ヘアカラーサイクルの中にパーマを組み込むことは難しい――
ブリーチやハイトーンカラーが増えることとは裏腹に、パーマはここ10年「冬の時代」が続きました。
しかし昨年あたりから徐々に「ブリーチ毛にもかけられる」「従来のパーマよりもダメージが少ない」「エイジング毛にも最適」ということで注目されるようになったのが酸性領域のパーマです。
特にストレート施術で考えると、かつてはアルカリ縮毛矯正か矯正力のないトリートメントしかありませんでした。
しかし、施術できる領域が拡大し、技術が発展して一大メニューとなっています。
酸性パーマって何なの?
酸性パーマはその名の通り、酸性領域でかけられるパーマ。従来の還元剤はアルカリの作用によってキューティクルが開き、間充実質が流出してしまうため、ダメージにつながっていました。
お客さまの多くはヘアカラーを施術した髪のため、アルカリダメージをある程度負っています。そこにさらにアルカリダメージをプラスすることなく、酸性域のままで施術ができるようになったのです。
鍵となっているのが昭和電工が開発した「スピエラ」とドイツのブルーノ・ボック社が製造している「GMT」。この2つの還元剤はすでに市場にありましたが、使いこなすまでに10年以上の歳月がかかりました。
酸性パーマは難しい?
「かかりが悪い」「薬剤選定が難しい」と言われる酸性パーマですが、髪の状態に合わせて調整しないといけないのはアルカリパーマも同じ。むしろより髪の状態に合わせた調合ができるのがメリットでもあります。ヘアカラーと同時施術ができることを考えても、ぜひとも習得したい技術と言えます。
酸性ストレート・パーマに適している髪とは?
ストレート施術の場合、いわゆる縮れた毛や連珠毛などの強いクセがなければ施術は可能です(毛質による)。柔らかい仕上がりになりやすいのも特徴。ただし酸性域といえども還元剤なのでダメージはあるので注意が必要です。写真の髪質のように、カラーダメージ+広がったクセは酸性ストレートの施術でしっかりまとまり感ある髪に。
アイロンワークで失敗しにくい
ストレート施術はアイロン作業による熱処理があるため、通常の酸性パーマよりも失敗しにくい(かかりやすいという意味で)と言われます。とはいえ、アイロンの熱処理が過度になると髪が硬くなったりすることも。仕上がりのデザインをつくるのもアイロン作業なので、薬剤選定とともにキモの技術の1つです。
600人の髪を施術してきた「失敗しない」日野式レシピ
銀座に酸性ストレート専門店「shine」を出店している日野達也さん。3万円超の高単価にもかかわらず、ひっきりなしに予約が埋まるのはその確かな技術が評判を呼んでいるから。
薬剤の組み合わせを研究し、失敗しにくいレシピを開発。ダメージの強弱とクセの強弱に合わせて薬剤の比率を変えていく。
考え方はとてもシンプルだ。
- Profile
- 日野達也(ひのたつや)
shine
1992年3月23日生まれ。東京都出身。エビスビューティカレッジ卒業。2020年にshineを銀座のTHE SALONSの一角に出店。技術に特化し、既存リピート率は8割を超える。
このレシピの使い方、実際のプロセスは月刊BOB11月号別冊「そうだったのか! 酸性ストレート・パーマ&酸熱トリートメント 酸性読本」の『失敗しない酸性ストレート』で詳しく解説しています。
ぜひともご一読ください。