カット料金1,500ドルのセレブ美容師を直撃!
Z世代の若手美容師を取材していると、自分の付加価値に見合った料金設定への意識が非常に高いのを感じます。高い料金設定がすべてではありませんが、以前よりも美容価値の捉え方がスピーディに多様化していくことは間違いないでしょう。
今回は月刊BOB 2018年3月号に掲載した1500ドルチャージのセレブリティ美容師、テッド・ギブソン氏のインタビューを再掲載します。
タイムレスな内容になっているので、ぜひ自身のサロンワークの価値を考えるうえで参考にしてみてください(もしこちらの記事の反応が良ければ、誌面に掲載しきれなかった内容もあるのでまとめてみようかなと思っています!)
テッド・ギブソン/アメリカ・テキサス州出身。アンジェリーナ・ジョリーをはじめとするセレブリティのヘアスタイリングを手がける。2013年にはN.Y.の5thアベニューにTED GIBSON SALONをオープンし、最高1500ドルチャージ美容師として話題を集めた。現在は西海岸に拠点を移し、活躍中。
自身のサロン(※1)でカット料金を高く設定した理由は?
「2013年にNYでサロンをオープンした当時は、アンジェリーナ・ジョリーの顧客化に成功したタイミングもあって、カット料金900ドルでスタートした。周辺のエリアで最も高いサロンは600ドルだったから、かなりチャレンジングだったよ。ただ、それでもお客さんが来すぎてお店が回らなくなったから、1,200ドル、最高は1,500ドルまで上げたんだ」
※1 TED GIBSON SALON。2013年、N.Y.の5thアベニューにオープン。2016年12月にクローズした。
なぜ、料金を上げ続けたのか
「男性が高級車にロマンを感じるとの同じで、女性は見た目に投資することが好きだからさ。1度高い料金でカットした人は、それより金額が安くなることを望まないよ。だから、1カ月先まで予約が入っている美容師であれば、その時点で料金を上げるべきだ。少なからず失客するけど、結局売り上げは上がっているはずだ」
他の美容師と何が違った?
「『なぜ1,500ドルも取れるのか?』と聞く人がいるけど、『それは僕ができるからだ』と答えるようにしている。900ドルの頃から周りでひがむ美容師はたくさんいたんだけど、アイツにできるなら俺もできるという考え方自体が間違っている。僕にしかできないことをやっているから、これだけの価値がついたってことに彼らは気づいちゃいないんだ。多くの美容師は“髪を切る人”で終わろうとしている。美容師には潜在的な可能性がたくさんあるのに、ほとんどの人はその可能性を見ようともしないんだ。僕は髪を切るだけでなく、その人のライフスタイルまで面倒見るくらいのことをやっているよ」
サロンワークで気をつけていることは?
「髪を切るテクニックにこの金額を払おうと思う人はいないだろう。ヘアスタイルをどう変えるのかということはもはや考えていなくて、なりたい女性像にいかに近づけるかを常に考えている。カット料金は1,500ドルだけど、ジェイソン(※2)のヘアカラーを含めると多くのお客は3,000ドルを支払う。だから、お客も個別の技術がいくらで……という考え方ではないんだ。お客は僕らがサービスする時間にチャージしている感覚なんだ」
※2 ジェイソン・ベッカ。テッド・ギブソンのビジネスパートナーであり、多くのセレブリティから支持されるヘアカラーリスト。カラーチャージは30分350ドル。
日本の美容師にアドバイスを
「いかに自分の付加価値づくりをするかじゃないかな。マーケットを狭める僕らの手法が日本で通用するかはわからないけど、普段はユニクロを買う人でも、イッセイミヤケにしかないものがあるから、何倍ものお金を出して買うわけだ。美容師に求められることもこれと全く同じだと思うよ」