JBCA 新理事長は新潟の板倉雄三氏

サロンがめざす真のホスピタリティを実現する存在・ビューティ・コーディネーター(以下BC)の育成をはじめ、美容サロンの価値づくりを追求するNPO法人 日本ビューティ・コーディネーター協会(谷口誠治理事長/略称JBCA)では、9月4日に大阪府大阪市のホテル日航大阪で「ビューティコンベンション」を開催。JBCA会員、加盟ディーラー・メーカーら150名が集まった。


冒頭、谷口理事長は
「JBCAはBC育成を掲げて12年前に小林治名誉理事と共に立ち上げた。設立当初、加盟サロンは130サロンを数え順調な船出だった。
しかしながら、会を運営していくうち辞めていくサロンもあり、私たちが掲げる理念実現の難しさも痛感した。
そこでBC育成だけでなく、もっとサロンのお役に立つことはないか?と思案していた矢先、コロナ禍に見舞われ活動を縮小せざるをえなくなった。
そんな苦境にあっても近年は『物販(店販)』に活路を見出し、JBCA全体で3億円のカタログ売上をつくるなど会は進化してきた。
これからもJBCAだから業界へ提案できる施策がたくさんあるのではないかと感じている」と挨拶した。

谷口氏は第2代と第4代の理事長を務めた

イベントは3部構成で行われた。

第1部「BCの今とこれから」

第1部は「BCの今とこれから」と題し、羽野千晶氏(ボリスビアン/福井県)と宮武利恵氏(エイジ/広島県)がパネリストで登壇。

羽野氏は「顧客定着化とファン化のための取り組み」として、スタッフが生涯ボリスビアンで働いていける縦軸=キャリアプランづくりとアイラッシュやエステ、インナービューティなど健康美容食育サポートといった横軸展開の両面からのアプローチが大事と語った。

宮武氏は「BEAUTY×HEALTH~ウェルビーイング実現のために~」として、外見美に加え内面美、さらにはホリスティックビューティの実現を志向。そのためにもスタッフの健康増進や体質改善にチャレンジし、一方でBCがお客へ寄り添い悩みを把握して、包括的なキレイをアドバイスできる存在になりたいと述べた。

写真左から羽野氏、中尾恭士社長(以上ボリスビアン)、宮武氏、三戸栄社長(以上エイジ)

第2部「店販解体新書」

第2部のテーマは「店販解体新書」。店販売上伸長に成功しているサロンの実例として木本晃央氏(ハピネス/奈良県)と木立亜美氏(プラス・アルトラ/宮城県)の両名が講師を務めた。

木本氏は2021年からスタートした同社のカタログ物販サービスに言及。昨年11月~12月には同社の店販売上6788万円のうち、実に84%にあたる5706万円がカタログ売上だったと発表。誌面とウェブカタログの準備、制作、展開方法の詳細を明かした。

木立氏は昨年春夏・秋冬、今年春夏にわたる3季分の同社オリジナル店販カタログとJBCA店販カタログの売上推移を報告。とりわけ初回売上を2回目に倍増させた行動特性は「①商品の事前講習②顧客情報を朝礼で共有③商品受け渡しの管理④顧客一人ひとりに即したメッセージの記入⑤推奨商品の体験アプローチ」と裏付けた。

木立氏(写真左)と木本氏(同右)の実例紹介に会場の耳目が集まった

第3部「JBCAが掲げるビューティファイ」

第3部は今秋からJBCAが標榜する新ブランドプロミス「ビューティファイ」に関して解説と基調講演が行われた。

まず、板倉雄三副理事長(ITAKURA/新潟県)がビューティファイおよび1stプロミス、2ndプロミスについて説明した。

それによると「JBCAはビューティ・コーディネーター育成団体というイメージがある。たしかにBCは大事な存在だけれども、JBCAの価値提供はそれだけにとどまらない。そもそも、ビューティをコーディネートすることはサロン経営者も美容師もみんな意識している。それができているサロンほど永く繁栄していくのが必然だと思う。そこで、この概念を言語化した。『ビューティファイ』。豊かなビューティライフの実現=ビューティファイするためにJBCAは活動していきたい」と力強く宣言した。

