美容師参加型のAI「デジタルサロン」、ChatGPTとの連携も決まり実用化はすぐそこ?

美容師参加型のAI「デジタルサロン」、ChatGPTとの連携も決まり実用化はすぐそこ?

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特集:AIで変わる新時代

「デジタルサロン」と話題のAI「ChatGPT」の連携が決まり、 4月15日には美容師参加型のAIプロジェクト「デジタルサロン協会」も立ち上がる。まだまだ先だと思われていた美容室のAI化がすぐそこまで迫っている。

写真:トカジショウタ

Contents

話題のChatGPT(チャットジーピーティー)って?

2023年に入ってから、国内でも毎日ニュースを賑わせているAI(人工知能)「ChatGPT」。
ユーザーの質問に対して、自然な言葉で文章を生成するチャットボットとして注目されている。

「ChatGPT」は米OPEN AI社が2022年11月に公開した対話AI。

人間のような完成度でテキストを生成でき、ネット検索するよりも早いことから、今後「わからないことはAIに聞く」という文化が浸透していくと考えられている。

「ChatGPT」で「AIとは何ですか?」と質問





「ChatGPT」のAPIを使用したAIは急速に広まり、LINEなどの各アプリ上で「Chat GPT」が使える機能も次々と登場している。

美容室の現場ではChatGPTをどう使ってる?

「ChatGPT」は美容室の現場でどう使われているのだろうか? 

AIなどのテクノロジーを通して、美容師による美容業界のための業界構造改革を推進する「デジタルサロン」プロジェクトを立ち上げたSENJYU 森越道大氏と、森越氏に賛同し今後共に活動を推進していくi. 山内大成氏、COA 青木大地氏、GOALD 米田星慧氏に聞いた。

森越道大

僕は今、秘書やマネージャーとして「ChatGPT」を使っています。

メールの返信やビジネス上の連絡において、マナーやリテラシー向上のために「ChatGPT」に文章を直してもらったりすることはよくありますね。

「ChatGPTの美容師の活用方法」を実際に「ChatGPT」に聞いてみると・・・



「ChatGPT」回答の続き

2. オンライン予約システムに利用する:美容師は、オンライン予約システムを導入することで、顧客の予約を迅速かつ簡単に処理できます。チャットGPTを導入することで、顧客とのコミュニケーションをスムーズにし、予約の変更やキャンセルにも迅速に対応できます。

3. ブログやSNSのコンテンツ作成に利用する:美容師は、ブログやSNSを活用して、美容に関する情報やアドバイスを提供することができます。チャットGPTを利用することで、より魅力的で興味深いコンテンツを作成することができます。例えば、チャットGPTを使って、美容に関するQ&Aを作成することができます。

4. 商品の説明やアドバイスに利用する:美容師は、美容製品の説明やアドバイスを提供することがあります。チャットGPTを利用することで、製品の特徴や使い方などに関する質問に迅速かつ正確に回答することができます。


これらの方法によって、美容師はより良い顧客サービスを提供することができ、顧客との関係をより強固なものにすることができます。

青木大地

「ChatGPT」使っていて思うのが、AIは確実に日常の一部になっているということ。

当たり前に洗濯機やLINE、インターネットを使うように「ChatGPT」を含めたAIサービスで検索や相談、文書作成、返信なとが飛躍的に進化し、時短されていくことを感じます。

「ChatGPT」に正しく質問すれば、人間に寄り添った解答を得ることができますよね。

今やショートムービーが流行っている時代、すぐ答えを求められる時代だからこそ、こういったサービスは今後必須になると思います。

山内大成

「ChatGPT」を初めて使ったとき、今までもボットはありましたので不思議ではないなとそれほど驚きませんでした。LINEや企業の返信なども、もう既にAIは実装されているし、弊社の商品に対する質問も既にチャットボットを実装してお客さまの質問を自動的に返信するシステムになっています。

それがより“広い範囲“で”設定しなくても“、ネットワーク上の情報の中でもより適切な情報を自動で入力してくれるのは、とても良いなと思いますが、その反面、やはり「SEOが強くなる」「マーケティングの力で情報をコントロールされてしまう」のではないかと思うところが懸念ですかね・・・。

やはり情報というものは、いくらでも操作できてしまうので、それが本質につながるもの、人の心に寄り添うもの、“その人“に本当に合っている答えがAIにより本当に導き出せるのかは少し考えものだとは思いました。

米田星慧

「ChatGPT」は優秀なアシスタント。・・・というより、もはや妻(笑)!

