを巡らせて、心落ち着かせてますよ」という処世術の参考になれば本望、予約やキャンセルに付随した“あるある”として見ていただいても構いませんので、「これって僕だけ?」なお話に、お付き合いください。
◾️キャンセル、遅刻、予約は“あるある”で溢れている
そもそもお客さまにとって「美容室に行く」という予定は、優先順位が低くなりやすいです。特に、ネット予約の場合、その「手軽さ」から、キャンセルが多発してしまう問題を抱える美容室もあります。
ネット予約の運営サイトでは、お客さまが安易にドタキャンしないようにする「無断キャンセル」という制度を敷かれています。無断キャンセルを繰り返すと「利用規約に反する」として、そのアカウントでの予約ができなくなります。
そんなセーフティネットもあるものの、美容師の仕事にはこちらの事情も相まって「お客さまは予約を軽視しているのでは?」と感じるような“あるある”が溢れています。
話し出すと膨らみ過ぎるので、3つに絞ってお話します!
①「遅刻?」「ドタキャン?」予約時間に来ないお客さま
まず困るのは、予約時間にお客さまが「連絡も無く来ない」上に、電話などで「連絡をしても応答がない」場合。
こちらからすると、「遅刻しているのか」「予約の日時を勘違いしているのか」「予約自体をうっかり忘れているのか」、事情がわかりません。すぐに来れるのか、あと15分かかってしまうのか。
そのまま時間が過ぎてしまうと、「次のお客さまの予約時間」に干渉する可能性も高まるため、美容師側はドギマギして待つことになります。
▼人それぞれ「時間に対する価値観」が異なるし、美容師は下手に出てしまうので、負け確定
そもそも、「美容師が時間にシビア」という事情を知らない方も多いはずです。
美容師の時間の感覚は、同じような「予約や時間に縛られる接客業」を経験している方でないと、理解されないかもしれません。というのも、美容師にとっての「仕事の15分」はシビアですが、必ずしも異業種の方にその価値観は通用しないからです。
例えば僕も副業をしている関係で、異業種の方とzoomをする機会があります。すると、5〜10分しても全員が集まらない、なんて事が度々あります。僕は開始時間より早く待ち構えているのですが、「美容師の常識」と、その方々の「仕事の時間」に対する常識が異なるのです。
なにより美容師は、遅れて来たお客さまに対しても「全然、大丈夫ですよ〜 (笑)」と反射的にウェルカムで迎えてしまうでしょうから、下手に出てしまった時点で負け確定なのです。
イライラしてても条件反射で笑顔になってしまう、そんな貴方は、正に美容師の鏡ですね!
②必ず遅刻してくるお客さまっていますよね…
こちらも遅刻あるある、予約時間に必ず遅刻してくるお客さま。例えば、予定時間に毎度きっちり15分遅れてくる方もいて、あまりの正確さに「わざとなのかな?」と勘繰ってしまうこともあります。
とはいえ、これも同様。お客さまにとっては「プライベートの15分」なので、時間の価値観によるものと捉える方が良いでしょう。
たとえ、道すがらテイクアウトしたであろうスタバのカップを持って来店しても、「いや、その時間はあったんかい」なんてツッコミは言えないのです。
▼早過ぎるご来店に困るのは、美容師ならでは?
反対に、めちゃめちゃ早く来てしまったお客さまにも、困ることがあります。
お客さま的には「早く来ちゃったから、待ってますよ〜♪」という好意的なスタンスなのですが、美容師としては「待ち合いに長く座っている人」に対して敏感に反応してしまう。待ち合いに座ってるお客さまが視界に入ると、ホントは時間通りにやればいいだけなのに、「待たせたくない気持ち」が先走る、なんてことになりやすいです。
また、朝一の予約の方が営業開始より早く来ちゃうパターンも、焦りやすい。
営業前にお客さまが来ると、まだメイクもヘアも仕上がっていないOFFモードのスタッフ達は、ゾロゾロとバックルームに避難。営業前の掃除を見られるのも忍びない感じがするし、そもそも待ち合いに座ってもらうと待ち合いを掃除できない、なんて事にもなります。
③予約の電話対応って、ほんと大変。
思えば、電話対応はとっても大変な作業でした。
ネット予約が主流になり電話予約は激減しましたが、レセプション担当が居ない美容室であれば、当然、電話に出る場面も増えます。
ブリーチやストレートの一剤を塗ってようが、急ぎのお客さまの施術中だろうが、作業を止めて電話に出る。スマートに予約が完了すればいいものの、常連のお客さまが世間話を始めちゃったり、長引くと大変。薬の放置時間にヒヤヒヤしてしまうのが日常でした。
それ以外にも、電話の向こうがガヤガヤして聞こえなかったり、相手の声が小さすぎて聞こえない、滑舌が悪くて聞き取れない、なんて事は当たり前。
外国の方でカタコトだったり、難しいお名前は聞き取るのが大変で、何度も「もう一度おっしゃってください」「お電話が遠いようですが…」とか連発できないし、とにかく聞き取れないのだ!
▼お客さまとSNSで繋がるメリットが、大きすぎる
近年、お客さまとはSNSでのやり取りも増えました。SNSならチャットでのやり取りが中心で、「◯月×日◾️曜日、△時で承りました」という文面が履歴として残るので、電話予約から比べると大き過ぎるメリットです。その上、たとえ予約に間違いがあっても、「どちらが間違えたのか」が明確なのです。
口頭だと、必ず予約時間を間違えるお客さまがいるし、履歴が残ってないから、実際こっちがミスしているかもしれない。トラブルは避けたいし、「来ちゃったから受け入れるしかない」となりやすい。
もちろん、チャットのやり取りはすぐに対応できなかったり、休みの日でもスマホを確認しながら対応する必要がありますが、特にフリーランス美容師が個人で予約を管理している場合は、最強です。
▼若い世代は、そもそも電話に慣れてない
若い世代は、電話口での会話が苦手な方も多いようで、明らかに慣れてない感じに聞こえることもあります。日常的なやり取りはLINEなどのチャットが主体な上、親族や友達以外の人と電話で会話することもないのだから、当然ですよね。
それもあって、若手美容師への電話対応の指導も、以前より苦戦するようになりましたね。AIを駆使して、電話口での「言い間違い」も「声のトーン」も、自動変換してくれるようにならないかな?
◾️皆さんはその憤り、どうしてます?
やっぱり愚痴大会みたいになってしまいました。僕もまだまだパダワン、悪意は無いのでご勘弁ください。
とはいえ、こんな形で内輪の笑い話になれば良いものの、皆さんはその憤り、どうしてますか?
今回のまとめ
●「美容師の時間の常識」は、一般常識じゃないかも?
●電話対応は、今でもとっても大変
●美容師の“お客さまあるある”は尽きない…
- 執筆者
- 操作 イトウ
東京都二子玉川を拠点にする30代美容師。 『ヘアスタイルはロジックで美しく、カッコよくなる』『ステキな美容師さんに出会ってほしい』をメインテーマにしたブログをnoteにて執筆。2020年から文春オンラインでの連載を開始、CREA等のwebメディアで定期掲載。
- Twitter : @itohcontroller
- Instagram : @itohcontroller
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