今日は『月刊BOB 』2019年9月号「ブリーチオンカラーはどこに向かうのか」から「ALT(オルト) 森田式ジャパニーズブロンド」企画をお届け。
西欧人と違い、赤味も黄味も強い日本人の髪。従来の補色で打ち消すという一時的な対応策で終わらない“日本人のための”ブロンドアプローチにせまりました。絶妙なベージュを保つためのメンテナンスが大変、褪色が汚い……と難易度の高いブロンドヘアカラー。そのハードルを乗り越えるためには、ベースを整えることが何よりも重要でした。
ALT森田式ジャパニーズブロンドとは?
くすませずに黄味・赤味をキャンセル
ブリーチはOX3%・OX4%しか使わない
カラーシャンプーで半年保つ!
ALT森田式 ジャパニーズブロンドの考え方
森田さんのつくるブロンドは、継続的にブロンドを楽しむためのカラーアプローチ。日本人の課題である嫌な赤味も黄味も一掃するベースづくりは必見。
1.ベースづくり → 17Lvまで上げきる
ブリーチで黄味がなくなり、少量の赤味が残る17Lv相当(目安)までしっかりとベースを上げきる。ベースをしっかりと整えることで、オンカラー時にマットやブルーなどの補色を加えずにすむため、長期的に黄味や赤味の少ないカラーを楽しめるようになる。それを可能にするのが傷みを最小限に抑えるための、オキシのコントロールだ。
HOW TO: OX3%の重ね塗りでじわじわ抜く
ブリーチは一気に上げるとキューティクルが開ききって痛む原因に。2剤は主にOX3~4.5%を使用し「拭き、重ねる」を繰り返し1時間弱かけてじわじわと上げて膨潤を回避している。
2.オンカラー → できるだけにごらせない
黄味と赤味を削ったベースをつくっているので、褪色しても嫌なティントが残らない。そのためオンカラーは白髪染めの考え方同様、シンプルなレシピを用いて残留ティントを極力残さないようにすること。現在は単品で絶妙な発色を叶えるカラー剤も多いが、ベースに赤味や黄味がある前提のブルーやマットの入ったカラー剤はティントがにごるので注意。
HOW TO: 色味に適切なベースレベルを選定
薬剤選定をシンプルにするために、抜け具合に合わせて調合するのではなく、目指す色味に合わせてベースを逆算するクセをつけよう。高明度を保つなら、補色の要らない19Lv以上に。
3.デザイン → ブリーチを半年周期で考える
ベースを整え、オンカラーでも残留ティントでにごらせない工夫ができれば過度なブリーチやリフトアップを避けられる。カラーシャンプーを使えば、オンカラーせずとも半年は赤味や黄味のない発色を楽しめるようになる。そこで重要なのが、新生毛が伸びてきても気にならないデザイン提案。長期的にハイトーンを楽しんでもらうための先を見越した提案術だ。
HOW TO: 根元残しで奥行きをメイク
どんなデザインの場合も、基本は根元を残し全頭ブリーチ。根元近くはデザインに応じて低明度をオンカラーし、今後伸びてくる地毛とのなじみを逆算している。
ALT森田式・全頭ブロンドカラー ヘアカラーレシピ&デザイン
モデルの白い素肌に映える、わずかにペールピンクをかぶせた暖色寄りのブロンドカラー。レイヤーデザインをより軽やかに演出する。わずかに根元の地毛を活かして、肌なじみを良くした。
RECIPE
[ブリーチ]
(1剤)ウエラブリーチ ノンダスト
(2剤)OX3% ※1剤と2剤の配合は1:1
[オンカラー]
(1剤)コレストンパーフェクト 8/11:10/68:SMOKE:CLEAR=1:10%:10%:1(ウエラ)
(2剤)OX3% ※1剤と2剤の配合は1:1
PROCESS
根元1cmを残して全頭ブリーチ(OX3%重ね塗りで1時間弱)し、19Lvまでトーンアップ。その後オンカラー。全体は16Lvのピンクベージュ系。
【次回提案】
(キープ)
今のワントーンカラーをキープしたいなら、毎日のカラーシャンプー(パープル系)を続けながら3カ月に1度のリタッチ。既ブリーチ部分は半年に1度のオンカラーが必要。
(グラデーション)
地毛を活かしたグラデーションへ移行が可能。毎日のカラーシャンプー(パープル系)を続ければ、次回来店は半年後。根元を残して新生部をブリーチ後、低明度カラーを重ねれば次々来店はさらに半年後に。
ベースを整え、にごらせない。大切なのはそれだけ
ブリーチオンカラーの普及で、黒髪がスタンダードではなくなりました。もっと自分のファッションに馴染むカラーリングを楽しみたいという自由な発想のお客さまが増えていると感じます。中でも奇抜になりすぎない西欧人の髪のような、肌馴染みのいいベージュ系のカラーリングを楽しみたい方は多いですね。こうしたブリーチオンカラーがブームを超えテイストとして浸透しつつある今、いかに継続しやすいカラーを提案できるかが重要だと感じています。そんな中、僕がたどり着いたのはブリーチで赤味と黄味を抜ききり、にごらせない“日本人のためのブロンドカラー”でした。
色味だけでなく、デザインにも一工夫。根元に低明度カラーを仕込み、伸びた地毛との馴染みをよくしました。絶妙なベージュを保つためのメンテナンスが大変、褪色が汚い、など難易度の高いイメージのブロンドですが、ベースを整えれば大丈夫。そのために1回の来店で4時間以上かけて施術をすることもありますが、来店頻度は長くて半年に1回とメンテナンスのしやすさが好評です。「仕事などのしがらみはないからヘアカラーを楽しみたい、でもこまめには来店できない」そんなママ世代から厚い支持を得ています。薬剤も進化をつづける中、彼女たちがよりストレスなく純粋にヘアカラーを楽しめるように……。僕たちの歩みもまだまだ止められません(談)。
- Profile
- 森田正浩(もりたまさひろ)
ALT
1988年6月28日生まれ。日本美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て、東京・渋谷にALT(オルト)をオープン。継続しやすいハイトーンカラーとデザイン提案を武器に、20~40代のファッション世代からママ層まで幅広い支持を集める。
『月刊BOB 』2019年9月号「ブリーチオンカラーはどこに向かうのか」
●ブリーチオンカラーのこれから会議
齋藤 剛(DaB)
SAKURA(Cocoon)
蜂須賀祐太(WORKER)
みやちのりよし(SHACHU)
●ALT 森田式 ジャパニーズブロンド
森田正浩(ALT)
●こなれブラウンのつくり方
achi(amili)
●ジェンダーレスな感性でつくる 淡色ビビッドカラー
Aki(THE OVERSEA)