世界観のあるアカウントがやっている“伝わるビジュアル”のつくり方|COA 佐藤希

世界観のあるアカウントがやっている“伝わるビジュアル”のつくり方|COA 佐藤希

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photo_SUMESHI

プロフィールを一目見ただけで、世界観や魅力がきちんと伝わるアカウント。その裏には細かく計算されたルールやこだわりがある。光の当たり方、写真の距離感、モデルの雰囲気や並び順。それぞれ違うスタイルでも、“見せ方”の軸が統一されているから、世界観が自然と浮かび上がってくる。今回はそんな「伝わるビジュアル」の作りかたにフォーカスして、COAのアートディレクター・佐藤希さんに話を聞いた。

佐藤 希
1996年生まれ、長野県出身。日本美容専門学校を卒業後、都内1店舗を経て、〈COA〉へ入社。現在は〈COA GINZA〉の店長を務める傍ら、アートディレクターとして発信を統括。自身も1.9万人のフォロワーを抱えている。
希さん

見せ方で統一感を出すために、まずプロフィール欄に自分がどういう美容師なのかテキストで表します。僕の場合、「韓国・上品・透明感・艶」4つのキーワードを軸に、その雰囲気をビジュアルで組み立てていきます。

フィード欄はぱっと見たときに「なんか良さそう!」と思ってもらえるかが重要です。そのために、さっきのキーワードと投稿がバラつかないように、画像の明るさを均一にするのが統一感を生むポイントです。

 


希さん

写真は2Dなので、どうしてもスタイルが平面的になりやすい。なので、なるべく立体感がでるように髪に動きを出すのが肝心です。外側のアウトラインを引き出して、シルエットの輪郭をはっきりさせています!

撮る時はグリッド線の中央部分に被写体を合わせます。これにより、複数枚撮ったときの写真のズレを防ぎます。後で修正やトリミングがしやすくなるので、時短にも繋がります。

希さん

この2枚はどちらも自然光を使い、立ち位置も同じ条件で撮影しています。ただ、唯一違うのは光に対してどう体をどう向けているか。1枚目は光が横から差し込んでいる状態で撮影したため、顔の右側に影が出ています。これでは、へアとモデルさんの印象がアンバランスに見えてしまう。一方、2枚目では光に対して体と顔を正面に向けているので、顔全体に均等に光が当たり、全体が明るく見えます。この微調整を現場でさくっとできると編集作業がとても楽です!

NG✖ 顔の右側に影がかかり、肌や髪が暗い印象。
OK◎ 光が全体に広がり、顔を明るく魅力的に見せる。
希さん

主に加工で使用しているアプリです。メイツ(Meitu)は美顔にフォーカスした補正ができる写真加工アプリ。主にフェイスラインや肌の質感を整えます。ライトルーム(Lightroom)は、明るさを微妙な調整をしています。

「かんたんに撮れて、すぐ加工できる」スマホ写真だからこそ、小さな工夫の積み重ねが伝わる一枚をつくります。 何気ないビジュアルも、首の角度や毛流れ、表情ひとつで見え方が大きく変わる。そんな“伝わる写真”をつくるために押さえておきたい、ベーシックなポイントを紹介します。


カウンセリング動画だと「×1」が人物や文字が入れやすいですが、僕の場合は手元やモデルさんが中心です。セット面から撮る場合は固定しているので「×2」の倍率が気に入っています。お客さまが、スマホで見たときによりインパクトに感じられるように設計するのがカギですね。

仕上がりは長回しで撮り、後に使える部分を切り取る。
座高に合わせて、高さを調整。グリットの中央部分に来るように設定。
希さん

僕のリール動画は、韓国アイドルの曲を使用して、音声はなし。コンテンツとして見やすいように設計しています。また、動画のスクロールは、約3秒で判断するといわれています。テンポが良い音楽選び、数秒見れば何の動画か分かりやすくするのがポイントです!

そして、この編集動画では、手元と実際のカットシーンを多めに切り取ってます。長く録画しているので、エフェクトをつけて変化をつけています。1本の動画は30~60分ほどで仕上げていて、週に2本ほど投稿するペースです。

希さん

エクステ施術のリール動画では短い尺でも緩急を付けたくて、あえて最初に違うカラーを提案し「×」を出してから成功する展開にしました。モデルさんの表情も豊かで、視聴者に伝わるリアクションが出せたのも大きかったと思います。結果的に276万回再生され、大きな反響をいただきました。

希さん

こちらもエクステ施術のリール動画ですが、違いはトレンドを入れた見せ方。最近は寄りと引きを連続した3Dのような動画が流行りです。普段から韓国や台湾の美容師のTikTokを見て、常に新しい情報や見せ方をキャッチしています。


編集はスマホで完結。営業終わりの編集が日々のルーティン。
最近デジタルカメラも購入し、さらなるクオリティアップを目指す。
希さん

見せ方のバリエーションは無限にあると思います。でも、どれだけ工夫しても軸がないと全体のイメージがぼやけてしまう。お客さまから選ばれるためには、自分の強みが伝わるビジュアルの見せ方が大切です!これが出来れば、自然と「来て欲しい人」にちゃんと届き、ミスマッチも防げます。僕自身、これからはスマホだけじゃなく本格的なカメラ撮影にも調整したいと考えています。クオリティを上げて、技術や世界観をもっとコンテンツとして楽しんでもらいたいですね。

ozawa
執筆者
ozawa

大阪府出身。大阪文化服装学院スタイリスト学科を卒業し、大阪モード学園美容学科通信コ―スで美容師免許を取得。

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