髪質改善は定番になり、もはや「ツヤ髪」は多くのサロンが提供する当たり前の価値となった。しかし一口にツヤといっても、その求める質感は世代やデザインによって多様化が進んでいる。
ストレートメニューに代表される、アイドルを思わせる鏡面のようなツヤ。プレックス剤の台頭とハイトーンブームを経て生まれた、カラーを引き立てる透明感のツヤ。そして近年増えている、レイヤーデザインと共存する軽やかなツヤなど。
いまや勝負の土俵は「ツヤを出せるかどうか」から「顧客が求めるツヤをどう汲み取り、デザインに落とし込むか」へと移りつつある。曖昧に語られがちな「ツヤ」を、カウンセリングから施術まで伝わる形で構築する力が求められている。

ツヤの印象を決めるのは光をどう扱うか。面で反射させツヤを出すのか、毛流れのなかで質感を見せるのかによって、その表情は大きく変わる。今回は「質感(重い/軽い)」と「光の見せ方(面/動き)」の2軸をもとに、顧客に響くツヤ表現を4つのタイプに整理して紹介する。

SHEER 水口裕太(siki ORGAN)/ MIRROR 中島優樹(Tia.)/ SILK 蓬莱たける(AMA TOKYO)/ VELVET 笠井諒多(Miyu’s)

「ツヤの方程式」では、これら4つのツヤタイプそれぞれについて、顧客像(TARGET)、理想の質感(WANT)、それを実現する方程式(ANSWER)を整理する。
顧客がどんなツヤを求めているかは、それぞれ女性像に置き換えるとより明確になる。「MIRROR」はFRUITS ZIPPERのようなアイドル髪、「SILK」と「VELVET」は韓国カルチャーがけん引する軽やかさと落ち着き、「SHEER」はデザインと透け感を掛け合わせたファッション的なツヤ。
これらの質感を導くプロセスを、ケミカル・技術・デザイン・カウンセリングという4つの視点からひもとき、顧客に響くツヤ表現を探っていく。














- 執筆者
- 木村 麗音
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