GOALDでは社内で顧客満足度を把握するアンケートを「ChatGPT」でつくりました。

半径50cmのコミュニケーションで美容師が感じている感情と同じ表現は「ChatGPT」はできないかもしれないですが、消費者の心理状況をデータ化することが得意。

人の心は変数ですが、変数を定数にできるのが「ChatGPT」だと思います。

「ChatGPT」と「デジタルサロンのAI」何が違う?

先月3月1日に「ChatGPT」のAPIが公開され、「デジタルサロンのAI」と「ChatGPT」を連携させることが決まった。

※API・・・・アプリケーション、ソフトウェアとプログラムをつなぐもの

「デジタルサロン」とは?

デジタルサロンとは、デジタル上の架空の空間に存在するサロン。今年4月15日には一般社団法人デジタルサロン協会(代表理事:Artificial Intelligence)が発足した。同協会は美容業界で活躍する企業や個人が、AIやDAOなどのプラットフォームを通して美容業界を取り巻くあらゆる課題を解決するためにテクノロジーと向き合い、美容師による美容業界のための業界構造改革を推進する。

※DAO=Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)。特定の所有者や管理者が存在しなくても事業やプロジェクトを推進できる組織。Web3.0時代の新しい組織形態として注目されている。

伊藤教授が特許を持つ「Thinkeye」という名のAIをまずは採用することが決まっており、「感情のAI」とも言われている「Thinkeye」と「ChatGPT」の連携が期待される。





「ChatGPT 」と「Thinkeye」一体何がどう違うのだろうか?

デジタルサロンのAI「Thinkeye」

・大阪大学の伊藤教授が特許を持つAI
・「職人のエキスパートなノウハウ」に「人間の感情」が組み合わさったAI
・ディシジョンツリーラーニングにより、導いた答え理由を説明できる

米OPEN AI社の「ChatGPT」

・人間のような完成度でテキストを生成できるAI
・正しい答えを導き出すというよりは、人間が書いた大量の既存テキストを合成
(例I)「昔むかし」の次は「あるところにおじいさんと・・・」が表示される仕組み



試しに「ChatGPT」に「クセ毛はなおりますか?」と聞いてみた。

「ChatGPT」で「クセ毛はなおりますか?」と質問



人間が話すような文章で詳細に答えくれ、髪への負担まで心配してくれている(笑)。

しかし最後の「クセ毛に悩んでいる場合は、ヘアスタイリストや美容師に相談することをおすすめします」の一文が示すように、最終的に「ChatGPT」が勧めているのは「美容師=人間」。

人間らしく、正しい文章ではあるものの、解決に至るイメージが持ちにくく、美容師が日頃行っているパーソナライズされた提案とはほど遠い。


一方、「Thinkeye」を用いたAIカウンセリング「寄り添い美容師AI」(2022年にプロトタイプが完成)に「クセ毛がなおりますか?」と質問した場合、どう答えるだろうか?

クセ毛はなおりますか?

Thinkeye

ダメージレベルは?

履歴は?

髪質は?

このようにさまざまな条件を聞き出すのが「Thinkeye」で、「職人のエキスパートなノウハウ」に「人間の感情」が組み合わさり、「なぜそう思うのか?」などお客さまの「悩みの裏側」を聞き出す。

3年前から伊藤教授とともに開発を進めてきたSENJYU 森越道大氏によると、「Thinkeye」の開発過程で1つ悩んでいたのが「Thinkeye」で導き出した答えを具現化するのにどこの企業と組むか。

それが「ChatGPT」のAPIが公開になったことで、2つのAIを連携させることができるようになったという。

森越道大

3月1日に「ChatGPT」のAPIが公開になったことで、「ChatGPT」と連携することができるようになりました。

「ChatGPT」が得意とする人間の回答のようなテキスト生成ができる強みを活かすことで、一気に実装が進みそうです。


“感情のAI”ができること

米田星慧

髪を切っている人間には、「本来人が話せない心のスペースを開ける可能性」があると僕は思っていて。

計算式で出せない部分を掘り下げて、心に触れることができるのが美容師なんです。

山内大成

そうだよね。だからこそ今回のプロジェクトのAIに「感情が入る」ことで人にどこまで寄り添うことができるのか、“その人“に合わせた回答、“その人“をより正しい道に導く回答ができるのか楽しみです。

今既にあるAIでは成し得なかったことがAIに感情が加わることで、次のフェーズのAIが社会貢献につながることを期待しています!

