BeReal Log #04 mika

BeReal Log #04 mika

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特集:BeReal Log

text:那須凪瑳
illustration:藤原ヒラメ

2020年にフランスでリリースされて以来、じわじわと日本でも人気を集めているSNSアプリ「BeReal」。写真を撮れるのは2分以内で、フィルターの使用も写真の編集もできない。“ありのままの自分”をシェアするSNSアプリだ。そんな「BeReal」を使って、注目の若手美容師の素顔に迫る連載「BeReal Log」。

第4回は、神宮前にあるサロン〈HEAVENS(へブンス)〉でスタイリストとして働くmikaさんが登場。自由な発想から生まれるヘアスタイルの数々が人気のmikaさんの日常をのぞき見。

BeRealの魅力って

1999年生まれ。日本美容専門学校卒業後、 〈HEAVENS〉に入社。現在、〈HEAVENS OMOTESANDO〉にてヘアスタイリストとして活動。

Q1:「BeReal」の魅力とは?

「BeReal」を始めたのは、2年前くらい。仲の良い子がInstagramに「BeReal」で撮影した画像を投稿しているのを見たのがきっかけで、存在を知りました。「BeReal」の画像がちょっとアナログっぽくてかわいいなって思って、初めはInstagramに載せる用に撮り始めたんです。でも、だんだん友達が増えてきたら、投稿でみんなの「今していること」がリアルに分かるから、「飲んでるの? 行きたい!」とかって連絡を取るきっかけになって、楽しくて続けていました。

あと、「BeReal」は家に帰ってお風呂に入ったあとのすっぴんとかでも、気軽に載せられるから良いですよね。以前、「BeReal」の投稿だけを10枚くらい集めてInstagramに載せたことがあったんですが、私のプライベートな部分をお客さまに自然にシェアできて良いなと思いました。

Q2:サロンワーク以外の時間の過ごし方は?

私はサロンの営業終わりにその足で映画館に行くくらい映画が好きで、休日も友達と映画館に行くことが多いです。休日だったらお昼に集まってランチして、映画を観たあとに飲みに行くという過ごし方をよくしています。

mikaの日常をウォッチ!

自身のInstagram(@_mikanzume)には、流行や1つのジャンルに捉われない自由な発想から生まれる個性豊かなヘアスタイルを載せているmikaさん。そんなmikaさんの発想の源とは? mikaさんが影響を受けている物事や隙間時間にしていることなど、彼女の日常に迫ります。

仕事タイム

「これは後輩にカラーしているところ。この子はいつも髪の毛を任せてくれる子なんですが、今回は新しくお店に届いたカラー剤を使ってみることに! 『Edol(エドル)』の新しいカラー剤で、これまでブリーチしないと作れなかったカラーをワンカラーで作れるという製品だったんですが、仕上がりがとてもいい感じでした。ベージュを使ってみたんですが、明るくなるだけじゃなく色調も整えてくれて、すごく使いやすかったです。

〈HEAVENS〉では、新しい薬剤はお客さまに使用する前に必ずスタッフ同士で試すのですが、特に去年の夏に〈HEAVENS HONTEN〉から〈HEAVENS OMOTESANDO〉に異動になって以来、新しいもの好きの先輩と一緒に積極的に新しい薬剤を試すようになりました」

スキマ時間

「営業前、サロンに置いてある雑誌を見ているときの1枚。隙間時間はスタッフ同士で話すことももちろんありますが、こうしてサロンにある雑誌を見ていることも多いです。定期的に新しい雑誌が入ってくるので、雑誌が届いたら必ず一通り目を通すようにしています。

美容雑誌を見るときは、技術面を見ることはあまりなく、どちらかというと写真集を見るのに近い感覚で、画角やトータルでかっこいいと思える写真が載っているページを探します。Instagramに自分で撮影したお客さまの写真を載せているので、その写真の参考にしている部分もありますね」

ランチタイム

「休日に友達と恵比寿にある『喫茶 銀座』でランチしたときの1枚。休日にお昼から誰かと遊ぶときは喫茶店に行って、ご飯を食べて近況を話すってことが多いです。この日は、たまたま後ろの席に知り合いがいて驚きました(笑)。

写っている子は、私がまだアシスタント2年目くらいのときからずっと髪を任せてくれている友達。すごく仲が良くて、休日はいつも一緒に遊んでいます。この子は美容師じゃないんですが、私は美容師以外の友達と話す時間も大事にしていて、意図的に美容業界以外の人と知り合える場に行くようにもしています。美容師の子と話すのももちろん大事ですが、それだと美容業界の話だけになっちゃうので、それ以外の場所や業界でいま流行っているものなどを知る時間を作るようにしています」

