株式会社髪書房（中尾信一社長）は２月29日、１月22日に発売したGOALD 執行役員　米田星慧氏の新刊『なぜお客さまはあなたを選ぶのか？』（髪書房刊）の出版記念セミナーを東京・表参道のガモウ青山スタジオで開催した。

本書の読者52名が一堂に会し、オンラインでの参加も合わせると受講者は約100名。

冒頭で、版元である髪書房　代表取締役社長　中尾信一は「この本は、未来を切り開く。後世に残すための本として出版した」と挨拶した。

米田氏は同書の制作にあたり全８回のマーケティングセミナーを開催。応募により参加した日本初の「美容師マーケター」や本セミナー受講者に感謝の意を表し、「この本と同じことをすれば必ず成功する」と自信を持って宣言した。

「コンセプト」と「Who」の設計

前半は米田氏が代表を務める美容師マーケティングチーム「freru.」のメンバーである矢田友里香氏（Inity／大阪府）が登壇。本書を引用しながら、「コンセプト」と「Who」の設計方法を解説した。

・お客さまは何を買いに来ているか？　
「Who」から考え、コンセプト（消費者に向けた約束／ブランドを貫く信念）を導く

矢田氏が教育係統括を務めるInityでは、本書のマーケティングの考え方を取り入れ、ホットペッパービューティーの新規流入数が前年比41％UP、新規の単価が2,000円UPしたという。

さらに、矢田氏の「心理学と行動科学から見るリピート率」の考え方をシェアし、期待値と感動値の関係や心理的不快感を取り除くカウンセリング法をレクチャーした。

米田星慧氏『なぜお客さまはあなたを選ぶのか？』セミナー

後半は米田氏が著書の『なぜお客さまはあなたを選ぶのか？』を用いたマーケティングセミナー。

幹部と現場スタッフの役割を理解した「組織づくり」や「３つのベネフィット」を飲食店や衣類など身近なテーマでわかりやすく解説した。

３つのベネフィット
１）機能的ベネフィット・・・商品やサービスから得る実質的な価値
２）情緒的ベネフィット・・・機能の先にある、自分に起こる感動体験
３）自己表現ベネフィット・・・商品やサービスを利用したことで、なりたい自分になれていると感じる瞬間

３つのベネフィットが顧客に届いたあと、体感したベネフィットを継続するための「アクションチェンジ」が発生しているか最も大切だという。

※アクションチェンジ（AC）＝体感したベネフィットを継続したいが故に、日常の行動が変わること。

米田氏が考える「コンセプト」とは

コンセプトを設計する上で欠かせないのは「技術」「ショップ」「価格」「接客」「WEB」「商品」すべてが体感できるコンセプトになっているか。

選ばれるためには、「エクイティベネフィット※」と「RTB（根拠）」を掛け合わせること。正確なRTBから生まれる効果が継続的なベネフィットの体感と混ざり合うことで初めて「ブランディング」になるという。

消費者の悩みを分解し、消費者のなりたい姿を叶えるからこそ「ブランディング」が成り立つのだ。

※エクイティベネフィット・・・ブランドや商品の使用を通して、消費者の人生をどのような未来に導いていくのかという価値のこと。

米田氏はセミナー中、「How（やり方）」より、「What（何を）」の精度を上げることが大切だと何度も言及。

SNS投稿のアルゴリズムを伝えつつも、手法だけに走りすぎない「Who」や「What」の必要性を語った。

ラストは米田氏セミナーお決まりの名言集。

「準備、調査にやりすぎはない」

「意味のある質問を考えぬけ。」

「180度変わる、当たり前を受け入れろ。」

「今持つ個性を捨て、“お客さま思考”を自分の個性に」

「尽くすことが、すべて」

熱いメッセージとマーケティングを通して“尽くす”美容師たちへエールを送り、出版セミナーは幕を閉じた。