

パーマや無造作で動きをつけるだけではなく、ラインで見せる。〈Laji〉(ラジ)の山田竜也さんが提案するのは、中性的なやわらかさに、構築的なエッジを宿したボブスタイルだ。
メンズの王道デザインとは異なるアプローチで、ヘアをファッションの一部として楽しむ。そんなファッション感度の高い大阪の男性たちが、彼のもとに集まっている。街に映える“シティモード”をコンセプトにした、一瞬で記憶に残るフォルム。その設計図を見せてもらった。

顔にかかるラインで
輪郭にモードをひとさじ


ボブって、どうしてもナチュラルとか優しい印象になりやすいんですけど、今回はそこに少し構成的な要素を加えています。
わずかに前下がりのワンレンをベースに顔周りにステップを入れ、ラインを強調してつくるストリートでもアンニュイでもない“都市っぽさ”。中性的だけど目に残る、そんなバランスを狙っています。





①分け目から目尻までの幅で、頬骨ラインに沿わせてカット。
②リップラインから約1cm外側にもう一段ステップをつくる。




カット自体はベーシックなワンレングスですが、シンプルになりすぎないニュアンスを意識しています。
ぱつっとしたカットラインが主役になるぶん、どこまでをタイトにして、どこに動きを残すかが印象を分けるポイント。今回はモヒカンラインの長さ設定をステップカットのラインに合わせ、スタイリング時の毛先に空気感が出るように設計しました。そうした“ちょっとしたズレ”が、モードだけど硬くなりすぎないフォルムをつくります。



少し遊びを聞かせたスタイリングで、顔周りに抜け感を入れています。フロントは「逆V」のブロッキングで波巻きを施し、動きと透け感を強調。バックはウェイト位置にあわせて内巻きを入れ、自然なくびれをつくりました。
質感は、バームとクリームのミックスでセミドライに。「ilma」のライトバームと〈nigelle〉のスモーキードライクリームを混ぜて使っています。



サロンワークでは基本デザインはお任せが多く、お客さまの顔立ちに合わせてデザインを変えています。
たとえば、二重がぱっちりした方であればステップカットではなく、縦のレイヤーで目の周りにシャギーな動きを加えるほうが抜け感が出やすい。今回のようにやや切れ長な目元の方には、目の下にライン感をつくることでモードな雰囲気をより強調できます。そこにもう一段ステップを重ねて、いまっぽい抜け感をつくりました。
どこかにさりげなく、モードなテイストを加えるのがこだわりです。

- 執筆者
- 木村 麗音
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