
“ツヤを出せるか”以上に、“顧客が求めるツヤをどう汲み取り、デザインに落とし込むか”が今、求められている。特集「ツヤの方程式」vol.2は、アイドルから絶大な信頼を得ている美髪製造神〈Tia.〉はるはるさんと、最強のリピート率を誇る中島優樹さんが、アイドル髪に欠かせない「ミラーの質感」を紐解きます!
とおい・はるひこ/1992年10月6日、埼玉県生まれ。資生堂美容技術専門学校卒業後、都内3店舗を経て2022年3月にフリーランスに。同年6月に東京・表参道に共同代表大和たくみ氏とともにTiaをオープン。豊富な薬剤知識と縮毛矯正の施術実績があり、アイドルやモデルの施術も担当。インスタグラムフォロワーは10.8万人。全国でのセミナー活動も行なっている。

──Tia.に来店するお客さまのニーズはどう変化してきましたか?
毛先だけをワンカールさせたレイヤースタイルが増え、表面はミラーのようなツヤ感が求められています。Tia.にいらっしゃるアイドル髪になりたいお客さまにはバージン毛の方も多く、バージン毛の場合は「ツヤツヤ」「さらさら」を強調した縮毛矯正を行うことで、お客さまの満足度は確かに上がりますね。
けれども、カラー毛やストレート履歴のある髪への「不自然なツヤ」は髪に負担をかけてしまう場合も。インスタグラムで日々流れてくる「ツヤツヤ」「さらさら」のミラーの質感は、撮影の瞬間はキレイでも、本当にお客さまの未来の髪のためになっているか。これを僕たち美容師は今一度考えるときなのかもしれません。
──髪がキレイな人が増えたわけではない?
髪質改善のキーワードが人気を博して以降、縮毛矯正に対するお客さまのハードルはだいぶ下がりました。SNSにはツヤツヤの画像が溢れ、美容師もツヤ髪を量産しているのにも関わらず、お客さまの髪が相対的にキレイになっていないことに僕は大きな懸念を抱いています。
縮毛矯正の技術が上手な人も、勉強してきた美容師もたくさんいます。一方で、Tia.に新規でいらっしゃるお客さまの中には、髪がボロボロになっている方が近年増えている現実も……。単価が取れるからと、勉強が足りていない状態でSNSで髪質改善メニュー推しを謳い、安めの価格設定で集客する美容師も増えたと言えます。
──これからの髪質改善のキーワードは?
これまでは「髪質改善=ツヤツヤ&さらさら」のイメージが強かったですが、これからは「不自然なツヤ」ではなく、「自然なツヤ」がキーワードに。クセをピンピンに伸ばしたいわけじゃない人も多いので、微還元を使い分けるなど、クセを扱いやすくする施術も含めて選択肢を広げられると良いですよね。
縮毛矯正施術も根元〜毛先までキレイに伸ばせば良いわけではなく、根元はあえて攻めないことも大事。髪は1本1本伸びるスピードが違うので、リタッチの際のディバインディングラインがオーバーラップによって傷みやすくなるからです。
前髪や顔周りなどお客さまが気にされているところは根元から伸ばしつつ、それ以外の全体は根元を空けて施術するなど、臨機応変な対応力も求められると思います。



プロセスを解説するのは・・・
なかしま・ゆうき/1997年9月27日、福岡県生まれ。福岡美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て2024年4月にTia.入社。縮毛矯正メニュー・顔周りカット・レイヤーカットを得意とする。丁寧なカウンセリングとお悩み解決型提案で、高リピート率を誇る。
最近増えているニーズとしては、しっかりとした「ツヤ」がありつつ、「重すぎない質感」。1本1本がパラパラとほどけるような「素髪感」を大事にしている方が多い印象ですね!





塗布し始めてから約20分で流しますが、先にタイムを決めるのではなく、流せる状態になったときに流すことが大切です。時間管理以上に、軟化チェックを行う際に自分の中でモノサシを持つことを意識しています。






薄い薬液から濃い薬液に変わると濃度変換がおき、酸化効率が良くなって定着率も上がります。CMCを入れることで、やわらかさがアップし、ミラーの質感も向上します!




縮毛矯正に対して傷むイメージを持っている方もいますが、毎日ご自宅でアイロンを入れる方が熱によって髪が傷むこともあります。
クセはトリートメントでは伸びないので、クセを伸ばしたいのであれば縮毛矯正を提案し、年間計画の中でトリートメントも挟みながら髪をケアする提案を行なっています。

髪に「うねり」があると、ドライの際に水分が飛びにくいですが、縮毛矯正で髪がまっすぐになると髪も乾きやすくなります。乾かす時間が5分早まれば、髪にやさしく時間価値も生まれ、良いことだらけ。ヘアケアは毎日のことなので、できる限りお客さまに負担なく、髪に良いことをお勧めしていきたいですね!
