
美容室チェーンのアルテジェネシスが理容事業に参入し、関西の老舗「グランド理美容」から理容部門を譲り受けた。グループ会社であるニューヨーク・ニューヨークが昨年12月21日付で事業譲受契約を締結し、「グランド(GRAND)」ブランドの宝塚南口店、学園都市店、ラクザ大阪店、京都店の4店舗をグループに統合した。これに伴い、「エーゲの海 京都店」を「グランド 西院店」へとリブランディング。今年3月に移転・リニューアルオープンした。
アルテジェネシスは現在、約350店舗の美容室を展開する。フリーランス美容師の増加や、特化型サロンの台頭など業界の多様化が進む中、同社は「全方位戦略」を掲げ、まつげ・眉毛サロンなども手がけながら、美容師が生涯働ける環境を整えてきた。今回の理容事業参入もその一環として、クラシカルメンズ市場の成長可能性に着目した。
理容市場は縮小傾向にあるものの、大手チェーンの参入が少なく、安定した需要が見込める分野だ。特に近年は、若年層のメンズグルーミング需要が拡大し、シニア層にも美容意識が浸透しつつある。アルテジェネシスでは、こうした動向を踏まえ、理容事業の成長を見据えている。
また、同社はダブルライセンスの推進にも注力する。グループ内の美容師が理容師免許を取得できる仕組みを整備し、キャリアの選択肢を広げることで、長期的に働ける環境を提供する考えだ。デザインサロンに加え、メンテナンス特化型の理容事業を拡充することで、美容師のライフスタイルの変化に対応できる仕組みを構築する。
「グランド」は1947年に創業し、大阪・京都・神戸で展開してきた理容・美容室の老舗だ。今回譲受した4店舗については、順次リブランディングを実施し、人材・プロダクト・資金面での投資を強化する。GRANDブランドの価値を再構築し、クラシカルメンズ市場でのポジションを確立する方針だ。