
〈ADITION〉いさなさんと〈サロウィン〉中山祐人さんが主催するオープンな夜会。毎月ひとつのテーマを軸にサロンも肩書も関係なく同じテーブルで語り合う。ルールはただひとつ、営業行為や引き抜きは一切なし。
U25のこれから


中山
初参加の方も、続けての方もよろしくお願いします!今日のテーマは「U25のこれから」です

いさな
ちょうど1999年生まれの僕が25歳です。わかりやすいようにまず、25歳以下の方手を挙げてみましょうか


7割近くがU25ですねー。僕はこのあいだ誕生日だったからギリギリ26歳だ

いさな
最初は年長者側の意見から聞いていこうと思います。池谷さんは経営されるサロンのスタッフも含めて、これからU25美容師はどうなっていくと思いますか?

池谷義彦
まずうちは今スタッフ数が120人を超えたくらいなんですけど、僕以外の全員がU25なんです
*大阪を中心にメンズ特化サロン「L-MARK」を展開

渡辺
すごい!テーマにぴったりすぎますね(笑)
自由と安定を行き来する世代


池谷義彦
その上でひとつ特徴として、「自由」と「安定志向」両方の属性を持ってると思います。挑戦して自分の可能性を広げたい一方で、ちゃんと報われて安定して働きたい気持ちもある。だから両方伸ばせる土台があれば、U25世代はもっと活躍できると思うし、僕ら上の世代はその環境づくりをちゃんとやっていかなきゃいけないなって感じてます

いさな
経営者としてU25世代に「もっとこうなってほしい」みたいな思いってあるんですか?

池谷義彦
型にはまった美容師にはなってほしくないと思ってます。自分の感性で動いて、成長していける。そのうえで長く活躍してもらえるサロンでありたいですね


いさな
そう言えるの、すごくないですか。僕はまず“型にはまれ”って思うんですよ。いずれ自由にガンガンやってほしいけど、アシスタント時代はまず先輩が言うことをやって「ADITIONイズム」を学ぶことが大事だと思ってて。どうですか?

池谷義彦
その考え方は一緒です。将来的に型にはまらない美容師になるために、まずは基礎をしっかり固める。その先にある個々のゴールは明確にしておいて、自分の個性をちゃんと武器にできるように育ってほしいと思ってます

中山
COAは、どのあたりの年齢層が多いですか?

ゆうだい
平均は25歳です。僕ら2000年生まれがいちばん多くて、そこから新卒のスタッフがどんどん増えてるので中央値はもう少し下がると思います


中山
ゆうだいさんも25歳で店長ってかなり早いですよね。同世代とか、U25の子たちを見てて思うことあります?

ゆうだい
今の3〜4年目くらいの子たちって、学生時代がちょうどコロナの時期なんですよね。だから学生のうちにコンテストとかヘアショーとか、熱心に取り組むような経験をあまりさせてもらえなかった。それなのに僕らが「美容業界はこの熱量が当たり前だ」みたいに熱くぶつかると、どうしても温度差が出てしまうなとは感じてます。
なので社内コンテストを開催して成功体験を積ませたり、上位の子は外部のコンテストにも出て外の刺激に触れてもらったりしていて。サロンワークはもちろんですけど、ひとつのことに全力で向き合うのも美容の楽しさだと思うので、そういった時間と経験を組織的に作るようにしています
背中で語る若手のリアル

渡辺
nico TOKYOさんも、20代が中心じゃないですか?

shunya
そうですね。代表以外は全員20代で、僕もU25です。今日みなさんの話を聞いてて、ちょっと僕からもいいですか?

おお!?いけいけ!!


shunya
いや、これ「パッション」なんじゃないかなって思って

大好きです、それ

渡辺
2人から同じ匂いがしますね(笑)

shunya
自分たちの伝えたいことが、なんで下の世代に響かないのかなって考えた時に、結局「心臓が動く瞬間」が少ないからだと思うんです。
SNSで知識はいくらでも入るけど、心が震えるような体験が足りない。だから僕は後輩に「とりあえず酒飲んで楽しめ」って言うんですよ。もちろんただの飲みじゃなくて、今この瞬間を全力で楽しむ感覚を持ってほしくて。そのパッションが練習にも売上にもつながると思ってます