ヘアショー

「〈HEAVENS〉×〈Double SONS〉×〈tender〉×〈TOH〉×〈vacilando〉の5サロン合同で行われたヘアショー『SOU(ソウ)』を見に行ったとき。インカメラに写っているのは、サロンの先輩方です。このヘアショーはアシスタントの子たちが出るヘアショーで、今年で3回目。私も去年アシスタントのときに出場しました。

それぞれサロンごとにテーマが決まっていて、〈HEAVENS〉のテーマは“パンク”だったんですが、アシスタントの子たちがよく切れていてテーマの世界観もちゃんと表現できていてかっこ良かったです! ショーのあと打ち上げに行く人もいたんですが、私はこの日はそのまま帰りました」

息抜き時間

「映像監督・写真家の奥山由之さんが自主制作で手がけた映画『アット・ザ・ベンチ』の上映会に行ったとき。会場は、本作のロケ地の多摩川河川敷でした。この映画は先輩からこのイベントに誘ってもらって知ったのですが、すごく良かったです。

職業病なのか分からないですが、映画や小説、友達との会話でさえも、美容師の仕事に繋げて考える癖がついていて。特に映画は捉え方が幅広くて“正解”がない感じがして好きだし、仕事のインスピレーションの源にもなっている気がします。書籍も自分の考え方に影響を与えてくれるもので、最近は西加奈子さんの『あおい』や、ブックオフで安くゲットしたガンジーの伝記を読んでいます」

ヘアチェンジ

「ヘアスタイルをチェンジしたとき。いつも切ってもらっている〈HEAVENS〉の先輩に今回もお願いしました。私は1ヶ月半くらい経つと髪を切りたくなってきて、毎回と言っていいほどヘアスタイルをガラッと変えているんです。

髪の毛を切るときは、どういうヘアスタイルにするかあまり決めずにヘアサロンに行きます。昔はそんなことなかったんですが、美容学校1年生のときに重めのボブだったヘアスタイルを、美容師さんの勧めでレザーで切るようなショートカットにしたことがあって。やってみたらとてもいい感じだったんです。それ以来、その場で美容師さんと話しながら決めていくようになりました。

たまに『似合わないかも、やばい』って気持ちになるときもあるんですが、そんなふうに“心地よいちょっとした焦り”がある状態が1番楽しいし、自分の中でベストな状態とも言えます。自分が盛れるヘアスタイルでいるのももちろん大事ですが、美容師という仕事をしていてお客さまにご提案する立場でいる限り、自分の心地よいところから少し出て挑戦している状態でいないと、感覚が鈍ってしまう気がするんです。美容師として自分の感覚を常に更新するために、自分のヘアスタイルは冒険するようにしています」

「お客さまと一緒に、歳を取っていきたい★」

最後に、〈HEAVENS OMOTESANDO〉でヘアスタイリストとして活躍するmikaさんに、今後の目標やビジョンを訊いた。

「私は、昨年の自分の誕生日までにスタイリストデビューすると決めていて、先輩方のお陰もあってその目標は達成しました。いまはスタイリストとしてお客さまのヘアを任せていただくなかで、アシスタント時代に先輩から言われた『お客さまの要望をそのままコピーしたヘアスタイルを作るのが美容師の仕事ではなく、プロフェッショナルとして自分の知識や経験を活かして、お客さまでは思いつかないことを提案するのが美容師の仕事だ』という言葉を大事にしています。

もちろん、『なりたいヘアスタイルのコピー』を求めて来てくださるお客さまにはそのご要望にお応えしますが、プラスアルファを求めてきてくださるお客さまには、こちらから色々とご提案するようにしています。例えば、癖毛が気になるというお客さまに対してストレートパーマを選択するのではなく、癖毛を活かした施術を提案して、その人にハマる“楽さ”とヘアスタイルの“イメージ”を提案する。お客さまのファッションなども見て、トータルで“良いバランス”を作ることも心がけています。そんなふうに、お客さまのご要望を鵜呑みにせずに一緒に考えて提案する施術をしたいので、『自分の感覚に正直でいること』を大事にしたいと思っています。

今後の目標は私が自分の感覚に素直でいながら、お客さまお一人おひとりにフィットする施術をして、心から喜んでくださるお客さまを増やしていくこと。そして、そんなお客さまたちと一緒に、歳を重ねていきたいです。この先、きっと私の好みや感性も変化していくと思うので、私やお客さまの年齢に合わせて感覚を更新しながら、素直な気持ちと感性で施術できたらいいなと思います」

那須 凪瑳
執筆者
那須 凪瑳

フリーランスライター、編集者。日本美容専門学校夜間部卒業。美容師免許保持。

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