これに伴い、1stプロミス、2ndプロミスを作成(以下は一部抜粋)。
なお、3rdプロミスは12月21日に行われる総会で発表予定とのこと。

●1stプロミス=360×365 Salon for Your Beauty
私たちはサロンの力を信じている。
サロンはもっと楽しく、もっとアクティブになれる。
サロンはもともとキレイにときめく場所なんだ。
だから、サロンの当たり前を見つめ直し、磨き、高めよう。
フロアは360°全方位でキレイをかなえるためのライブ空間になる。
お客さまの状態をいつも想い、日頃からやりとりを重ねる。
一緒に感じ、考え、見極める。
そして、枠にとらわれない最適なアイデアで365日のキレイを実現する。
そう、サロンの未来は希望に満ちあふれている。
人をつくる 仕組みをつくる ビューティ・サロンが躍動するJBCA。


●2ndプロミス=ビューティ・コーディネーターが‟TEAM YOU”でキレイをアップデートしていく
輝く人にはチームが必要だ。
キレイのチームをマネジメントするのは、私たちビューティ・コーディネーター。
お客さまにコンシェルジュのように寄り添い、
カウンセラーのように想いや悩みを分かち、
プランナーとしてときめく提案をし、
コミュニケーターとして日々に向き合い、
サポーターとして素敵な笑顔をつくる。
そして、チームメイトでお客さまのキレイを運ぶ。
個の技術のエキスパートだけではない。
チームでキレイのプロジェクトを成し遂げる。
これがサロンのネクストステップだ。


その後、ビューティファイを先行している事例紹介としてサロン経営者3名が講演した。

石田吉信氏(Lond/東京都)は「美容師とSDGs」を熱弁した。ジェンダー平等や再生可能エネルギーといった世界共通の課題を挙げ「どの社会問題も無関心でいられても無関係でいられる人はいない。知らなかった、と後悔しないように。回りまわって、自分の大切な人を悲しませないように……」と説いた。

藤崎裕氏(ジュノ/鹿児島県)は同社が九州トップシェアになった理由を明示。スタッフに課しているルールとして「お客さまへ名刺を渡さない、店販は強引に売らない、次回予約を取らない、DMをつくらない、VIP客をつくらない」といった同社独自の‟サービス”について目的と成果を語った。

潮海達矢氏(shiomiH/兵庫県)は「SNSに頼らないOne Team 最高売上のつくり方」をレクチャー。予約の取り方、店販、メニューセレクト、売上管理、フロアオペレーションなど月間個人売上1400万円を達成した仕組みとノウハウを惜しみなく公開した。

新執行部を発表

また、全講演終了後は懇親会を実施。その席上で、次期執行部および新理事メンバーの発表が行われ、
5代目となる理事長に板倉雄三氏(ITAKURA)が就任した。
前理事長の谷口氏は名誉理事に就いた。
その他のメンバーは以下のとおり。
JBCAは9月17日より新たな体制で業界活性化へ臨んでいる。

【理事長】
板倉雄三(ITAKURA/新潟県)※新任

【副理事長】
七種 丈(サラ/福岡県)※新任
白井崇義(ルプラボウ/愛知県)

【理事】
石井博之(ヘアータイム/大阪府)
遠藤瑞穂(リアライズ/宮城県)※新任
金子利彦(SORA/東京都)
菊地勝也(プラス・アルトラ/宮城県)
平川 匠(PRECIOUS・BEAUTY/愛知県)※新任
中野訓延(アパカバール/大阪府)
三戸 栄(エイジ/広島県)
山本公生(HANABUSA/石川県)

【会計】
中野訓延(アパカバール/大阪府)

【監事】
谷 和雄(ケイアートファクトリー)

【名誉理事】
小林 治(サラ/福岡県)
谷口誠治(ハピネス/奈良県)※新任

懇親会の席上、板倉氏(写真前列右)へ理事長交代を発表する谷口前理事長(同左)

JBCA第5代理事長に就いた板倉氏