「韓国パーマ」と「現場力」をテーマに日韓交流

ウッディチキン静岡支部セミナーが7月5〜6日の2日間、韓国から美容師14名を招きフリーエース美容学校(静岡県藤枝市)で「韓国BOBクラブ静岡研修」を行った。

ウッディチキンは、「自己を高め、人格向上を目指す」ことを目的に日本全国に広がるネットワーク。近年では世界にも目を向け「韓国BOBクラブ」(髪書房Korea)との交流や、フィリピンの貧困層の子どもたちを美容師の道により自立を促すための支援を行っている。

「韓国BOBクラブ静岡研修」初日は、看護師・助産師としてフィリピンでボランティア活動を続ける冨田江里子氏が「2023フィリピンの現状」を報告。貧困層の子どもたちの医療の現実を語った。

続く、and A 代表取締役の山内淳氏による講演テーマは「複合化サロンに至るまで」。2023年5月に韓国・ソウルで講演した内容を補足しながら、現在の規模に至るまでの過程と現在の事業報告を行った。

Hugge 代表取締役 浜子武史氏は「価値メニューによる客層客質の変化」について講演。「こだわりメニュー」の開発と業績アップの秘訣、さらにメニュー化を進化させる努力が、コロナ禍でも客層・客質のランクを上げることにつながったと解説した。


夜の日韓交流パーティはand Aの美容の複合施設B-WORLDの併設レストランで行われ、自由闊達な雰囲気の中、言葉の壁を全く感じない日韓美容師のコミュニケーションが活発に行われていた。



2日目は韓国のハイパフォーマー美容師4人による「パーマセミナー」を開催。THE DREAMからチョ・ヘリン氏とソヒ氏、LE VIVANTからはチャン・ジニ氏とミン・ヘリム氏がそれぞれ男性のダウンパーマと女性のアドパーマを披露した。

モデルはフリーエース美容学校の生徒4名。受講した学生約200名とウッディチキンの美容師は韓国パーマの技術を習得しようと熱心にメモを取る姿が目立った。

日本でも増加中! メンズのダウンパーマ

THE DREAM チョ・ヘリン氏はダウンパーマを披露。
アンダーセクションに根元からしっかりボリューム押さえるようにパーマ液を塗布し、反対に前髪はボリュームを出した。



ミルボンKoreaのコンテストでグランプリを受賞したLE VIVANT チャン・ジニ氏もダウンパーマを披露。
オーバーセクションとアンダーセクションをつなげるように塗布することがポイントだと言う。

トップにボリューム、サイドはスリークに。

LE VIVANTミン・ヘリム氏は、毛先だけが軽いタッセルカットを行ったあと、根元をふんわりさせるアドパーマをオン。
トップにボリュームを出し、サイドはスリークに仕上げた。
ベテラン美容師のTHE DREAM ソヒ氏はロングヘアのモデルを素早くスライドカット。
根元にアドパーマをかけ、根元だけにボリュームがありハチのボリュームを押さえた小顔パーマを完成させた。

and A 山内さんに何でも質問! 日韓ミーティング

午後は韓国の美容師さんがand A、Huggeの各サロンに分かれて体験留学を行った。また、韓国美容師がand A 山内氏にトータルビューティ事業やドライヘッドスパ事業などについて質問する「質疑応答会」も開催された。


【韓国の美容師さんからの主な質問】

Q 日本は店販率が高いですが、店販のための教育はどのように行っていますか?

山内:「サマーフェアやウィンターフェアなど、季節にあわせて店販のプロジェクトチームをつくり、商品選びや勉強会を毎週のように行っています。その結果、and A会社全体の店販比率は約30%まで上がりました。

サロンで仕上げたスタイルだけでなく、ご自宅に帰ってからお客さまが再現できるスタイルであることまで美容師は責任を持つべきですよね。リピート率の高いスタイリストは共通して店販比率も高く、『店販率が高い=信用度』だと思います」

Q レストラン事業など幅広く事業展開をしていますが、特に注力しているのはどの分野ですか?

山内:「僕は元々は理容からスタートしていて、29年前に僕と2人のアルバイトスタッフと3人で13坪からスタートしたのがand Aのはじまりでした。美容室も展開し、髪だけじゃなく、フェイスエステやスキンケアの提案を行い、スタッフの食生活を整え、食事兼ブライダルを展開できる空間もつくりました。

さまざまな事業展開をしていく上で、上手くいくこともいかないことももちろんあって。でも、上手くいかないときこそ学びがあり、出会いがある。そして事業を成功させたいという強い想いがあるからここまでやってこられたのだと思います。

さまざまな異業種の方々とのコラボレーションも行っていますが、and Aの柱はあくまで美容室です。その強みを活かし、最近ではドライヘッドスパのスクールも始めました。ドライヘッドスパは美容免許がなくても施術が可能なため、30代後半〜40代の子育てが落ち着いて手に職をつけたいと考えている女性たちを中心に受講者が増えていますね」


2日に渡る日韓交流は韓国から日本へ「韓国パーマ」レクチャー、日本から韓国へトータルビューティサロンの「現場力」を伝授した、情報交換の場となった。ウッディチキンではこれからも韓国BOBクラブとの交流を含め、互いの文化や情報を共有していく考えだ。