【皮膚科医が解説】美容師だけど手荒れさせない!原因と予防法を解説します。

【皮膚科医が解説】美容師だけど手荒れさせない!原因と予防法を解説します。

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美容師の職業病とも言える「手荒れ」。手荒れが原因で辞める人もいるほど、深刻な悩みの1つです。この記事では皮膚科医の取材・監修のもと、美容師の手荒れを正しく対策と予防する方法を解説します。

Contents

教えてくれる皮膚科医

松山友彦(まつやま・ともひこ) / 皮膚科医
Profile
松山友彦(まつやま・ともひこ)

皮膚科医

東京都中野区の松山皮膚科の院長。

松山皮膚科HP
https://www.tcda.jp/matsuyama-derm-clinic/

美容師の手荒れの原因

─── 美容師の手荒れの原因は何ですか?

松山先生

そもそも手荒れにはアレルギーと非アレルギーの2つがあります。

アレルギーは、その人のアレルギー体質によるもので、アレルゲンが手に触れて起こる場合です。

非アレルギーは、アレルギーが原因ではなく、手が乾燥したり、刺激のある液体に触れることで手荒れします。

また、掻いたり、こすったりして悪化するので、プラスアルファの要因が必ずあります

─── では、美容師の手荒れは、シャンプーやドライヤーが大きな原因でしょうか?

松山先生

そうですね。
長い間手を水につけているとふやけますよね。
これは角質がふやけている状態です。そうすると透過性が良すぎる状態になって、外からの刺激を受けやすくなります。それで手が荒れてしまうんです。

その他、パーマ剤やカラー剤などの薬剤に含まれる酸やアルカリは手に対して負荷になります。

【美容師の手荒れの主な原因】

・シャンプーによる角質のふやけ
・ドライヤーによる乾燥
・パーマ剤やカラー剤が直接手に触れる     
      ↓
さらに掻いたり、こすったりして悪化

手荒れの症状はどんなものがある?

─── 手荒れの症状はどんなものがありますか?初期症状から教えてください。

松山先生

初期症状は乾燥です。
家事で水仕事の多い主婦に発症しやすい主婦湿疹も最初は手の乾燥から始まります。
乾燥して無防備になっている皮膚に外からの刺激が作用して、炎症を引き起こします

炎症は、湿疹(しっしん)で始まります
湿疹のタイプは、カサカサ、赤み、小さなぶつぶつなどさまざま。かゆみや痛痒さがあります。

次に、漿液性丘疹(しょうえきせいきゅうしん)という、水ぶくれが始まります。
結果として、皮膚が厚く硬くなる角化の状態になり、ひび割れて、重度の手荒れにつながります。

─── 乾燥を感じるのは手荒れの初期症状なんですね!

松山先生

そう。乾燥を感じた段階で、ハンドクリームを適切に使うことは予防としてとても大事です。
悪化する前に、まずはケアして防ぎましょう。

【手荒れの症状の流れ】

初期症状:手の乾燥を感じる

湿疹などの炎症が起こる

水ぶくれになる

重症:角化、ひび割れする

手荒れしやすい人はどんな人?

─── 同じ作業をしていても、手荒れになる人とならない人がいます。手荒れしやすい人はどんな人でしょうか?

松山先生

まずは、仕事の量が多い人ほど手荒れになりやすいです。美容師の場合だと、アシスタント時代にすることが多いシャンプー、ドライヤー、薬剤に触れる作業などですね。

また、アトピー体質、アトピー体質で子どもの頃に湿疹があった人、花粉症、喘息の人は湿疹ができやすい傾向にあります。

手のひらにたくさん汗をかいてしっとりとした人は手荒れしづらいようです。皮膚が乾燥しにくいため、手荒れを起こしづらい。
ただ、手汗が原因の湿疹はできやすいですね。

【手荒れしやすい人の傾向】
・シャンプー、ドライヤーなどをたくさんこなす、仕事量の多い人
・アトピー体質、花粉症、喘息持ちの人

【手荒れしづらい人の傾向】
・手汗をたくさんかく人

手荒れの対策方法について

─── 手荒れの日常のケアは何がありますか?

松山先生

日常のケアは、乾燥から守ること。
清潔を保ち、洗いすぎない、ハンドクリームで適度な保湿をしましょう

─── 手袋も有効ですか?

松山先生

手袋にはゴム製、ビニール製、コットン製などありますが、長時間の装着はよくありません
直接刺激のあるものに触れなくなるメリットはありますが、手のひらが手袋の中で蒸れて、角質がふやて、透過性よくなり、刺激を受けやすい状態になります
汗によるかぶれも引き起こします。
使用する場合は、適度に手を出すようにしましょう。

また、コットン製の手袋でも、ずっと同じものを使い続けていると汚れますね。
汚れは湿疹を増悪させるので、よくありません。
清潔な手袋を使うようにしましょう。

─── 食べ物でオススメのものはありますか?

松山先生

食べたほうがよいもの・ダメなものは原則ありませんが、過度に辛い、刺激物は避けたほうがよいですね。
かゆみを引き起こすことがあるからです。
また、アレルギーがあるものは避けましょう。

【手荒れ対策】
・ハンドクリームで適度な保湿をする。
・手袋を使う。長時間の着用は避ける。清潔を保つ。
・辛い食べ物は避ける。

皮膚科を受診するタイミングはいつがいい?

─── 手荒れになったら、どのタイミングで皮膚科を受診すればよいですか?

松山先生

セルフケアに行き詰まって、それでもよくならない、またはさらに悪くなったときは皮膚科を受診しましょう。

─── 皮膚科ではどんな治療をしたり、薬を処方しますか?

松山先生

まずは塗り薬や、ハンドクリームですね。
ペパリン類似物質か尿素を含んだ保湿を目的としたものです。

炎症がひどい場合は、ステロイドを処方します。

かゆみがひどい場合は、内服薬でかゆみ止めを併用しますね。

【皮膚科へ行く】
・受診のタイミングは、セルフケアでは対処できなくなったとき
・塗り薬、内服薬など症状に合わせて処方される

全く手荒れしない人でも予防は必要?

─── 現在、手荒れをしていない人でも、手袋などで予防は必要ですか?

松山先生

一般的に「手袋が必要」とされる作業をするとき、酸やアルカリなどの刺激物に触れるとき、パーマやヘアカラーを施術するときは手袋をすべきです。

最近はシャンプーをするときに手袋をして嫌がる人も少ないですし、手に傷があったら手袋をしたほうがいい。手袋をしてよい環境は昔に比べてそろってきていると思います。

─── 松山先生、最後に一言お願いします!

松山sんせい

手荒れに悩んでいるのはあなただけではありません。
それぞれの体質があるから、諦めることはない。
僕はそのお手伝いをしたいと思っています。
一度志した仕事だから、手荒れで諦めないで!

マキピピ
執筆者
マキピピ

ヘアデザインのこと、パーマ、データ分析が得意な全頭ブリーチ族。好きなことは海外旅行。苦手なことは貯金。

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