美容師として、技術だけでなく「どう考えるか」を問い直してきた〈hodos〉(ホドス)の山下純平さん。練習や営業に追われる毎日では、立ち止まって考える余裕はなかなかない。だからこそ問いに向き合うことが、美容師にとって欠かせない、と山下さんは語る。
サロンワークや生き方を見直すヒントを綴る連載「hodosという思想」第2回のテーマは”言葉”。
こんにちは、hodos山下です。前回のコラムが想像以上に反響をいただき、業界外の方からも嬉しい言葉をいただきました。本当にありがとうございます。今回も自分の方向性に悩んでいる方、美容師としてもっと成長していきたい方に、自分の思考法がヒントになれば幸いです。2025年のうちから、静かに動き始めましょう。人は変われます!

前回の振り返り
今の時代は学ぶべきことが多すぎます。SNS、マーケティング、マネジメント、マネーリテラシー、接客、技術、トレンド…。とにかく時間が足りず、焦るばかり。そんな時こそスマホを置き、自分の“今”に集中する時間を作ってみよう。
hodos思想=自分への問い。哲学を持ち、言葉を学ぶ。
やってみて欲しいことは2つ。
・自分の哲学を探す。「問い」を立ててみる。
・言葉を変える。言葉を大切にする。
考え方を変えると言葉が変わり、言葉が変わると行動が変わる。行動が変われば人生が変わってきます。


「自分の頭と対話する」=哲学を持つ。
「思考を変える」=考え方を整理する。
「言葉を学ぶ・変える」=自己表現が始まる。
自分がどう生きたいか、どう在りたいか。それを考えるのが哲学。

人それぞれに哲学があり思考も違います。山の登り方は違っても、目指す方向が同じなら刺激し合える仲間になれる。その仲間をつくるためには言葉が必要です。全スタッフでリスペクト(尊重)し合える言葉が重要。
美容師として良い流れを作るには「運動量と発信力=自己表現」が必要と伝えています。自己表現の一部として言葉を人に届きやすい形へ変えていくことで、自分の姿や思考が相手により明確に伝わり、意思のこもった言葉に変わっていきます。
言葉を変えると?
自分にかける言葉 → 自分の感情を認識するための道具
相手にかける言葉 → 想いを伝え、相手の気持ちを動かす道具
私は20代後半で店長を任され、自分の未熟な言葉選びで教育の場面で人を傷つけてしまった経験がありました。同時に、店長としてまだまだ実績がない中でも「朝礼で良いことを言いたい!」という下心から勉強を始めました(笑)それが結果的に「言葉」の大切さに気づくきっかけになったんです。
たくさん本を読む中で、自分の心が動いて行動に移したくなったり、人に共有したくなる言葉があればすぐに使ってきました。人の言葉を自分で使ってみると、10個に1つくらいは自分にも似合う言葉に出会えます。行動と結びつくまでは時間がかかりますが、「一緒にやろう!」と励ます言葉を選んできました。


自分にかける言葉として、「認める」「許す」「受け入れる」ような言葉を用意していなかったことで、ストレスで動けなくなることがありました。
良い言葉、悪い言葉
プラスの言葉
前向き・肯定的・協調的。感謝や謙虚さが込められていて、優しさがある。
マイナスの言葉
否定的・攻撃的・自己中心的。妬みや怒りが含まれ、人を遠ざけてしまう。

どちらの言葉を日常的に使っているかで、自分の在り方は大きく変わります。思考を変えるのと同時に、小さくても良いので使う言葉を変えていくこと。普段使っている悪い言葉を減らして、良い言葉に置き換えていけると自分も相手も機嫌がよくなり、流れが良くなる。
どんな言葉が、あなたの中に残っていますか?
頭に残っているのは、良い言葉でしょうか。悪い言葉でしょうか。誰の言葉でしょうか。もしかすると、それは「覚えなくてもよかった言葉」かもしれません。頭に残っている言葉が、今の自分をつくっています。