(キムタクに見えてきた…)

shunya
でも本気で思ってて。後輩からしたら、やっぱり一番は近くで見える背中がどれだけ熱い存在かだと思うんです。だから僕はとにかく全力で楽しんで、寝ないで働いて結果出して、その背中で語りたいんです。今何が必要かってなったら絶対に昭和のエンジンだと思います

ゆうだい
最後まで聞いて腑に落ちたというか、「今だから昭和が求められてる」っていうのがめっちゃ響きました
熱を形にしていく世代へ

中山
このまま初参加の方にも聞いていきたいんですが、マサキさんどうですか?ちょうど今、独立に向けて準備中ですよね。O25の視点で感じてること、聞かせてください

僕は29なんですけど少しだけ背景が違ってて。建設業で3年くらい地元の震災復興に関わってから美容師になったので、美容師歴は敬太くんやゆうだいくんとほぼ変わらないんですよ。
でも僕の世代は、「誰かに認められたい」とか「評価されたい」みたいな欲求が強かった気がします。でも今はコロナも経て、自分のペースを大事にしたい人が増えた。それもわかるけど、やっぱり美容師って人の心を動かす仕事だと思うんですよね。だから後輩にも「それ、感動すんの?」ってよく聞くし、利益とか効率よりお客さまに喜んでくれるか、自分が本気で楽しいか。そういう姿勢で向き合うようにしてます


中山
今年、大阪・心斎橋でメンズサロンをオープンされたY.u.k.iさんはどうですか?

Y.u.k.i
僕は今年25になりました。最初に池谷さんもおっしゃっていたように、僕らの世代は「突き抜けたい」と「安定していたい」のどっちの気持ちある。だから一歩踏み出したいのに動けない。
なのでうちのスタンスは「石橋をコンクリートにしてから渡れ」です。叩くだけじゃ弱いからまずはしっかり固めてから挑戦しよう、とスタッフによく言っています。自分のレベルに合わせて可能性を広げていける環境が目標です
憧れを追い、次の背中へ

いさな
じゃあ次はプレイヤー目線で。U25ど真ん中、かける君!普段の意識してることとか教えてください

かける
僕は今23なんですが、「後輩のために」って意識が強いかもしれません。いさなさんが言ってたように、最初はサロンの型にはまることが大事で、やりたいことは承認欲求がある程度満たされてから見えてくると思ってます。
その承認欲求が満たされるのは、尊敬する人に少しでも追いつけた時。1〜2年目のうちは、尊敬する先輩の背中が圧倒的なほど成長できると思うので、まずは自分が結果を出すことを意識してます。


同じショート推しで界隈でも目立ってるし、インスタもよく見てるんで23って聞いて驚きました。最近は「働きすぎずに稼げたらいい」って考える人も多いと思うんですけど、なんでそこまでがむしゃらにやろうと思えたんですか?

かける
多分、それは最初に尊敬する人が圧倒的だったからだと思います。だから頑張ってるって感覚はあんまりなくて、周りの熱量も最初から高かったんですよね。僕自身もまだ足りてないくらいで、今頑張らないと下の子たちの平均値が下がっちゃうので「やるしかない」って感じです

いさな
やっぱ界隈が一緒だと意識するんですか?

ありますね。彼のインスタのリールすごく面白いんです。真似してできるものじゃないというか、相当試行錯誤してきたたんだろうなって。カットの技術も生半可な努力じゃないって今日会って感じました
あと、フォロワーの数が僕とほぼ同じだから負けたくなくて“いいね”をためらってたんです(笑)。でももう人間味を見ちゃったんで…もう普通に押します

かける
ありがとうございます(笑)

自由の時代をどう走り抜くか

中山
では満を持して、いさなさん。お願いします

いさな
みんなもっとやった方がいいっすね。足りない。上から言いたいとかじゃなくて、先輩たちが死ぬほどやってきてるのに、なんでそこで止まるのって思うんです。その人たち以上に頑張って、さらに自分なりの道を見つけないと同じ場所には辿り着けないのに。
セミナーとかでも、やる前から正解を探してる子が多いなって感じるんです。口だけ達者な人が増えたというか、僕らの世代がかっこいい部分ばかりを見せてきたせいで、そう勘違いさせちゃったところもあると思います。
それでも「なんでやらないんだ」って思う場面がほとんどで、答えを聞きにくる前に自分で試して失敗してみてほしい。人に動かしてもらってるうちは、本当の意味での成長じゃないと思うんです。頑張ってるって言葉はいらなくて、やってたら結果で伝わるんで

中山
いさなさんに「もっとやった方がいい」って言われたら何も言えないですね

市川
「こうなりたい」っていうのも本気でそこを目指してるというより、なんとなく言葉にしてるだけというか。内側から湧き出る“なりたい”という欲そのものが弱まってる気がしてて。だから「もっとやれよ」っていう温度と合わない時もあると思うんですけど。いさなさん的にはどう感じます?