青木大地

テクノロジーが進むからこそ、「人間らしい」美容室でありたいと思います。予約するときのドキドキや初めて行くサロンの緊張感、キレイになったときの感動。AIの時代になっても、僕たち日本の美容師が大切にしている「感情」の部分を大事にしたいですね。

美容師が美容師のためにつくるAIだからこそ、「デジタルサロン」が完成した未来には、全美容師が願う課題解決が可能な未来が見えます。

山内大成

人って正しい答えがほしいわけじゃないときも、ただ共感されたいときもある。応援されることで輝き、新しい正解を導き出せる無限の可能性を秘めたAIになると良いと思います。

正しいことだけじゃなく、人が幸せになる情報も伝えられるプロジェクトにしたいですね。


4月15日、「デジタルサロン協会」が発足

森越氏は4月15日、美容とテクノロジーを通して国を豊かにすることを目的に一般社団法人デジタルサロン協会(代表理事:Artificial Intelligence)を設立した。

同協会は美容業界で活躍する企業や個人が、AIやDAOなどのプラットフォームを通して美容業界を取り巻くあらゆる課題を解決するためにテクノロジーと向き合い、美容師による美容業界のための業界構造改革を推進。既に本プロジェクトに賛同する美容師は587名(2023年3月31日現在)。


これからのWeb3.0時代のVRやAI、DAO、ブロックチェーンをどのように美容業界が取り組んでいくか、美容師をはじめとする美容業界全体でテクノロジーに目を背けず、どう取り組むかを協議することを目的とする。

同協会は会員と協議し、推進する協会。「評議委員」「一般会員」「賛助会員」のそれぞれ異なる役割で参画でき、美容師・メーカー・ディーラー誰でも参加できる次世代の形を目指している。

ミッション

美容業界が美の文化形成を追求できる“当たり前”で新しい世界になるために、同協会は時代背景に合わせた柔軟で革新的な協会の形を目指し、Web3.0時代により“人々を美で包まれた日常”に導く。日本の美容専門家やさまざまな業界の科学・技術・経済などに関わる有識者と企業を結集し、人々の「美とのつながり」を基にしたWeb3.0世界を創造し、後世に伝えていく。

運営方針

・美容業界のステークホルダーが運営主体となるWeb3.0時代の可能性を探究する。

・美容文化や美容市場において醸成されるWeb3.0世界を産官学民が一体となって創生するためのハブとなる。

「デジタルサロン協会」の詳細はこちらから。

〈名称〉一般社団法人デジタルサロン協会
〈設立日〉2023年4月15日予定
〈問い合わせ〉support@digital-salon.com



森越道大/もりこしみちひろ / SENJYU(センジュ)代表取締役社長 /東京都世田谷区
Profile
森越道大/もりこしみちひろ

SENJYU(センジュ)代表取締役社長 /東京都世田谷区

1989年4月13日生まれ。北海道出身。ハリウッド美容専門学校卒業。2022年4月に株式会社SENJYUを設立。2022年9月にGARDENを退社し、自店舗を持たず他社と協働し、全国の美容室で施術をする新しい形のプロフェショナルチームとしてSENJYUを急拡大中。

山内大成/やまうちたいせい / i. (アイドット)代表取締役社長/東京都渋谷区
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山内大成/やまうちたいせい

i. (アイドット)代表取締役社長/東京都渋谷区

8月26日生まれ。愛媛県出身。名古屋総合美容専門学校卒業。愛称「とんさん」。2019年に独立し、現サロンの母体となるi.(アイドット)を立ち上げ、共同代表の1人として、500万を超えるスーパープレイヤーを生み出し続けている。現在、i.は東京、大阪、福岡、愛媛に店舗を展開。

米田星慧/よねだせいえ / GOALD(ゴールド)執行役員/東京都渋谷区
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米田星慧/よねだせいえ

GOALD(ゴールド)執行役員/東京都渋谷区

1993年2月17日生まれ。神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校卒業。校則改革プロジェクトを発足し、都立高校の校則改革に成功。著書に『15分後 最高にかっこいい自分になる』(1万年堂出版刊)。GOALD 執行役員。2021年「美容師が選ぶ全国好きな美容師ランキング」1位。

青木大地/あおきだいち / COA(コア)代表取締役社長/東京都中央区
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青木大地/あおきだいち

COA(コア)代表取締役社長/東京都中央区

1989年9月9 日生まれ。香川県出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業。同級生の小西恭平氏とともに銀 座の一等地に計170坪の大型店 COA を立ち上げる。銀座2店 舗の他、2023年2月に千葉駅直結で新店オープン。自社ブランドCOA PLUSは国内130店舗、海外でも展開中。

YAHAGI
執筆者
YAHAGI

ほぼ毎日WEB記事、ときどき単行本。

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