私の印象に残っている言葉は、実際は良い言葉4割、悪い(刺さる)言葉6割な印象です(笑)。だからこそ、自分が使う言葉や周りにかける言葉は「良い言葉」が印象に残るように気をつけています。もちろん、自分にも最近はそうした言葉をかけられるようになりました。

「自分が満たされてると、与えることもしやすくなる」
自分を機嫌良くする言葉をかけていく。「良く頑張った」「いいね」「わかるよその気持ち。怒ってるんだね」「しょうがない!」などは私もよく自分に声をかけています。自分で自分の気持ちを理解するために言葉をかける。
怒りや悲しみを受け入れ、少しずつ言葉を変えてみる。まずは自分への実験から始めてみてください。

言葉は、本や動画からインプットできます。インプットしたら、少しずつ自分の言葉としてアウトプットしてみましょう。
自分の例
「反省してないからまた起こるんだよ」▶︎「悩んでもしょうがないから次は頑張ろう!今」
「どうせ微妙だろうな」▶︎「やらない選択肢もありだな!」
「悩むなあ…」▶︎「2つに絞れば判断できる、リスクとろう!」
ポイント①。満たされてない時は、先のこと・過去のこと・周りのことに頭が埋め尽くされています。FLOW状態に慣れれば理想。自分の「今」に集中する。いまの感情、状況を言葉にして認知して前向きで明るい言葉に変換してみる。失敗してもOK。続けるうちに自然と「自分に合う言葉」だけが残っていきます。機嫌がよくなるのが感覚として残っていきます。言葉に飽きたら、また新しい言葉を探せばいい。


ポイント②。人の話を聞く。自分の意見を丁寧に伝える。「私の意見は」と文頭につけるだけで、相手への印象がやわらかくなります。まずは話を“聞き切る”こと。聞かずに正論を言っても響きません。そもそも正論はそんなに必要ありません。お互いが考えていることを最大限理解する、最適解を見つける。反発、反応して言い返したくなる気持ちを抑える。「感情は置いといて」と頭の中で唱えて、気持ちをやわらげています。成功するとじんわり大人になった気がします。

学び方・使い方・覚え方
学び方:読書、動画、文字起こしから学ぶ
使い方:悪い言葉を、良い言葉に置き換える
覚え方:印象に残った一言をメモし、少しずつ日常で使う
アウトプット前提で学ぶと、記憶に残りやすいです。特に、自分が使ってこなかった言葉との出会いは、思考や感情を拡張してくれます。
読書は本当におすすめです。本は有料。SNSは無料。
無料には罠があります。簡単に「いいな」と思えるということは、簡単に忘れます。読書には、そのとき自分がその本を選んだ気持ちが反映されてます。何か助けを求めて。何か刺激を求めて。何かの答えを求めて。


自分が普段使っている言葉をアップデートすること。新しい言葉に出会うこと。使ってみること。
「もっとSNSを見ておけば良かった」と後悔することは、将来きっとありません。後悔するとしたら「もっと勉強しておけばよかった」「もっと挑戦しておけばよかった」「もっと練習しておけばよかった」ではないでしょうか?転機は“今”です。SNSとうまく付き合うなら、いちど立ち止まって考えてみて下さい。
SNSで感動した言葉、なぜかあまり覚えていないことが多い。それよりも人と会って交わした言葉や、自分で買った本に線を引いた言葉の方が覚えていませんか?マーケティングの掌(てのひら)から降りることで、自分が今本当に求めている言葉に出会えるはずです。

こんな時代だからこそ、「今」に集中してみる。
言葉が変われば、人生が変わります。
哲学の次は、「言葉」を変えてみましょう。

次回、最終回になります。楽しみにお待ちください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
- 執筆者
- 木村 麗音
- Twitter : @kamishobo
- Instagram : @bobstagram_kamishobo
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