いさな
だから僕は、「こうなりたい」って強く思う人としか関わらないです。なりたいって気持ちがない人は、美容業界に残るべきじゃないと思ってる。冷たく聞こえるかもしれないけど、これはリアルだし、そこを伝えていく人が必要だと思う。同じ考えの人が増えれば、本気で美容をやりたい人が残る業界になると思うんで

市川
たしかに、そうしないとお客さまも幸せにできないってことですよね

いさな
そうです。毎日髪のことを考えてる美容師に担当してもらいたいか、何も考えてない美容師に切ってもらいたいか、シンプルな話です。本気でやる人がもっと増えていけば、業界全体の熱も上がると思うんで。僕はそれをまず体現していきたい。そういう話を11月20日に発売する僕の書籍に込めてるんで…ぜひお願いします(笑)


ゆうだい
宣伝はずるい(笑)でもうちも面接で「小西恭平さんを超えます」って言う人めっちゃ多いんですけど、まだ誰も超えてない。小西さんは今でもウィッグ切ってるし、誰よりもインスタ見てるし、毎日トレンドも分析してる。投稿する前には全スタッフに聞くぐらいの勢いで「これ可愛い?」って聞き続けるんです。1年目の子が「可愛くないです」って言ったら、「どこが?」って返すくらい。
学び続ける背中を見てるからこそ、僕らも「全然足りてないな」って思うんです。最初に見た背中が圧倒的だから、どれだけやってもまだ届かないって感覚がずっと残ってる

いさな
今度のヘアショーで一緒になるのちょっと緊張してきた(笑)最後、中山さんお願いします!

中山
これは完全に僕の個人的な意見なんですけど、U25って本当に才能のある人が多いんですよ。だからその才能を潰しちゃいけないっていう使命感は強くあって。
昔は技術を極めたカリスマが業界を引っ張っていたけど、時代とともにファッション、ビジュアル、SNSへと評価の軸が変わった。自由度が上がったぶん、才能の開花も早くなった。集客サイトやシェアサロンが普及して独立のハードルも下がって、若いうちからお金も時間も手に入りやすくなった。でも、だからこそそこで止まってほしくないんです。
みなさんもそうだと思うんですけど、この業界にいる多くの人は誰かに憧れて美容師になったはず。その“憧れられる存在”に、次はU25世代がならなきゃいけない。次の時代をつくる気持ちでどこまで本気で挑めるか。そこにこれからの美容業界の価値がかかってると思っています

いさな
たしかに環境が整ってる時代だからこそ、自分で火をつけて動けるかが大事だと思います。
次回のいさな中山会は、11/13(木)です!初めての方も気軽に参加してください!
今日のメンバー
いさな 〈ADITION〉代表
@__07hria
室優菜〈ADITION〉ディレクター
@jilliy_61__
敬太〈COA〉スタイリスト
@keita.coa
ゆうだい〈COA〉表参道店長
@yudai_bob
Rui〈COA〉アシスタント
@rui.coa
立花大輝〈フリーランス〉
@daiki__tachibana
マサキ〈フリーランス〉
@masaki.k_
Kosuke Miyazaki 〈マッシュエボリューション〉店長
@miyattsu382_hair
中山祐人〈サロウィン〉執行役員
@nakayama_salowin
まさや〈サロウィン〉
@masaya.suna
渡辺仁智花 〈サロウィン〉
@watanabe_salowin
市川侑樹 〈サロウィン〉
@ichikawa_salowin
池谷義彦〈L-MARK〉代表
@lmark_iketani
松本耕基〈L-MARK〉スタイリスト
@lmark_kouki
Y.u.k.i Nagata〈Men’s salon STELLA〉代表
@stella_y.u.k.i_nagata
shunya〈nico TOKYO〉スタイリスト
@shunya7814
坂本広大〈yuri tokyo〉代表
@yori_hair_kodai
カケル〈VIEW〉スタイリスト
@kakeru_view
※アルファベット順

- 執筆者
- 木村 麗音
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